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プロローグ

第1話 零歳~二歳

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 これで転生したのかな? 目は······やっぱりちゃんと見えないや、体も、うんしょっ! 駄目か、くふふっ。

 神様ありがとうございます。

 無事に転生したようです。

 おろっ!

 持ち上げられたのかな、く、口に何か入って来た! あら勝手にもぐもぐ······これはもしや······こきゅ······こきゅこきゅ。

 おっぱい飲んでますよ! 頑張れ僕! しっかり飲んで元気に育つぞ!

 ってか、よく考えたら記憶がある中で僕は、初おっぱいにお触りしているって事だよね······生前は彼女どころか友達も居なかったからな~、それどころかずっと病院でしたから、お爺ちゃんお婆ちゃんは沢山居ましたが、同い年の友達欲しかったなぁ。

 こきゅこきゅ

 ああ、眠たくなってきた······




「ライく~ん、おっぱいでちゅよ~♪」

 いただきます。

 僕の名前は、“ライリール” だそうです。お母さんとお兄さんはライって呼んでいる、だから初めはライが名前だと思っていたりしました。

 だって、乳母さんが来て名前を呼んでくれるまで、愛称だなんて思わなかったのは僕のせいじゃないよね!

 おっと、興奮して泣いてしまいました。

 それに、“雷刕らいり” が生前の名前だったから、ライまたはライリール、この響きは馴染む感じがします。

 違和感なくて良かったですよね、もし、“アレキサンダー” とか、“ジークフリート” とかだと違和感が半端ないと思いませんか?

 意識がハッキリして初めにやり出したのはステータスの確認!

 したかった。······そう、したかったのに、僕が転生したこの世界はステータス画面を見る事が出来ないようです。残念。

 そして三日が過ぎて······暇ですよ! 神様! 出きることって手を、にぎにぎと、足をたまにピンって伸ばすくらいですよ!

 はぁ~、どうしてかなぁ、ステータス見たいのに、“メニュー” みたいな画面出ないかなぁ。

 これではやる気も起きませんよ······


 はっ! この体は赤ちゃんなので直ぐに眠ってしまいますね。

 でも魔法を使いたいよね、そう思うよね! でも部屋の中だからなぁ、風かな、でもどうやるんだろ、大体こう言うのはイメージで解決してたよね。

 ファンタジー小説でだけど。

 風か、病室の窓はあまり開けて貰えなかったからな、ん~、扇風機のイメージでやってみよう。

 ん~、回す感じかな、ぐるぐるっと、上手く行かないな、やる前から分かっていましたが、直ぐには無理だよね、地道にぐるぐる回すイメージをしましょう······


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 転生してから早くも三か月が過ぎてしまった。

 進展はほとんど無いんだけど、ぐるぐる続けています。

 時間があればずっとぐるぐるしてます。

 それこそ、おっぱいの時間も。

 地道な努力の結果、最近コツが分かってきて、少し風が吹いてくれるようになった気がするのですよ、むふふ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 さらに三か月が過ぎて、今はもうぐるぐるマスターです。

 なんと、魔力が見えるようになり、風を吹かせるだけではなく、体の中の魔力もぐるぐる出来る事に気が付いてからは魔力の上限が上がっている様に感じます。

 最初はぐるぐるするとすぐに寝ちゃっていたのに、だんだん長くぐるぐる出来るようになってきましたから増えてますよね?



 暑くなり窓を開けてくれる日が多くなったので、窓の外にある木に向かって、なんちゃってウインドアロー、改め、ウインドニードルを撃ちまくっています。

 ふわふわ~・・・・・と飛んで行き、微かに揺れる葉を見て、泣きました······興奮のし過ぎですね。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 一年経ってしまいました。

 僕は、とてとて歩き、まだまだ頭が重くてよく、コロン、っと転がっていますが行動範囲も広くなり、今ハマっているのは、厨房です。

 釜の火をぐるぐるしに来ています。

 魔法と言えばやっぱり火魔法でしょう! 風はある程度ですけれど、メイド長であるマリーアさんのスカートは、もうちょっとでめくれる! って所までは威力も上がってきました、マリーアさんだけタイトなスカートなので中々の強敵です。

 そして火をぐるぐるしていると、声をかけてくれるのは、この厨房で料理をしてくれているマシューさんです、とても美味しいですありがとうございます。

 そのマシューさんがこっそり、お菓子をくれたりします、今日はラスクの様ですね、カリカリなので口の中で少し柔らかくして美味しくいただきました。

 あっ、もう一つ頂けるのですねありがとうございます、頂きます。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 二年の月日が経ち、早くも二歳である、むふふ、最近は庭に出ることが許されて土いじりにハマっているのですよ。

 そう、土魔法を覚えようと暇があれば土いじりで、食事に出てきた果物の種を植えたりしています。

 芽が出ないのが残念ですね。

 お兄さん達とも遊ぶ事もあって、土魔法は中々物には出来ていません。

 その代わり剣術を覚えました。使っているのは木の細い枝ですが何か?

「ライ! また泥だらけじゃないか、あははは」

「本当に、ライは土いじりが好きだよね」

「アース兄しゃんさん、シー兄しゃんさん

 長男の、シーリール・アインス・サーバル、次男の、アースリール・ツヴァイ・サーバル、僕のお兄さん達です。

 二人は双子で今年九歳、お母さん似の金髪で、ブルーの瞳、将来は女泣かせになるだろうなと思わせるくらい整ったお顔をお持ちです。

 ペアでアイドルとかすれば、大人気間違いなしだと僕は思う、プロデュースしちゃいましょうかね。

「ライしゃま、わたくち私もも、ちゅちあしょ土遊びまじぇてくだしゃいまぜて下さい

 この子は乳母さん、カリーアの子供で、なんと僕と同い年の女の子です。

 名前は、フィーア、薄い銀色の髪の毛は、光が当たるとプラチナの様にキラキラ輝き、どこのお姫様ですか! と僕は思っている。

 大きな赤い瞳も、なんだか幻想的でいつもじっと見てしまうほどなのだ。

「うん。フィーアいっちょにあしょ一緒に遊ぼぼ♪ 兄しゃんさんたちは? いっちょにあしょ一緒に遊ぶぶ?」

 兄さん達は、僕やフィーアの言葉の解読はリアルタイムで出来るから返事も早い。

 使用人の人達はまだ完璧ではないので、少しタイムラグが発生してしまう、仕方がないですね、後一年くらいでなんとか頑張ります。

「一緒に遊びたいのは山々だけど、これから勉強なんだ」

「十歳で学校に行かないといけないから仕方無いよね」

 この世界の貴族は十から十五歳まで、武術・魔法学校に通うことになるそうで、そこで優秀な成績を修めると、さらに上級学校または、王都にある学院に十八歳まで通うそうです。

 まあ、男爵家三男はまず学校は行かないそうですが、僕としては、冒険者に憧れるので、バッチコイなのですよ!

 それで、兄さん達は来年から学校に通うため算数や字の勉強、それに、魔法と剣術を習っているのですよ。

 それなら仕方無いよね。

 ちなみに算数は四則演算の三桁以上が出来れば学院でトップクラスと言われているので、流石に行く気になれませんでした、あはは。

 おっと、返事をしませんとね。

「しょっかそっかぁ、じゃんね残念ん」

「フィーアと楽しんでね」

「魔法の先生に怒られちゃうから行くね」

「うん」

「シーしゃま、アースしゃま、おきゅって送ってくりぇてくれて、ありがちょありがとううごじゃいましございますゅ」

 兄さん達は、結構ギリギリだったのか、駆けて、家の中に入って行ってしまいました。

 その後はフィーアにも、ぐるぐるを教えながら土いじりを再開しましょう。




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