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第一章
第127話 魔道具のダンジョン
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壁には棚がズラリと並び、その棚には本が半分ほどと、見たこともない素材? 訳の分からない物が詰め込まれ、一角だけ空になっている。
後はそんな物が乱雑に乗せられた大きなテーブルと、寝台と思われる、ここにも山のようにところせましと物が溢れかえっていた。
床にも足の踏み場もないほどの物が散らばり、部屋の中央に、何かアンラが入っていたようなキラキラ光る水晶が浮いていて、その真下に――。
「くふふふ。ダンジョンコアね、とりあえず邪魔な物は~、収納!」
「なっ、おい! 良いのか――」
最後まで言い切る前にアンラは石造りの部屋にあった全てのもの、浮いている水晶以外を収納してしまった。
水晶のしたにあった、人らしきものも。
「なあアンラ……ローブを着た人が床に寝てなかったか……」
「ん? そんなのいたかなぁ? えっと、あっ、これね、ほいっと」
トサッと床に出されたのは、骨になった人?
「え~っと、リッチだった物ね、ほら、魔石があるけど魔力が抜けて透明になってるでしょ?」
「マジかよ、デカ……くもないな……これなら魔狼と変わらねえぞ。ってかよ、リッチって死なねえんじゃないのか?」
『見たところ、ダンジョンコアに全ての魔力を流し込んだといったところでしょうか?』
クロセルの疑問も聞かずにアンラはリッチが羽織っていたローブをめくり、その下から出てきた鎖が巻き付いた本を拾い上げると、何事もないように本を開いた。
パキンとガラスでも割れるような音がして、鎖が砕け散り、しゃがんだままその本を読み始めるアンラ。
後ろから大丈夫かよと思いながらも覗き込むと、よく分からないが魔道具を作るためなのか、絵も書かれた本だった。
「くふふふ。このリッチってば生き返りたくて魔道具を作ってたみたいなんだけど、最後の最後でダンジョンコアに魔力を全部放り込んだみたいね」
「は?」
「それとこの本によれば魔力の補充のために人寄せしたくて~、魔道具を宝箱に入れてたそうよ。でもオルトロス強すぎて、定期的には騎士達が来てたみたいだけど、足りなかったみたい」
ダンジョンは人が中に入っていると、少しずつ魔力を補充できるらしい。
まあそんなに沢山入っているようには見えないダンジョンだから、そんなに増えなかったんだろうな。
アンラはまたペラリとページをめくり、少しだけ黙ったが、また続きを教えてくれる。
「なるほどね、このリッチを倒したのは間接的にだけど私達ね~、オルトロスを連続で倒していたじゃない? あれで貯めていた魔力が急激に減ったのよ。それで――」
急激に減った魔力の原因は、オルトロスを倒されすぎた対策で、ケルベロスを出した時だそうだ。
ダンジョンは魔力があればあるほど深く広くなるのだが、ここのダンジョンいたリッチは元々人族の錬金術師だったそうで魔力が多くない奴だったようだ。
その魔力の少ない錬金術師がダンジョン魔力の大半を使い、ダンジョンを浅く狭くしながら魔道具でリッチになった中途半端な奴らしい。
だから数十年前に発見されたダンジョンだが、十階層という狭くて浅い、魔物もボス部屋以外は弱い魔物しかいないダンジョンなんだと。
「なるほどな。じゃあ、俺達が無理させちまって、魔力が不足。で、ダンジョンコアにリッチが魔力を補充したけど少なすぎて間に合わなかったってことか?」
「だね~。まあ、この程度のダンジョンならさ、コアを持って帰ってケントの村の近くに移せそうだよ。そうすれば、前に手に入れたダンジョンの種と合わせて二つにすれば中々良いダンジョン村になるかも♪」
『そうですね、ここのダンジョンの前の集落は、魔狼達の毛皮でなんとか成り立っていたダンジョンのようですし、無くなれば、他所に移れるでしょう。セシウム王国の騎士達以外ですけど』
言われてみれば、騎士が滞在する場所は、しっかりとした石造りの建物だったが、他の食堂や、宿屋なんかは、少ない冒険者のためのものであって、よく見ると全て平屋の掘っ建て小屋だ。
崩して馬車に積み込み移動できるんだろうな。
「もらっちゃいなよ、この魔力量なら普通に収納できるしね~」
そう言ってアンラはリッチと本を収納して立ち上がった。
「そうだな、もらっておくか。クロセル頼む」
『分かりました。ですが、収納した瞬間にダンジョンの崩壊が始まりますので、今夜、遅くに収納しましょう』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ユウ姉ちゃん達を回収し、久しぶりにダンジョンを出た俺達は、食堂で晩ごはんを頼み、夜が更けるのを待っている。
そこで食事をする客から聞こえてきたのは、明日の朝からセシウム王国の騎士達が十日間の予定でダンジョンに入るそうだ。
「ケントくん、本当に大丈夫なのですか? 崩れちゃうんだよね?」
ユウ姉ちゃんが、こそこそと小声で耳打ちしてくる。
「大丈夫だ。ユウ姉ちゃんも聞いてただろ? 俺達が最終で、今夜はダンジョン内で夜営するパーティーはいないって事を」
「確か、騎士達と一緒に入って、九階層で騎士達が十階層を攻略するまで夜営する場所を確保する依頼を請けるって……じゃあ私達はそれを請けるフリをするってことでいいんだよね? それに誰も怪我したり……」
俺はゆっくりと頷き、ユウ姉ちゃんに笑いかける。
ふぅと息を吐いて、前のめりテーブル付いていたひじを上げて、椅子の背もたれに体を預けて脱力したようだ。
そして、追加で頼んだお茶がテーブルに届いた時、クロセルがダンジョンコアを収納した。
開けっぱなしの食堂の入口から聞こえるズズズンという音と、足元から響いてくる揺れが、ダンジョン前の集落全体に広がった。
後はそんな物が乱雑に乗せられた大きなテーブルと、寝台と思われる、ここにも山のようにところせましと物が溢れかえっていた。
床にも足の踏み場もないほどの物が散らばり、部屋の中央に、何かアンラが入っていたようなキラキラ光る水晶が浮いていて、その真下に――。
「くふふふ。ダンジョンコアね、とりあえず邪魔な物は~、収納!」
「なっ、おい! 良いのか――」
最後まで言い切る前にアンラは石造りの部屋にあった全てのもの、浮いている水晶以外を収納してしまった。
水晶のしたにあった、人らしきものも。
「なあアンラ……ローブを着た人が床に寝てなかったか……」
「ん? そんなのいたかなぁ? えっと、あっ、これね、ほいっと」
トサッと床に出されたのは、骨になった人?
「え~っと、リッチだった物ね、ほら、魔石があるけど魔力が抜けて透明になってるでしょ?」
「マジかよ、デカ……くもないな……これなら魔狼と変わらねえぞ。ってかよ、リッチって死なねえんじゃないのか?」
『見たところ、ダンジョンコアに全ての魔力を流し込んだといったところでしょうか?』
クロセルの疑問も聞かずにアンラはリッチが羽織っていたローブをめくり、その下から出てきた鎖が巻き付いた本を拾い上げると、何事もないように本を開いた。
パキンとガラスでも割れるような音がして、鎖が砕け散り、しゃがんだままその本を読み始めるアンラ。
後ろから大丈夫かよと思いながらも覗き込むと、よく分からないが魔道具を作るためなのか、絵も書かれた本だった。
「くふふふ。このリッチってば生き返りたくて魔道具を作ってたみたいなんだけど、最後の最後でダンジョンコアに魔力を全部放り込んだみたいね」
「は?」
「それとこの本によれば魔力の補充のために人寄せしたくて~、魔道具を宝箱に入れてたそうよ。でもオルトロス強すぎて、定期的には騎士達が来てたみたいだけど、足りなかったみたい」
ダンジョンは人が中に入っていると、少しずつ魔力を補充できるらしい。
まあそんなに沢山入っているようには見えないダンジョンだから、そんなに増えなかったんだろうな。
アンラはまたペラリとページをめくり、少しだけ黙ったが、また続きを教えてくれる。
「なるほどね、このリッチを倒したのは間接的にだけど私達ね~、オルトロスを連続で倒していたじゃない? あれで貯めていた魔力が急激に減ったのよ。それで――」
急激に減った魔力の原因は、オルトロスを倒されすぎた対策で、ケルベロスを出した時だそうだ。
ダンジョンは魔力があればあるほど深く広くなるのだが、ここのダンジョンいたリッチは元々人族の錬金術師だったそうで魔力が多くない奴だったようだ。
その魔力の少ない錬金術師がダンジョン魔力の大半を使い、ダンジョンを浅く狭くしながら魔道具でリッチになった中途半端な奴らしい。
だから数十年前に発見されたダンジョンだが、十階層という狭くて浅い、魔物もボス部屋以外は弱い魔物しかいないダンジョンなんだと。
「なるほどな。じゃあ、俺達が無理させちまって、魔力が不足。で、ダンジョンコアにリッチが魔力を補充したけど少なすぎて間に合わなかったってことか?」
「だね~。まあ、この程度のダンジョンならさ、コアを持って帰ってケントの村の近くに移せそうだよ。そうすれば、前に手に入れたダンジョンの種と合わせて二つにすれば中々良いダンジョン村になるかも♪」
『そうですね、ここのダンジョンの前の集落は、魔狼達の毛皮でなんとか成り立っていたダンジョンのようですし、無くなれば、他所に移れるでしょう。セシウム王国の騎士達以外ですけど』
言われてみれば、騎士が滞在する場所は、しっかりとした石造りの建物だったが、他の食堂や、宿屋なんかは、少ない冒険者のためのものであって、よく見ると全て平屋の掘っ建て小屋だ。
崩して馬車に積み込み移動できるんだろうな。
「もらっちゃいなよ、この魔力量なら普通に収納できるしね~」
そう言ってアンラはリッチと本を収納して立ち上がった。
「そうだな、もらっておくか。クロセル頼む」
『分かりました。ですが、収納した瞬間にダンジョンの崩壊が始まりますので、今夜、遅くに収納しましょう』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ユウ姉ちゃん達を回収し、久しぶりにダンジョンを出た俺達は、食堂で晩ごはんを頼み、夜が更けるのを待っている。
そこで食事をする客から聞こえてきたのは、明日の朝からセシウム王国の騎士達が十日間の予定でダンジョンに入るそうだ。
「ケントくん、本当に大丈夫なのですか? 崩れちゃうんだよね?」
ユウ姉ちゃんが、こそこそと小声で耳打ちしてくる。
「大丈夫だ。ユウ姉ちゃんも聞いてただろ? 俺達が最終で、今夜はダンジョン内で夜営するパーティーはいないって事を」
「確か、騎士達と一緒に入って、九階層で騎士達が十階層を攻略するまで夜営する場所を確保する依頼を請けるって……じゃあ私達はそれを請けるフリをするってことでいいんだよね? それに誰も怪我したり……」
俺はゆっくりと頷き、ユウ姉ちゃんに笑いかける。
ふぅと息を吐いて、前のめりテーブル付いていたひじを上げて、椅子の背もたれに体を預けて脱力したようだ。
そして、追加で頼んだお茶がテーブルに届いた時、クロセルがダンジョンコアを収納した。
開けっぱなしの食堂の入口から聞こえるズズズンという音と、足元から響いてくる揺れが、ダンジョン前の集落全体に広がった。
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