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第一章

第115話 エルフ村の解放

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「それでは連れていかれた仲間は無事だと?」

「おう、街道の夜営地で助けたぞ、明日の朝に帰ってくるはずだ」

 人攫い達を縛りあげ、アンラの頭を撫でながらエルフ達に今と夜営地での事を説明をした。

 その中に手紙を渡す予定の村長と、荷物を渡す予定だった村の雑貨屋店主もいたから渡そうとしたんだが、仕入れの金が、人攫い達に奪われていたそうで、受け取れないと言われた。

「なあアンラの回収した物の中に金はあったか?」

「あるはずだよ~、夜営地で捕まえた時もぜ~んぶ収納したからね~。んと、どれかなぁ……」

 期待するような目を向けるエルフ達。
 次から次へと木箱や革袋を出しては中身を広げていくアンラ。

「それはドリアード様の水晶像!」
「この者達は祠まで手をつけたのか!」
「それにエンペラーイーグル様のもあるぞ!」

 よく見ると、確かにドリアードとフルフルの姿を削り出した水晶の像が木箱に入っているのが見えた。

 確かに中々のもんだ、売れば良い値で売れるだろうな。

 その後は細身の剣、槍、弓矢、草や花、蔓などの装飾がされた革鎧なんかも次々と出して、ほとんどがエルフ達の物で、人攫い達が取り上げていた物だった。

 そして、重そうな革袋がいくつもあり、口を開けると岩塩や宝石、そして貨幣の入った物が見つかり、持ち主を確定できる物から返していく。

 加工前の宝石は村の宝飾職人の物がほとんどで、岩塩や貨幣は村長と雑貨屋の店主に一旦渡しておくことにした。

「こんなもんか? とりあえず人攫いから取りあげた物はここに置いておくからよ、みんなで分けてくれや」

「いや、この荷物分の代金はお支払いせねば。村長、仕入れ予定の分だけ先にこの方に渡してもらえますか?」

 そういや依頼で、金を渡さねえと駄目だったな。

 手配書の通り出した荷物を確認した店主は、村長から予定の金額を受け取り俺に渡してくれた。

 確認の間には、村長にも手紙の受け取りをしたとの署名をもらい、今夜のというか、この村での用事が終わった。

 そして人攫い達を連れて夜営地に戻る際、エルフの村特産のお酒を一樽お礼と言うことで受け取り、フルフルに乗って飛び立った。

「にゅふふ♪ 頑張った甲斐があったね~、お酒ももらえたし依頼も終わりだし、戻ったらご飯食べて寝るだけね♪」

「だな。アンラのお陰で簡単に終わったよ、ありがとうな」

 行きと同じように肩に顎を乗せたアンラの頭を撫で、あっという間の空の旅を終えて夜営地に戻ったんだが、そういや飛び立つ前になんか言ってたことを思い出した。

 地面ギリギリで人攫い達を地面に投げ捨てたフルフルは、それを避けるように地面に着地すると、スルスルと小鳥の姿に戻り、俺とアンラが足場をなくして落下し終える前に肩に戻って、ソラーレの上で落ち着き座る。

 タッと着地すると、冒険者パーティーの五人、エルフ達三十人、それと潜入していた兄ちゃんがやっぱり驚きの顔を向けてきていた。

「ただいま。全員捕まえてきたぞ、エルフ達も全員無事のはずだ、縛られてたからロープも外してきたからな」

「まさか本当にこんなに早く捕まえてくるとは……予定ではランタン伯爵の所に戻ってから、エルフ達が売られてしまう前に突入する部隊を手配する予定だったのだが……」

 おっかなびっくりと近づくみんなに向かって、俺達も歩きだしたんだがエルフ達はその場で止まり、その目線はフルフルだな……やっぱり世界樹のなんとかって言われてたし、ドリアードと一緒で水晶の像にされるくらいだから、畏れ多いんだろうな。

「なんか仕事を取ってしまったんか、悪いことしたな、すまねえ」

 軽く頭を下げ、簡単に事の顛末を話す。

 話し終わった後エルフ達は喜び、恐る恐るだが握手を求めて来たから応じておく。

 そして、夜だが森の中なら夜目が利くらしく、今から帰るそうだ。

 握手をする度に感謝の言葉を言われ、俺よりアンラの眠りヒュプノスが一番活躍したと言うと、アンラにも握手を求めた後、みんなでまとまり森に向かいあっという間に姿が見えなくなった。

「よし、俺達も飯を食べて今日は休むか」

「ああ、それもだが、コイツらを馬車に積んでしまわないとな」

「それもそうだな、さっさとやっちまうか」

 兄ちゃんの言うことももっともだと思ったが、詰め込んだ二台では無理と判断して、三台目を使い、放り込んでおいた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 翌朝早くに人攫い達を峠下の街に連れていくため、潜入してた兄ちゃんは、五人のパーティーに馬車の運転を頼み出発した。

「なんかあわただしく終わっちまったが次に行くか」

「そだね~、次はランタン伯爵の住む街の一個手前だね、ランタンの街に到着する前に騒動が終わってれば良いのにね」

「くくっ、だな。よし、出発だ」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 アンラの希望通り、まあ俺もその方が楽で良いと思っていたが、次の街に寄り、冒険者ギルドに手紙を届け、エルフ村の配達依頼の報酬をもらって一晩泊まった。

 翌朝に出発した俺達は、ランタンの街に向かう街道を進み、その日の夜営地についた時、希望が現実となっていたことが分かった。

 そこには貴族が乗るような馬車と、その馬車を物々しく取り囲み、護衛というよりは、逃がさないように包囲している団体が先に夜営準備をしていた。

「君達、我々より少し離れて夜営をしてもらえるかな? 少し厄介な者を護送しているのでな」

「おう、もしかしてランタン伯爵を捕まえてきたんか?」

 その団体から二人、焚き火の準備をしている俺達の所に来て、そんなことを提案してきた。

 だから言っちまったんだけどよ……。

 言ってから、聞いちゃ駄目だったかと思ったが、予想通り遅かったようだ。

「なぜそれを! チッ! この護送は内密、知る者はランタンの仲間と言うことだ!」

 二人は腰の剣に手をやり、身構えて俺達を睨み付けてきた。

「きゃははは♪ だって、盗賊捕まえたの私達だもん。ほいっと」

 身構えかけた俺とは違い、アンラは笑い飛ばしながらそう言い薪に火をつけた。
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