97 / 149
第一章
第97話 盗賊団と黒幕
しおりを挟む
ギイン!
兄ちゃんが大男を斬り付けたからクロセルを抜いて防いでおく。
「か、頭、何するんだ!」
頭? この兄ちゃんは大男の知り合いってかよ、頭ってことは仲間なんかよ。
「チッ! 余計なことを! それを聞いた小僧も残念だがここで死んでもらう!」
受け止められた剣を引き、後ろに飛び退き着地した瞬間に、今度は踏み込んで来る。
その勢いのまま、振り上げた剣はブオンと唸りをあげて頭を狙い打ち下ろしてきた。
引くことはせず、半身に体をひねって懐に飛び込み、クロセルの柄頭をみぞおちに叩き込んだ後、勢いを殺さず横をすり抜け背後に回る。
ガスッと地面に叩き付けられた剣をあげられる前にくるぶしを狙い足払い。
「なにっ! ぐぼっ! がっ!」
足を払われ崩れた体勢のまま、剣を片手に持ち変え、見えていないはずの後ろにいる俺に向かってデタラメだが牽制目的で振ってきた。
「くっ!」
体には当たらなかったが服の腹のところが切り裂かれた。兄ちゃんはただでさえ体勢が崩れていたところなのに無理矢理剣を振ったため、体勢を戻すことができずに倒れこんだ。
「しっ!」
その隙を逃さず起き上がられる前に剣を持つ手を蹴り、手放させて俺を見上げてきた顔を、頭を掴み地面に叩き付けてやった。
首を足で押さえて素早く手を取り縛り上げていると、背後からアンラの声が聞こえてくる。
「眠り~、その人も盗賊の仲間みたいだね、あっちの人達は剣抜いて向かってきてたから眠らせたよ~」
「ありがとうな、ってかよ、驚いてるもう一組以外が全員盗賊とは結構デカい盗賊団みたいだな」
『その男に喋らせるのは後にして、あの者達を縛り上げておきましょう。話はそれからです』
『アンラ、ケント様が眠らせた者達を処理するまでこの二人を逃げぬよう見張っておくのだぞ』
結局、最初の十八人と、後の十二人あわせて三十人の盗賊団だと分かった。
もちろんアンラの痛い自白で喋ってもらったんだが、残りの一組は本物の商会の人達で、護衛をあわせて八人しかおらず、盗賊団が乗っていた馬車を運転してもらうにしても、ちと人数が足りない、アンラに頼んだとしてもだ。
「盗賊団の小型馬車が十台、何台か置いていくしかなさそうだね」
「もったいねえがしかたないよな」
『ケント、私かアンラの収納なら問題なく回収できますよ。馬は無理ですが』
そういやそうだな、それは解決で良いが、馬車狙いの盗賊団に貴族が絡んでるとはな。
それも今回魔物の討伐を依頼した貴族だ。
この峠の向こう側で略奪を繰り返し、馬車とその積荷に違法奴隷の売買用の人攫いまでやっていたらしい。
それに、それをやっていた奴らはこれだけじゃなく、同じ人数の団があるらしい。
こりゃ一度リチウムに帰った方が良いかもな。
その貴族ってのが峠を越えたランタン伯爵その人なんだから、越えた側に連れていっても、内々でまた盗賊団として釈放されるだけだろうし……。
「なあ、おっちゃんらは峠越えするんだろ?」
「いや、リチウムに向かう途中だがそれがどうした?」
「マジか! それならよ、コイツらはリチウムに連れてかねえと駄目だから頼めねえかと思ってな」
「そのつもりだぞ、どちらにしてもコイツらを連れて峠越えはしたくないってのもあるし、峠の向こうはコイツらの親玉ランタンだからな」
俺と同じことを考えてたんだな。
なんてこと無いような顔で、握りこぶしで親指だけを立て、俺に向かって突き出してきた。
「任せてくれ。だが馬車は何台か置いていくしかないだろう」
コイツらが乗って来ていた馬車十台を見ながら『良い馬車ばかりだしもったいないな』『あの三台目、二頭引きもできる奴だろ?』『コイツらをまとめて乗せるのは――』なんて言ってる。
「いや、残る馬車なら俺がなんとかするからよ。すまねえがリチウムに帰れんのは魔物討伐依頼を終わらせた後になっちまうけど、ソイツらのこと頼む」
「ああ、三十人だろ、詰めれば十人ずつ行けるだろ、ここからならリチウムまで下りだから馬にも負担は少ないだろう」
話がまとまったところで、盗賊どもは三台の馬車に詰め込み、余った七台の馬車をクロセルに収納してもらった時、みんな唖然とした後『おまっ! それ、商人が一番欲しいスキルじゃねえか!』と一人の兄ちゃんが叫んだが、その場は解散となった。
「ケント~、見張りしておくからさ~、ちょ~っとお酒飲んでも良い? ダーインスレイブもいるしさぁ~」
「おう、飲みすぎんなよ。それからここでも魔物が出っかも知れねえから、近付いたと分かったらすぐ起こせよな」
酒樽を頭の上に掲げて、くねくねしながらねだってきやがる。
まあ、ダーインスレイブもいるしいいだろ。
「やたー! ケント任せておいて、どーんと寝てて良いからね~」
「んじゃ、流石に眠いしな、寝させてもらうぜ」
馬車の御者台に上り、荷台にもぐり込んで……なんだこれ……なんで荷台に寝台が積まれてんだ……。
目を疑う状況だが、狭い荷台がほぼ寝台になってる。
いつの間に俺の部屋にあった寝台を持ってきてんだよ! 見たら布団もそうじゃねえか!
『うふふ。そう言えば村を出発前に、ほんの少しアンラが消えた時がありました。その時にケントの部屋から持ち出したのでしょうね』
「はぁ、なれた寝台で寝れるって思えば感謝しかねえな」
兄ちゃんが大男を斬り付けたからクロセルを抜いて防いでおく。
「か、頭、何するんだ!」
頭? この兄ちゃんは大男の知り合いってかよ、頭ってことは仲間なんかよ。
「チッ! 余計なことを! それを聞いた小僧も残念だがここで死んでもらう!」
受け止められた剣を引き、後ろに飛び退き着地した瞬間に、今度は踏み込んで来る。
その勢いのまま、振り上げた剣はブオンと唸りをあげて頭を狙い打ち下ろしてきた。
引くことはせず、半身に体をひねって懐に飛び込み、クロセルの柄頭をみぞおちに叩き込んだ後、勢いを殺さず横をすり抜け背後に回る。
ガスッと地面に叩き付けられた剣をあげられる前にくるぶしを狙い足払い。
「なにっ! ぐぼっ! がっ!」
足を払われ崩れた体勢のまま、剣を片手に持ち変え、見えていないはずの後ろにいる俺に向かってデタラメだが牽制目的で振ってきた。
「くっ!」
体には当たらなかったが服の腹のところが切り裂かれた。兄ちゃんはただでさえ体勢が崩れていたところなのに無理矢理剣を振ったため、体勢を戻すことができずに倒れこんだ。
「しっ!」
その隙を逃さず起き上がられる前に剣を持つ手を蹴り、手放させて俺を見上げてきた顔を、頭を掴み地面に叩き付けてやった。
首を足で押さえて素早く手を取り縛り上げていると、背後からアンラの声が聞こえてくる。
「眠り~、その人も盗賊の仲間みたいだね、あっちの人達は剣抜いて向かってきてたから眠らせたよ~」
「ありがとうな、ってかよ、驚いてるもう一組以外が全員盗賊とは結構デカい盗賊団みたいだな」
『その男に喋らせるのは後にして、あの者達を縛り上げておきましょう。話はそれからです』
『アンラ、ケント様が眠らせた者達を処理するまでこの二人を逃げぬよう見張っておくのだぞ』
結局、最初の十八人と、後の十二人あわせて三十人の盗賊団だと分かった。
もちろんアンラの痛い自白で喋ってもらったんだが、残りの一組は本物の商会の人達で、護衛をあわせて八人しかおらず、盗賊団が乗っていた馬車を運転してもらうにしても、ちと人数が足りない、アンラに頼んだとしてもだ。
「盗賊団の小型馬車が十台、何台か置いていくしかなさそうだね」
「もったいねえがしかたないよな」
『ケント、私かアンラの収納なら問題なく回収できますよ。馬は無理ですが』
そういやそうだな、それは解決で良いが、馬車狙いの盗賊団に貴族が絡んでるとはな。
それも今回魔物の討伐を依頼した貴族だ。
この峠の向こう側で略奪を繰り返し、馬車とその積荷に違法奴隷の売買用の人攫いまでやっていたらしい。
それに、それをやっていた奴らはこれだけじゃなく、同じ人数の団があるらしい。
こりゃ一度リチウムに帰った方が良いかもな。
その貴族ってのが峠を越えたランタン伯爵その人なんだから、越えた側に連れていっても、内々でまた盗賊団として釈放されるだけだろうし……。
「なあ、おっちゃんらは峠越えするんだろ?」
「いや、リチウムに向かう途中だがそれがどうした?」
「マジか! それならよ、コイツらはリチウムに連れてかねえと駄目だから頼めねえかと思ってな」
「そのつもりだぞ、どちらにしてもコイツらを連れて峠越えはしたくないってのもあるし、峠の向こうはコイツらの親玉ランタンだからな」
俺と同じことを考えてたんだな。
なんてこと無いような顔で、握りこぶしで親指だけを立て、俺に向かって突き出してきた。
「任せてくれ。だが馬車は何台か置いていくしかないだろう」
コイツらが乗って来ていた馬車十台を見ながら『良い馬車ばかりだしもったいないな』『あの三台目、二頭引きもできる奴だろ?』『コイツらをまとめて乗せるのは――』なんて言ってる。
「いや、残る馬車なら俺がなんとかするからよ。すまねえがリチウムに帰れんのは魔物討伐依頼を終わらせた後になっちまうけど、ソイツらのこと頼む」
「ああ、三十人だろ、詰めれば十人ずつ行けるだろ、ここからならリチウムまで下りだから馬にも負担は少ないだろう」
話がまとまったところで、盗賊どもは三台の馬車に詰め込み、余った七台の馬車をクロセルに収納してもらった時、みんな唖然とした後『おまっ! それ、商人が一番欲しいスキルじゃねえか!』と一人の兄ちゃんが叫んだが、その場は解散となった。
「ケント~、見張りしておくからさ~、ちょ~っとお酒飲んでも良い? ダーインスレイブもいるしさぁ~」
「おう、飲みすぎんなよ。それからここでも魔物が出っかも知れねえから、近付いたと分かったらすぐ起こせよな」
酒樽を頭の上に掲げて、くねくねしながらねだってきやがる。
まあ、ダーインスレイブもいるしいいだろ。
「やたー! ケント任せておいて、どーんと寝てて良いからね~」
「んじゃ、流石に眠いしな、寝させてもらうぜ」
馬車の御者台に上り、荷台にもぐり込んで……なんだこれ……なんで荷台に寝台が積まれてんだ……。
目を疑う状況だが、狭い荷台がほぼ寝台になってる。
いつの間に俺の部屋にあった寝台を持ってきてんだよ! 見たら布団もそうじゃねえか!
『うふふ。そう言えば村を出発前に、ほんの少しアンラが消えた時がありました。その時にケントの部屋から持ち出したのでしょうね』
「はぁ、なれた寝台で寝れるって思えば感謝しかねえな」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる