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第一章
第82話 捕縛された聖騎士
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「その後も、その少女に向けていやらしい目を向けていたと証言もあり、そちらの少年が庇おうとしていたとも」
その通りだな。
白ローブはその後も、ガズリーが剣を抜き、残りの二人も追従したと話を続けた。
「待てよ! なんだよそれは! 言いがかりだ、僕達は悪くない! 悪いのは外れスキル『努力』とか訳の分からない物を持ってるケントの方だ!」
ガズリーは白ローブに詰め寄りまた唾を飛ばしながら『悪くない』を連呼しているが、教会騎士は肩を持ち、白ローブに手が届かないように引き留めている。
その肩を引き寄せ自分の方を見させると、両肩を押さえて話し出した。
「いや、話を聞けば聞くほど聖騎士ガズリー達の方が悪いようですよ、こちらのケント殿と言いましたね」
首をまわし、チラッと俺の方を見てくっから軽く頷いてやったら『ありがとう』と笑顔でコクリと首を縦に振った。
俺から目を離してガズリー戻すと、険しい顔に変わり、力を入れて肩を掴んでいるのか、ガズリーの表情がこわばったように見えたが……。
「聖騎士ガズリー、そのケント君は何も悪くはないようですし、それに、大通りで剣を抜いたのはいただけません」
ガズリーはまだ俺を睨んでやがる。
「僕は決闘を申し込んだんです! 剣はそのために抜いただけで、決闘で剣を抜いて何が悪いのですか!」
「なあガズリー、俺は決闘を受けるとも何も言ってねえぞ、お前が馬車を止めろと言ってきたからよ、止められる場所に来て止めただろ? それも手を上げて挨拶した後にだ」
俺はガズリーの方に近付き、三人を囲う輪に混ざる。
「んで馬車を止めてみんなを降ろしてたら、蹴りをいきなり入れてきたんだろうが……違うんか? それでなぜ決闘受けなきゃなんねえんだ?」
「黙れ外れ野郎! さっさと美少女達を賭けて決闘だ! 美しい女性は僕の隣にいる方が幸せなんだ! 間違ってもお前の隣ではない――うがっ!」
教会騎士が肩からガズリーの顔を横から挟むように持ち変えた。
押し潰されたほっぺたのせいで、ふがふがとしか言えず、逃れようとジタバタと暴れ、教会騎士の手首を持って、振りほどこうとしているがビクともしない。
「聖騎士ガズリー、そちらの二人は反省しているようだが、あなたは少し教育が必要ですね」
そう言うと、見物人が呼んだ衛兵を呼び寄せると、手首を掴んでいたガズリーの手を取り、捻るように背中へまわしてしまうと、後ろ手に拘束具を嵌めてしまった。
「な、なにをする! 外せ! 捕まえるのならケントの方だ! 離せよ! 僕は聖騎士なんだぞ!」
暴れまくるが、腰の高そうな剣を外され、ナイフも持っていたようで、それも回収されている。
「こ、こら、それは司教様にもらった剣だぞ! なんで取るんだ――フガッ!」
「よしっと、衛兵の皆さん、この三人は往来で剣を抜いた罪と、こちらのケントくんに働いた暴力行為がありますので、教会が迎えに行くまでに、罰金や、刑罰を決めておいてもらえますか?」
ガズリーが叫んで開いた口に猿ぐつわを嵌め、黙らせてしまった。
この教会騎士……中々強いな、覚醒しないと負けるかもしんねえ。
(そうね~、ほんと手際が良いわ、でもケントも覚醒してる時の動きを体が覚えるはずだから、その内覚醒無しでも余裕で倒せるようになるわよ~)
おお、そういやさっきテルルを守る時、思ったように体は動いたな、間に合わねえかと思ったけどよ。
よし、このまま頑張って修行してけばもっと強くなれるってことだな。
ガズリー達の方へ意識を戻すと、三人とも後ろ手に縛られ、腰をロープで繋がれたところだった。
まだフガフガと顔を真っ赤にして怒ってるガズリーなんだが、モヤモヤが体の内から滲み出ているように見える。
なあアンラ、ガズリーから濃いモヤモヤが出てっけど大丈夫じゃねえよな?
(ん~、あれはレイスではないわね、まだ。その内立派なレイスになるかもね、王城にいた三匹と変わらないくらいのヤツに)
は? どういう事だ? レイスが人間から産まれんのか? あっ、まあ、墓場に多いからコイツが死んだ時になるんかも知れねえが。
(ん~、私もよく知らないんだけど、突然現れたり、魔力溜まりからでてきたり、この子みたいに人や、動物からも産まれるみたいね。それに、出てこないまま、消えることもあるし)
って事はだ、出てくるまでは放っておくしかねえか。
「君達もこの後ですが良いかな? 衛兵の詰所で話を聞きたいので来てもらいたいのですが?」
「マジかよ、今言ってた事だけだぞ? それに明日出発の準備をしちまいたいんだが、行かなきゃ駄目か?」
「そうですね、では夕方に今回の件をまとめた資料ができると思いますので、それを確認して署名をいただきたいので、お願いしますか?」
衛兵のおっさんが、止まって返事をしたため、諦めたのか歩きだしたガズリー達はおっさんの持ってたロープのせいで、つんのめり『ぐえっ』と腹に食い込んだのか声を漏らした。
ん~、資料を見て名前書きに行くくらいなら行っとくか。
「分かった、そんくらいなら、城へ帰る前に顔出しするよ」
「協力感謝します、よし、行くぞ、歩け!」
衛兵を見送った後、騎士と教会騎士達は残っていて、俺……じゃねえな、後ろのみんなを見てる。
俺も同じように見てみたんだが……なに見てんだ?
その通りだな。
白ローブはその後も、ガズリーが剣を抜き、残りの二人も追従したと話を続けた。
「待てよ! なんだよそれは! 言いがかりだ、僕達は悪くない! 悪いのは外れスキル『努力』とか訳の分からない物を持ってるケントの方だ!」
ガズリーは白ローブに詰め寄りまた唾を飛ばしながら『悪くない』を連呼しているが、教会騎士は肩を持ち、白ローブに手が届かないように引き留めている。
その肩を引き寄せ自分の方を見させると、両肩を押さえて話し出した。
「いや、話を聞けば聞くほど聖騎士ガズリー達の方が悪いようですよ、こちらのケント殿と言いましたね」
首をまわし、チラッと俺の方を見てくっから軽く頷いてやったら『ありがとう』と笑顔でコクリと首を縦に振った。
俺から目を離してガズリー戻すと、険しい顔に変わり、力を入れて肩を掴んでいるのか、ガズリーの表情がこわばったように見えたが……。
「聖騎士ガズリー、そのケント君は何も悪くはないようですし、それに、大通りで剣を抜いたのはいただけません」
ガズリーはまだ俺を睨んでやがる。
「僕は決闘を申し込んだんです! 剣はそのために抜いただけで、決闘で剣を抜いて何が悪いのですか!」
「なあガズリー、俺は決闘を受けるとも何も言ってねえぞ、お前が馬車を止めろと言ってきたからよ、止められる場所に来て止めただろ? それも手を上げて挨拶した後にだ」
俺はガズリーの方に近付き、三人を囲う輪に混ざる。
「んで馬車を止めてみんなを降ろしてたら、蹴りをいきなり入れてきたんだろうが……違うんか? それでなぜ決闘受けなきゃなんねえんだ?」
「黙れ外れ野郎! さっさと美少女達を賭けて決闘だ! 美しい女性は僕の隣にいる方が幸せなんだ! 間違ってもお前の隣ではない――うがっ!」
教会騎士が肩からガズリーの顔を横から挟むように持ち変えた。
押し潰されたほっぺたのせいで、ふがふがとしか言えず、逃れようとジタバタと暴れ、教会騎士の手首を持って、振りほどこうとしているがビクともしない。
「聖騎士ガズリー、そちらの二人は反省しているようだが、あなたは少し教育が必要ですね」
そう言うと、見物人が呼んだ衛兵を呼び寄せると、手首を掴んでいたガズリーの手を取り、捻るように背中へまわしてしまうと、後ろ手に拘束具を嵌めてしまった。
「な、なにをする! 外せ! 捕まえるのならケントの方だ! 離せよ! 僕は聖騎士なんだぞ!」
暴れまくるが、腰の高そうな剣を外され、ナイフも持っていたようで、それも回収されている。
「こ、こら、それは司教様にもらった剣だぞ! なんで取るんだ――フガッ!」
「よしっと、衛兵の皆さん、この三人は往来で剣を抜いた罪と、こちらのケントくんに働いた暴力行為がありますので、教会が迎えに行くまでに、罰金や、刑罰を決めておいてもらえますか?」
ガズリーが叫んで開いた口に猿ぐつわを嵌め、黙らせてしまった。
この教会騎士……中々強いな、覚醒しないと負けるかもしんねえ。
(そうね~、ほんと手際が良いわ、でもケントも覚醒してる時の動きを体が覚えるはずだから、その内覚醒無しでも余裕で倒せるようになるわよ~)
おお、そういやさっきテルルを守る時、思ったように体は動いたな、間に合わねえかと思ったけどよ。
よし、このまま頑張って修行してけばもっと強くなれるってことだな。
ガズリー達の方へ意識を戻すと、三人とも後ろ手に縛られ、腰をロープで繋がれたところだった。
まだフガフガと顔を真っ赤にして怒ってるガズリーなんだが、モヤモヤが体の内から滲み出ているように見える。
なあアンラ、ガズリーから濃いモヤモヤが出てっけど大丈夫じゃねえよな?
(ん~、あれはレイスではないわね、まだ。その内立派なレイスになるかもね、王城にいた三匹と変わらないくらいのヤツに)
は? どういう事だ? レイスが人間から産まれんのか? あっ、まあ、墓場に多いからコイツが死んだ時になるんかも知れねえが。
(ん~、私もよく知らないんだけど、突然現れたり、魔力溜まりからでてきたり、この子みたいに人や、動物からも産まれるみたいね。それに、出てこないまま、消えることもあるし)
って事はだ、出てくるまでは放っておくしかねえか。
「君達もこの後ですが良いかな? 衛兵の詰所で話を聞きたいので来てもらいたいのですが?」
「マジかよ、今言ってた事だけだぞ? それに明日出発の準備をしちまいたいんだが、行かなきゃ駄目か?」
「そうですね、では夕方に今回の件をまとめた資料ができると思いますので、それを確認して署名をいただきたいので、お願いしますか?」
衛兵のおっさんが、止まって返事をしたため、諦めたのか歩きだしたガズリー達はおっさんの持ってたロープのせいで、つんのめり『ぐえっ』と腹に食い込んだのか声を漏らした。
ん~、資料を見て名前書きに行くくらいなら行っとくか。
「分かった、そんくらいなら、城へ帰る前に顔出しするよ」
「協力感謝します、よし、行くぞ、歩け!」
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