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第一章
第75話 なんかやっちまったか?
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ぎゅうぎゅう詰めのゴブリンを背後から雨あられのように魔法で攻撃していく。
火球を両手で交互に使いながら、背中の真ん中を狙い投げつけていく。
何匹かの体を突き抜けた後、ドンと爆発してその衝撃でも何匹か倒れていくゴブリンをクロセルが収納していってくれるため、足場にたまること無く一段、また一段と階段を上る。
「ん? どうしたソラーレ、降りたら間違えて踏んじまうかも知れねえぞ?」
みにょ~んと伸びて階段に降りたソラーレは、俺達の少し前で階段の一段にペタリと引っ付いて、ゴブリンの血で滑りやすくなっていたのに、それを綺麗に吸収してくれている。
「あらソラーレ、中々気が利くじゃない、クロセル、ゴブリンも少し残しておいてあげたら?」
『良い考えですね、何匹か残しておきます』
すると足元の血どころか、階段の汚れまで綺麗になって、ポツポツと残されたゴブリンも次々と綺麗に吸収してしまってる。
背後から攻撃されている事に気が付いたゴブリンが向きを変え、階段を下ってこようとするが、そんな事をさせるつもりはない。
横にぎゅうぎゅう詰めで十匹ほどが並んで一度に来ようが、俺とアンラが魔法を撃って投げまくり、一段下りることも許さない。
そんな時、ズシっと背中に重さを感じたと思ったら、いつの間にかクローセは俺達の後ろで大きなあくびをした後、もとの大きさに戻って、俺の背負うリュックに戻ってきた。
「おっ、クローセお疲れさん、すごく助かったぞ、クローセにも後で美味いの食わせてやるからな」
「ねえねえ私も美味しいの食べたいんだけど、あっ、お城の高そうなお酒でも良いよ? それか本でも良いけどさ」
ちと緊張感の無いまま階段を上りきって、出る前にソラーレが肩に戻り、表に出てきたんだが、一面に動き回るゴブリンと、倒れたゴブリンが見え、壁の上から魔法や弓で、騎士と魔道師達が攻撃しているのが見えた。
そしてその向こう側に俺とアンラが飛び下りてきたベランダが見え、そこには王様と公爵様、そしてメイド姿の王妃様が俺達を見下ろしている。
そこから大声で下の兵士達に何かを伝えているようだが、俺達の近くにいるゴブリンの『ゲギャギャ』『グギャ』と言った声でよく聞き取れなかった。
そして俺達の方を指差してっから、ちと気になったんで聞いてみた。
「なあアンラ、姿は隠してんだろ?」
(うん、もちろんよ、そこは抜かりないわよ、あっ、クロセル、倒れてるゴブリン邪魔だし収納しちゃわない? それとも私が収納しちゃおうか?)
『いいえ、私が収納しておきます、アンラはそのままケントと一緒に魔法を撃ち続けておいて下さい』
足元のゴブリンが一瞬で綺麗に無くなると、壁際に重なりあっていた死体を足場にして、壁を登ろうといたゴブリン達も地面に落ち、上から降り注ぐ魔法と矢で立ち上がることもできず、倒されていく。
そして死体が無くなったためにあれほど沢山いたように見えたゴブリン達は、思ったより少なく、首を回してまわりを見渡すと、残りは二百匹いるかいないかとなっていた。
壁の上からは『あの少年には当てるな! 王と公爵様の客人だ!』と叫ぶ騎士と『はっ!』と答える騎士達。
その後は、たまに近くにまで飛んできていた魔法や矢は無くなり、そっちを気にせずゴブリンだけに集中することができた。
それから十数分で最後のゴブリンが倒れ、今回魔道具で現れたゴブリンは、全て倒してしまったはずだ、二階層から併せると千匹はいたんじゃねえかな。
最後に倒れたゴブリンをクロセルが収納して、地面には、ゴブリンの血だけが染み込みどす黒くなっているだけになった。
「ふう、なんとか終ったな」
(だね~、さあ王様達のところに戻らないと怒られない? ほら、こっち見てるし)
「だな、まあ、二階層の奴らもこっちに向かってるだろうし、説明してくれっだろ」
『ケント、声を控えて下さいね、独り言を言ってるように見えますから』
そうだった、変な奴と思われるのは勘弁してもらいてえな。
壁の上の騎士達が半分ほどです壁の向こう側へ消えたと思ったら、ギギギと音が鳴り響き、鉄で補強された大きな扉が開き、王子様が先頭で壁の中に入ってきた。
俺も、王子様に向けて歩きだし、扉とダンジョンの階段とのちょうど真ん中で止まり、王子様の隣にいた騎士が声をかけてきた。
「少年は何者だ、ここは近衛騎士と一部の者だけが入る事を許された場所だ、勝手に壁を飛び越えダンジョンにまで入ったとなると、それ相応の罰を与えねばならない」
「ん? そりゃすまねえな、急ぎだったみてえだからよ、そこにいる王子様と王様達には言ってから入ったんだが……なんかわりい事したようだ」
「おい! 王子様に向かってその言葉遣いは何事だ! 不敬にもほどがあるぞ!」
はぁ? なんだよコイツ、ちゃんと断ってきたしよ、ちゃんと様付けしてんだろうが。
『ケント、あなたの言葉遣いは決して良いものではありませんよ、たまたま公爵様や、王様に王妃様も寛大だっただけで、普通なら不敬罪と言われても仕方がないレベルですね』
俺をじっと真剣な目で見てくる王子様と、腰の剣に手を掛け、唾を飛ばしながら怒鳴り付けてくる騎士のおっさん。
なんだよまったく、人助けして怒られんのか、まあ、言葉遣いね、ちと勉強すんのも良いかもな。
そして王子様は今にも飛びかかろうとしているおっさんを手で制し『はぁ』とため息を一つ。
「ケント殿、ご助力感謝いたします、それから中から出てきたという事は?」
「おう、二階層の騎士と魔道師達は助けてきたぞ、それに魔道具も回収したしな。ってかよ、副魔道師長が俺の仲間に攻撃してきたから後で文句言うからな」
『はぁ、早急に教えないと駄目なようですね』
ほっぺたをピクピクさせて苦笑いの王子様と、顔を真っ赤にしておでこに筋が入り怒り顔のおっさんに睨まれた。
俺、またやっちまったんかな……。
火球を両手で交互に使いながら、背中の真ん中を狙い投げつけていく。
何匹かの体を突き抜けた後、ドンと爆発してその衝撃でも何匹か倒れていくゴブリンをクロセルが収納していってくれるため、足場にたまること無く一段、また一段と階段を上る。
「ん? どうしたソラーレ、降りたら間違えて踏んじまうかも知れねえぞ?」
みにょ~んと伸びて階段に降りたソラーレは、俺達の少し前で階段の一段にペタリと引っ付いて、ゴブリンの血で滑りやすくなっていたのに、それを綺麗に吸収してくれている。
「あらソラーレ、中々気が利くじゃない、クロセル、ゴブリンも少し残しておいてあげたら?」
『良い考えですね、何匹か残しておきます』
すると足元の血どころか、階段の汚れまで綺麗になって、ポツポツと残されたゴブリンも次々と綺麗に吸収してしまってる。
背後から攻撃されている事に気が付いたゴブリンが向きを変え、階段を下ってこようとするが、そんな事をさせるつもりはない。
横にぎゅうぎゅう詰めで十匹ほどが並んで一度に来ようが、俺とアンラが魔法を撃って投げまくり、一段下りることも許さない。
そんな時、ズシっと背中に重さを感じたと思ったら、いつの間にかクローセは俺達の後ろで大きなあくびをした後、もとの大きさに戻って、俺の背負うリュックに戻ってきた。
「おっ、クローセお疲れさん、すごく助かったぞ、クローセにも後で美味いの食わせてやるからな」
「ねえねえ私も美味しいの食べたいんだけど、あっ、お城の高そうなお酒でも良いよ? それか本でも良いけどさ」
ちと緊張感の無いまま階段を上りきって、出る前にソラーレが肩に戻り、表に出てきたんだが、一面に動き回るゴブリンと、倒れたゴブリンが見え、壁の上から魔法や弓で、騎士と魔道師達が攻撃しているのが見えた。
そしてその向こう側に俺とアンラが飛び下りてきたベランダが見え、そこには王様と公爵様、そしてメイド姿の王妃様が俺達を見下ろしている。
そこから大声で下の兵士達に何かを伝えているようだが、俺達の近くにいるゴブリンの『ゲギャギャ』『グギャ』と言った声でよく聞き取れなかった。
そして俺達の方を指差してっから、ちと気になったんで聞いてみた。
「なあアンラ、姿は隠してんだろ?」
(うん、もちろんよ、そこは抜かりないわよ、あっ、クロセル、倒れてるゴブリン邪魔だし収納しちゃわない? それとも私が収納しちゃおうか?)
『いいえ、私が収納しておきます、アンラはそのままケントと一緒に魔法を撃ち続けておいて下さい』
足元のゴブリンが一瞬で綺麗に無くなると、壁際に重なりあっていた死体を足場にして、壁を登ろうといたゴブリン達も地面に落ち、上から降り注ぐ魔法と矢で立ち上がることもできず、倒されていく。
そして死体が無くなったためにあれほど沢山いたように見えたゴブリン達は、思ったより少なく、首を回してまわりを見渡すと、残りは二百匹いるかいないかとなっていた。
壁の上からは『あの少年には当てるな! 王と公爵様の客人だ!』と叫ぶ騎士と『はっ!』と答える騎士達。
その後は、たまに近くにまで飛んできていた魔法や矢は無くなり、そっちを気にせずゴブリンだけに集中することができた。
それから十数分で最後のゴブリンが倒れ、今回魔道具で現れたゴブリンは、全て倒してしまったはずだ、二階層から併せると千匹はいたんじゃねえかな。
最後に倒れたゴブリンをクロセルが収納して、地面には、ゴブリンの血だけが染み込みどす黒くなっているだけになった。
「ふう、なんとか終ったな」
(だね~、さあ王様達のところに戻らないと怒られない? ほら、こっち見てるし)
「だな、まあ、二階層の奴らもこっちに向かってるだろうし、説明してくれっだろ」
『ケント、声を控えて下さいね、独り言を言ってるように見えますから』
そうだった、変な奴と思われるのは勘弁してもらいてえな。
壁の上の騎士達が半分ほどです壁の向こう側へ消えたと思ったら、ギギギと音が鳴り響き、鉄で補強された大きな扉が開き、王子様が先頭で壁の中に入ってきた。
俺も、王子様に向けて歩きだし、扉とダンジョンの階段とのちょうど真ん中で止まり、王子様の隣にいた騎士が声をかけてきた。
「少年は何者だ、ここは近衛騎士と一部の者だけが入る事を許された場所だ、勝手に壁を飛び越えダンジョンにまで入ったとなると、それ相応の罰を与えねばならない」
「ん? そりゃすまねえな、急ぎだったみてえだからよ、そこにいる王子様と王様達には言ってから入ったんだが……なんかわりい事したようだ」
「おい! 王子様に向かってその言葉遣いは何事だ! 不敬にもほどがあるぞ!」
はぁ? なんだよコイツ、ちゃんと断ってきたしよ、ちゃんと様付けしてんだろうが。
『ケント、あなたの言葉遣いは決して良いものではありませんよ、たまたま公爵様や、王様に王妃様も寛大だっただけで、普通なら不敬罪と言われても仕方がないレベルですね』
俺をじっと真剣な目で見てくる王子様と、腰の剣に手を掛け、唾を飛ばしながら怒鳴り付けてくる騎士のおっさん。
なんだよまったく、人助けして怒られんのか、まあ、言葉遣いね、ちと勉強すんのも良いかもな。
そして王子様は今にも飛びかかろうとしているおっさんを手で制し『はぁ』とため息を一つ。
「ケント殿、ご助力感謝いたします、それから中から出てきたという事は?」
「おう、二階層の騎士と魔道師達は助けてきたぞ、それに魔道具も回収したしな。ってかよ、副魔道師長が俺の仲間に攻撃してきたから後で文句言うからな」
『はぁ、早急に教えないと駄目なようですね』
ほっぺたをピクピクさせて苦笑いの王子様と、顔を真っ赤にしておでこに筋が入り怒り顔のおっさんに睨まれた。
俺、またやっちまったんかな……。
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