俺は神剣に選ばれ最強になる! 封印されてたツンデレ悪魔を引き連れ修行旅~ところで外れスキルの『努力』ってどういう事だよ!~【俺と悪魔】

いな@

文字の大きさ
上 下
35 / 149
第一章

第35話 潜入成功

しおりを挟む
 ギルマスと衛兵長がリチウムを捕らえる準備をするため、それぞれギルドと詰所に分かれ、ギルマスは単身で、衛兵は黒ずくめ達を連れて出ていった。

 見送った後、俺は装備を整え管理監邸に向かう。

「本当に良いのかプリム。一応こないだまで住んでたんだろ?」

 プリムは俺の横で力強く頷く。

 頷いたまま自分の手のひらを見て、そしてギュッと握りしめ、俺の方を見上げた。

「もちろんですよ! 悪い事はしちゃ駄目ってお母さんから教わりましたから」

 やる気満々の顔だが、力強く見開いていた目が急に弱々しく、泣きそうな顔に変わる。

「突然何も言わずに居なくなっちゃいましたけど、それでも、教わった事は失くしたくありませんから」

「おう。その通りだな。まあ俺は父ちゃんも母ちゃんも知らねえからよ、クソ爺から教わった中で良いものだけはちゃんと守るぜ」

 プリムの手を取り、そこそこ夜も遅い時間なのに行き交う者達。ぶつかりそうになる人達を避け、手を引きながら大通りの端から管理監邸の裏手に続く路地裏に入り、そんな話をしていた。

「ねえねえ、ちゃんと聞いてなかったけど、拷問部屋があるんでしょ?」

路地裏に入り、アンラがそんな事を聞いてきた。

そういやギルマスが売りに出したのってそうだよな。

「私は入った事はないですけど、地下にあるそうです、管理監邸に勤めていて悪さをした人を捕まえておくって言ってたよ」

それぜってえ悪い事にも使ってるだろうな。

「じゃあ、その人達は良い人の可能性があるわよね」

 アンラはそんな事を言いながらまた両手にモヤモヤを鷲掴みにして何匹も捕まえている。

 そして掴みきれなくなると切り裂いて浄化。

 そして路地裏から大きな通りに出た。

 アンラはまた、管理監邸に向かいながらモヤモヤを見付け、行き交う人達を避けながら走りより捕まえてる。

 暇があればあれやってるな、まあ良いけどよ。

(やっぱりまだ本調子じゃないわね、ケントの魔力だけじゃ、本気出したらすぐに魔力が枯渇しちゃうわ。魔物達とコイツらからだけでも魔力吸収で、吸い取っておかなきゃね)

一瞬アンラの顔がくもった気がしたんだが気のせいか、滅茶苦茶楽しそうに次のレイスを捕まえに走ってる。

 ちと気になるがそれより地下に捕まっている奴の中には、本当に悪い奴もいるかもしんねえからな、判別はギルマスや衛兵長に任せるしかねえか。

「おう、アンラの言う通りだな、これは助けるしかねえ。っと言ってる間にこの壁がそうだろ?」

「はい。こっちです。少し行くと木の陰で見えませんが、こっそり出入りできる扉があるんです」

 俺の前に小走りで出て、手を引き壁際に生えている木の裏にまわる。

 そこには大人なら腰を屈めないと通ることは無理な小さな扉があった。

「鍵がかかっているのですが、ここを――っ!」

(あ~面倒だし、プリムのいた部屋まで飛じゃうよ~、ほいっと、もひとつ、ぴょ~ん!)

 プリムが扉の取手に触ろうとしていたのに俺達の真後ろに来ていたアンラは俺とプリムの襟首を掴んで塀に飛び乗り――っ!

「「ぬおっ!きゃ!」」

(喋らないでね~、見付かっちゃうよ~。っとお――――は~い到着! 窓開けてくれる?)

 塀の上から一気に屋敷の屋根の上に到着した……。

 お前な! いまプリムが潜入のために扉を開けようとしてだろ!

 プリムは声を出さないように左手で口を押さえながらプルプル震える手で屋根裏部屋に入る窓を引き開けた。

(えへへ~、そうだけどさ~、あそこ見てよ、ちょうど通っていくところじゃん)

 浮いてるアンラに掴まれたままぷら~んとぶら下がってる俺達は、首をひねり、俺達が入ろうとしていた扉前を通る見廻りだろう兵士の姿が見えた。

 あのままプリムが扉を開け、中に入っていたなら見付かっていただろうな。

「マジかよ、ありがとうなアンラ。それとすまねえ、悪かったな」

「あ、危なかったです。巡回の事を完全に忘れてました」

「ぬふふふ。感謝したまえよ! んじゃ入っちゃおう」

 ぷら~んとされたまま屋根裏部屋に入った。

 部屋の中は聞いてた通り、本棚と寝台が一つしかない、その本棚に俺達をおろしたアンラはとととっと走りより『本棚ごともらって良いよね?』と言う······。

 俺も近寄って見てみたがボロボロで傾きかけの本棚に、背表紙も革がひび割れ、触るとポロポロと破片が落ちるような古い物がほとんどだ、こんだけボロボロなら良いとしか言えねえ気がする。

 プリムに聞くと、この屋敷の図書室の棚に入らない物が置かれてるそうだし、重要な物じゃねえって事だ。

 それを聞いたアンラは嬉々として本を収納してしまった。

「よし、二階からやっつけて、最後は地下だな、ってかよ、この屋敷って人少なくねえか?」

 覚醒してるから気配を感じる力があるんだが、一階に数人。二階に二人だ。

 そのかわり地下に数十人の気配がある。

『おそらく地下以外はメイドや屋敷に雇われた者達だけと推測されます。それに、二階一番奥の部屋から移動している二人が今ここにいる者で一番強いかと』

「そいつらのどっちかがリチウムってことか?」

「たぶんそれであってます。二階はほとんど人を入れないので、もう一人は家令さんかな」

 夜は特にそうだと言う。気配を探るとどこかの部屋に入って動かなくなったから俺達はとりあえず屋根裏から二階に降りることにした。

「夜は梯子が外されて下りれなかったのです。まあ、普段からほとんど下りてくるなと言われていたのですけどね」

 二階に下りるための床板をずらして開く。

 二階でも離れたところに二人の気配があるから開いた時のギギギって音も聞こえてないだろ。

(じゃあ大人しくしててね、ぴょ~ん♪)

 今度はアンラを真ん中に手を繋ぎ、ふわりと少し浮き上がって、足元に開いた穴からす~っと、浮遊感があるまま簡単に下りる事ができた。

「すごいです、私の背の高さの五倍くらいはあるのに」

(あまり大きな声は出さない方がいいよ~。気付いてはいないようだけどね~)

「そうだな。奴らは動かないみたいだから先に下をやっちまうか」

 繋いでいた手を離し、二人のいる部屋に向かう。

 赤い絨毯が敷かれた通路を慎重に進み、角を曲がった先にある扉の中に二人はいるようだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...