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第1章

第37話 今後の計画を

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 金谷が出て行き、取り巻きの二人は少しだけ躊躇した後、後を追って出ていってしまった。

 流石にこれは駄目だろ、と思うがギルドマスターは、はぁと息を吐き『少し待っていてくれるか』と、出ていった金谷達を追いかけ部屋を出ていった。

『ねえねえ友里くん、奴隷は解放したんだよね、それなら後少しこの世界の事になれたらさ、この街を出ない?』

『ふおー! 旅に出ますの! どこに行きますの? 海? 山? あっ、湖美味しかったですの!』

 イルは茜ちゃんの提案に賛成のようだ。
 ソファーを飛び下り、壁に貼られているボロボロになった地図のところへトテトテと走って行くと、色々と指差しながら見上げている。

『くくっ、湖は食べれないけどね、そうだな、この地図だと、あの湖があれだろ、その先に大きな森があって海みたいだね、あ、森だと思ったけど、山かな?』

 そうだよな、茜ちゃんの言う通り奴隷は解放できたし、この街に残る理由もなくなった。
 今回のように、クラスメイトと出会う可能性のあるこの街に長居は不要だよね。

 イルも封印されてたこの街に居るより、のんびり旅するのも楽しいだろうし、お金がなくなれば、冒険者の依頼を請けて稼げば良いしね。

『あ、馬車は乗り合いで良いかな? 自分達の馬車も良いとは思うけど』

『馬車は……私達専用の馬車……憧れるけれど、私達に乗れるかな? 馬さんのお世話とかも覚えないといけないから、初めは乗り合いか、歩きでも良くないかな?』

『馬車! でも、歩きでゆっくりも楽しそうなのです! あっ、ユウリ、アカネ、この森! ここに行きたいですの!』

 イルが指差したところは、地図がビリビリに破れているところでペロンとなっていたが、茜ちゃんが持ち上げて元々あった位置に持ち上げると、ちょうど地名が読めた。

 豊穣の森と書かれている。その真ん中に大きな木の絵が描かれている。

 異世界で大きな木と言えば世界樹だよね。凄く大きいからここからでも見えても良さそうなんだけど……まあ、あてもない旅だし豊穣の森っていうくらいだから色んな美味しい山の幸とかあるかもね。

『イルも行きたそうだし、そこに向けて旅するのも良いね。イル、茜ちゃん、旅の準備をしようか』

『『わーいですの♪うん♪』』

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

一時間ほどギルドマスターの帰りを待っていたんだけど、帰ってくる気配もなく、このままだと宿もとれるかどうかなんだけど。

と考えていたけど、宿だけ取りに行って、その後仕方がないので、もう一度戻ってこようと、部屋を出る。
ギルドの職員にギルドマスターへの言付けをして、俺達は冒険者ギルドを出た。

宿は門前広場の中ですぐに見つかり、ギルドに戻る前に、屋台を見付けたイル。

「ユウリ、お昼のお魚も貝さんも美味しかったの。だから、今はお肉の串が美味しそうですの」

目をキラキラさせて、すぐにでもよだれを垂れそうなイルは、今にも屋台が集まる一角に歩きだそうとしている。
屋台を指差し、茜ちゃんの手をくいくいと引っ張っているのが見えた。

「くくっ、そうだね、夕ごはんはお肉かどうか分からないし、つまみ食いしちゃおっか」

『うんうん。私はキノコが間に挟まっているやつが食べたいです』

茜ちゃんもそれに賛同して、うんうんと二人は頷きあっている。

『私も同じのにするのです! 行くですのユウリ、アカネ!』

ぐいぐいと手を引き屋台へ歩き始め、すぐに屋台が集まる場所に到着。
最初はお目当てだった焼き串を、その隣の屋台でフルーツジュースが売っていたのでそれと一緒に購入した。

「ん~、冒険者ギルドの食事処で座りながら食べようか」

「は~い~で~すの~♪ お腹~す~きましたの~♪」

『可愛いぃぃー!』

うん。可愛いのは分かったから、焼き串を振り回さないでね。

フルーツジュースと一緒に俺が収納しておけば良かったかな、とか思わなくもないけど、俺達は冒険者ギルドに戻ってきた。

夕方までまだ少しあったため、食事処も空いている席がまだ沢山あったので、問題なく座る場所は確保。

ちょっと椅子が高く、イルが手に持つ焼き串を茜ちゃんに持ってもらい、椅子に『うんしょ、うんしょっですの』とよじ登る姿はまた可愛かったと茜ちゃんの心の声には反対意見もなく同意した。

「はぁ~ぐっ。ふぐふぐ……んくん! お肉さん美味しいですの!」

「ほんとだ、宿で食べた塩味だけじゃないね、あれはあれで美味しいんだけど」

『うんうん、これはハーブじゃないかな? って、このフルーツジュース! ……水でだいぶ薄めてるよ……スポーツドリンク……とは比べ物にならないくらいね』

搾りたてとか言ってたんだが……搾りたてを水でかさ増ししたってことかな?

焼き串を持つ触手とは別の触手を伸ばし、茜ちゃんのカップから少しもらったんだけど、言う通り、スポーツドリンクの方が甘くて美味しいだろ! と言いたいくらい、生ぬるくて薄い味だった。

「あっまーいですの! んくんくんくんく」

『あはは、イルちゃんにはこれでも甘く感じるんですね。……友里くん、イルちゃんには沢山美味しいもの食べてもらいましょうね』

『あっ、ん~っと、アイスじゃ凍ってしまうだろうから、冷やすは……クール? まあ、やってみるか――クール!』

俺はイルと茜ちゃんのカップに向かって、キンキンのヒエヒエになるようにイメージしながら、思い付いた呪文を唱えた。

「っ! ぷはっ! つ、冷たいですの! でも……んくっ! もっと美味しくなりましたの! ユウリありがとうなのです!」

『あっ! これ美味しい! 友里くん天才!』

いやいや天才じゃないだろとか思いながら、つまみ食いも終わり、しばらく待っていると席が満席になり、食べ終わった俺達は席を空けようかどうか思案していると、入口からギルドマスターが入ってくるのが見えた。
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