37 / 48
第1章
第37話 今後の計画を
しおりを挟む
金谷が出て行き、取り巻きの二人は少しだけ躊躇した後、後を追って出ていってしまった。
流石にこれは駄目だろ、と思うがギルドマスターは、はぁと息を吐き『少し待っていてくれるか』と、出ていった金谷達を追いかけ部屋を出ていった。
『ねえねえ友里くん、奴隷は解放したんだよね、それなら後少しこの世界の事になれたらさ、この街を出ない?』
『ふおー! 旅に出ますの! どこに行きますの? 海? 山? あっ、湖美味しかったですの!』
イルは茜ちゃんの提案に賛成のようだ。
ソファーを飛び下り、壁に貼られているボロボロになった地図のところへトテトテと走って行くと、色々と指差しながら見上げている。
『くくっ、湖は食べれないけどね、そうだな、この地図だと、あの湖があれだろ、その先に大きな森があって海みたいだね、あ、森だと思ったけど、山かな?』
そうだよな、茜ちゃんの言う通り奴隷は解放できたし、この街に残る理由もなくなった。
今回のように、クラスメイトと出会う可能性のあるこの街に長居は不要だよね。
イルも封印されてたこの街に居るより、のんびり旅するのも楽しいだろうし、お金がなくなれば、冒険者の依頼を請けて稼げば良いしね。
『あ、馬車は乗り合いで良いかな? 自分達の馬車も良いとは思うけど』
『馬車は……私達専用の馬車……憧れるけれど、私達に乗れるかな? 馬さんのお世話とかも覚えないといけないから、初めは乗り合いか、歩きでも良くないかな?』
『馬車! でも、歩きでゆっくりも楽しそうなのです! あっ、ユウリ、アカネ、この森! ここに行きたいですの!』
イルが指差したところは、地図がビリビリに破れているところでペロンとなっていたが、茜ちゃんが持ち上げて元々あった位置に持ち上げると、ちょうど地名が読めた。
豊穣の森と書かれている。その真ん中に大きな木の絵が描かれている。
異世界で大きな木と言えば世界樹だよね。凄く大きいからここからでも見えても良さそうなんだけど……まあ、あてもない旅だし豊穣の森っていうくらいだから色んな美味しい山の幸とかあるかもね。
『イルも行きたそうだし、そこに向けて旅するのも良いね。イル、茜ちゃん、旅の準備をしようか』
『『わーいですの♪』』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一時間ほどギルドマスターの帰りを待っていたんだけど、帰ってくる気配もなく、このままだと宿もとれるかどうかなんだけど。
と考えていたけど、宿だけ取りに行って、その後仕方がないので、もう一度戻ってこようと、部屋を出る。
ギルドの職員にギルドマスターへの言付けをして、俺達は冒険者ギルドを出た。
宿は門前広場の中ですぐに見つかり、ギルドに戻る前に、屋台を見付けたイル。
「ユウリ、お昼のお魚も貝さんも美味しかったの。だから、今はお肉の串が美味しそうですの」
目をキラキラさせて、すぐにでもよだれを垂れそうなイルは、今にも屋台が集まる一角に歩きだそうとしている。
屋台を指差し、茜ちゃんの手をくいくいと引っ張っているのが見えた。
「くくっ、そうだね、夕ごはんはお肉かどうか分からないし、つまみ食いしちゃおっか」
『うんうん。私はキノコが間に挟まっているやつが食べたいです』
茜ちゃんもそれに賛同して、うんうんと二人は頷きあっている。
『私も同じのにするのです! 行くですのユウリ、アカネ!』
ぐいぐいと手を引き屋台へ歩き始め、すぐに屋台が集まる場所に到着。
最初はお目当てだった焼き串を、その隣の屋台でフルーツジュースが売っていたのでそれと一緒に購入した。
「ん~、冒険者ギルドの食事処で座りながら食べようか」
「は~い~で~すの~♪ お腹~す~きましたの~♪」
『可愛いぃぃー!』
うん。可愛いのは分かったから、焼き串を振り回さないでね。
フルーツジュースと一緒に俺が収納しておけば良かったかな、とか思わなくもないけど、俺達は冒険者ギルドに戻ってきた。
夕方までまだ少しあったため、食事処も空いている席がまだ沢山あったので、問題なく座る場所は確保。
ちょっと椅子が高く、イルが手に持つ焼き串を茜ちゃんに持ってもらい、椅子に『うんしょ、うんしょっですの』とよじ登る姿はまた可愛かったと茜ちゃんの心の声には反対意見もなく同意した。
「はぁ~ぐっ。ふぐふぐ……んくん! お肉さん美味しいですの!」
「ほんとだ、宿で食べた塩味だけじゃないね、あれはあれで美味しいんだけど」
『うんうん、これはハーブじゃないかな? って、このフルーツジュース! ……水でだいぶ薄めてるよ……スポーツドリンク……とは比べ物にならないくらいね』
搾りたてとか言ってたんだが……搾りたてを水でかさ増ししたってことかな?
焼き串を持つ触手とは別の触手を伸ばし、茜ちゃんのカップから少しもらったんだけど、言う通り、スポーツドリンクの方が甘くて美味しいだろ! と言いたいくらい、生ぬるくて薄い味だった。
「あっまーいですの! んくんくんくんく」
『あはは、イルちゃんにはこれでも甘く感じるんですね。……友里くん、イルちゃんには沢山美味しいもの食べてもらいましょうね』
『あっ、ん~っと、アイスじゃ凍ってしまうだろうから、冷やすは……クール? まあ、やってみるか――クール!』
俺はイルと茜ちゃんのカップに向かって、キンキンのヒエヒエになるようにイメージしながら、思い付いた呪文を唱えた。
「っ! ぷはっ! つ、冷たいですの! でも……んくっ! もっと美味しくなりましたの! ユウリありがとうなのです!」
『あっ! これ美味しい! 友里くん天才!』
いやいや天才じゃないだろとか思いながら、つまみ食いも終わり、しばらく待っていると席が満席になり、食べ終わった俺達は席を空けようかどうか思案していると、入口からギルドマスターが入ってくるのが見えた。
流石にこれは駄目だろ、と思うがギルドマスターは、はぁと息を吐き『少し待っていてくれるか』と、出ていった金谷達を追いかけ部屋を出ていった。
『ねえねえ友里くん、奴隷は解放したんだよね、それなら後少しこの世界の事になれたらさ、この街を出ない?』
『ふおー! 旅に出ますの! どこに行きますの? 海? 山? あっ、湖美味しかったですの!』
イルは茜ちゃんの提案に賛成のようだ。
ソファーを飛び下り、壁に貼られているボロボロになった地図のところへトテトテと走って行くと、色々と指差しながら見上げている。
『くくっ、湖は食べれないけどね、そうだな、この地図だと、あの湖があれだろ、その先に大きな森があって海みたいだね、あ、森だと思ったけど、山かな?』
そうだよな、茜ちゃんの言う通り奴隷は解放できたし、この街に残る理由もなくなった。
今回のように、クラスメイトと出会う可能性のあるこの街に長居は不要だよね。
イルも封印されてたこの街に居るより、のんびり旅するのも楽しいだろうし、お金がなくなれば、冒険者の依頼を請けて稼げば良いしね。
『あ、馬車は乗り合いで良いかな? 自分達の馬車も良いとは思うけど』
『馬車は……私達専用の馬車……憧れるけれど、私達に乗れるかな? 馬さんのお世話とかも覚えないといけないから、初めは乗り合いか、歩きでも良くないかな?』
『馬車! でも、歩きでゆっくりも楽しそうなのです! あっ、ユウリ、アカネ、この森! ここに行きたいですの!』
イルが指差したところは、地図がビリビリに破れているところでペロンとなっていたが、茜ちゃんが持ち上げて元々あった位置に持ち上げると、ちょうど地名が読めた。
豊穣の森と書かれている。その真ん中に大きな木の絵が描かれている。
異世界で大きな木と言えば世界樹だよね。凄く大きいからここからでも見えても良さそうなんだけど……まあ、あてもない旅だし豊穣の森っていうくらいだから色んな美味しい山の幸とかあるかもね。
『イルも行きたそうだし、そこに向けて旅するのも良いね。イル、茜ちゃん、旅の準備をしようか』
『『わーいですの♪』』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一時間ほどギルドマスターの帰りを待っていたんだけど、帰ってくる気配もなく、このままだと宿もとれるかどうかなんだけど。
と考えていたけど、宿だけ取りに行って、その後仕方がないので、もう一度戻ってこようと、部屋を出る。
ギルドの職員にギルドマスターへの言付けをして、俺達は冒険者ギルドを出た。
宿は門前広場の中ですぐに見つかり、ギルドに戻る前に、屋台を見付けたイル。
「ユウリ、お昼のお魚も貝さんも美味しかったの。だから、今はお肉の串が美味しそうですの」
目をキラキラさせて、すぐにでもよだれを垂れそうなイルは、今にも屋台が集まる一角に歩きだそうとしている。
屋台を指差し、茜ちゃんの手をくいくいと引っ張っているのが見えた。
「くくっ、そうだね、夕ごはんはお肉かどうか分からないし、つまみ食いしちゃおっか」
『うんうん。私はキノコが間に挟まっているやつが食べたいです』
茜ちゃんもそれに賛同して、うんうんと二人は頷きあっている。
『私も同じのにするのです! 行くですのユウリ、アカネ!』
ぐいぐいと手を引き屋台へ歩き始め、すぐに屋台が集まる場所に到着。
最初はお目当てだった焼き串を、その隣の屋台でフルーツジュースが売っていたのでそれと一緒に購入した。
「ん~、冒険者ギルドの食事処で座りながら食べようか」
「は~い~で~すの~♪ お腹~す~きましたの~♪」
『可愛いぃぃー!』
うん。可愛いのは分かったから、焼き串を振り回さないでね。
フルーツジュースと一緒に俺が収納しておけば良かったかな、とか思わなくもないけど、俺達は冒険者ギルドに戻ってきた。
夕方までまだ少しあったため、食事処も空いている席がまだ沢山あったので、問題なく座る場所は確保。
ちょっと椅子が高く、イルが手に持つ焼き串を茜ちゃんに持ってもらい、椅子に『うんしょ、うんしょっですの』とよじ登る姿はまた可愛かったと茜ちゃんの心の声には反対意見もなく同意した。
「はぁ~ぐっ。ふぐふぐ……んくん! お肉さん美味しいですの!」
「ほんとだ、宿で食べた塩味だけじゃないね、あれはあれで美味しいんだけど」
『うんうん、これはハーブじゃないかな? って、このフルーツジュース! ……水でだいぶ薄めてるよ……スポーツドリンク……とは比べ物にならないくらいね』
搾りたてとか言ってたんだが……搾りたてを水でかさ増ししたってことかな?
焼き串を持つ触手とは別の触手を伸ばし、茜ちゃんのカップから少しもらったんだけど、言う通り、スポーツドリンクの方が甘くて美味しいだろ! と言いたいくらい、生ぬるくて薄い味だった。
「あっまーいですの! んくんくんくんく」
『あはは、イルちゃんにはこれでも甘く感じるんですね。……友里くん、イルちゃんには沢山美味しいもの食べてもらいましょうね』
『あっ、ん~っと、アイスじゃ凍ってしまうだろうから、冷やすは……クール? まあ、やってみるか――クール!』
俺はイルと茜ちゃんのカップに向かって、キンキンのヒエヒエになるようにイメージしながら、思い付いた呪文を唱えた。
「っ! ぷはっ! つ、冷たいですの! でも……んくっ! もっと美味しくなりましたの! ユウリありがとうなのです!」
『あっ! これ美味しい! 友里くん天才!』
いやいや天才じゃないだろとか思いながら、つまみ食いも終わり、しばらく待っていると席が満席になり、食べ終わった俺達は席を空けようかどうか思案していると、入口からギルドマスターが入ってくるのが見えた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる