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第1章

第16話 クラス分けと追放 ①

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 まずはイルだ、目の前の顔を見て鑑定!
 よし見えた。後はこのステータスを擬装すれば良いはずだ。
 それから逃げ出しても気に止めることもないステータスに……擬装カモフラージュ

 ――――――――――――――――――――

 名前 ユウリ・シノノメ(イル・ミンスール)
 性別 男(女)
 種族 人族(魔族)
 職業 ――
 HP 3
 MP 3(測定不能)
 スキル 言語理解
 備考 ――(魔王)

 ――――――――――――――――――――

 名前に性別、イルは職業とスキルが無いから言語理解を付けて、職業は……無しで良いかな。

 って備考も無しにしておかないと魔王が見られるのは絶対駄目だよな、ここも変えて……うん、これで良し、スキルが言語理解だけで無いより怪しまれないだろう。

『茜ちゃん、返事がまだみたいだけどステータスの擬装しちゃうね』

『う、うん。それと、誰にも言ってないし、知られてないよ』

 茜ちゃんはゴソゴソと腕輪を左手に通すと、サイズが自動で合わせられてピッタリと嵌めてしまう。

 イルも同じように魔力自動回復の腕輪を嵌める。

 次だ、茜ちゃんを鑑定! それに擬装カモフラージュ

 ――――――――――――――――――――

 名前 アカネ・ニシ
 性別 女
 種族 人族(エンシェントエルフ)
 職業 ――(聖女)
 HP 3(100)
 MP 3(9999)
 スキル 言語理解(魔法の才能、弓術の才能、看破)
 備考 ――(聖魔法)

 ――――――――――――――――――――

 うお! 擬装はイルの物と合わせたけど、色々と茜ちゃん凄くない!? って驚いている場合じゃない!

『茜ちゃん、たぶんステータスを見れば擬装したものが見えるはずだから、()の中の事は言っちゃ駄目だからね。自分では見れるけれど、他人には分からないようになってるから、どんなのか確認だけしてくれる』

『は、はい、ス、ステータス……ほへ? 見た目が弱くなってます……これは良いの?』

『うん。みんなには悪いけど、俺と茜ちゃんが役立たずと思わせたいんだ。それでここから逃げ出したいと思ってる』

 逃げ出すと聞いて驚いたのか、口をポカンと開けている。

『もちろん、クラスのみんなの事は、助けたいと思ってる。いくら虐められて学校に行けなくなったとしても、この世界じゃ元の世界に帰れない……仲間だからね』

『わ、分かりました。一度この城から抜け出して、みんなを向かい入れる準備をするのですね』

『…………いや、抜け出すところまでにしようと思う。奴隷のままなのは流石に可哀想だけど、ずっと虐められると分かっているのに一緒にはいたくないでしょ?』

 まだほんの少し迷ってるんだけどね。

 でも、僕の言葉にはっとした表情に変わり、コクリと頷いた茜ちゃん。

 その時、全員が腕輪を嵌め終わったようだ。

 それを見たからなのか、魔法使いの人が話し始める。

「これより、勇者の皆様が持つステータスやスキルを確認したいと思います。ステータスによって皆様には分かれてもらい、その別れたグループで行動してもらいます」

「ってかよ~、勝手に話を進めんなよなぁ~、そんな事をしたかねえんだけどさぁ~、先に約束してくれよな、俺が言ったことはちゃんと聞いてくれるんだろ?」

 金谷は立ち上がり、王様の横で立ってる魔法使いの所まで進んだかと思ったら、肩に手を回して肩を組んでしまった。

 だが、魔法使いは動揺もせず、肩にかけられた手を叩き落とす。

「ふむ、あなたは拳聖ですね、Sクラスですので――」

 Sクラスと言われた金谷に、魔法使いのところによって来た一人の騎士が金色の新たな腕輪が渡された。

「なんだよこれは、Sクラス? 訳の分かんねえこと言いやがって、お前頭悪いんか?」

「Sクラスですと、伯爵と同じ身分です。平民が一年遊んで暮らせるほどの報酬が国から渡され、もちろんSクラス専用の屋敷と使用人も派遣されます。その働きによって追加も支払われますが、納得いただけましたか?」

「おっ、なんだよ職業でそのクラスってのが分けられんのか、先に言えよなジジイ」

「ご理解ありがとうございます。では、席に戻って話の続きをお聞き下さいま――」

 納得したのか金谷はバンバンと魔法使いの肩を乱暴に、そして強く叩いたようで、『グアッ!』と言いながらその場で崩れ落ちてしまった。

「だがお前は生意気だ、二度と偉そうな口を叩くんじゃねえぞ。王様よ、お前もな、ペッ」

 そう言って唾を吐き捨て、今度は騎士に近付き、持っていた残りの金の腕輪を乗せたトレーを引ったくると、騎士を蹴飛ばし『よえーな』と言いながら元の席に戻り、取り巻きの二人に同じ金の腕輪を渡して嵌めてしまった。

 まわりからは『副騎士団長が簡単にやられるとは』『Sクラスと言えど鍛える前にあの強さとは』と小声だけどそんな声が聴こえてきた。

 その後、魔法使いは肩の骨が折れたのか、気絶して動かなくなった副騎士団長と一緒に、両脇から支えられて部屋から外へ運ばれていった。

 と言うより今ので文句を言わないなんて、おかしくない?

「元気が良いな。続けてクラス分けを終わらせよ」

 と思った瞬間に文句じゃない言葉が出たけどあっさりだよね!

 それに王様が考えている事は森辻やメイドのように、頭上に文字が浮かばないから何を考えているのか分からない。

 座ったままのクラスメイトに次々と職業とそれに合ったクラスの金>銀>銅>鉄の順で待遇も違うようだ。

 もちろん隣の森辻は職業『勇者』で金谷と一緒でSランクで金。
 その隣の委員長は『剣聖』で同じくSランクの金だった。

 そして最後は俺と茜ちゃんの番になり、もちろん無職で最低ランク……のはずだが。
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