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第1章
第10話 脱出の兆し ①
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「いやぁぁぁー! ユウリィィー!」
『収納!』
『あははははは♪ お見事だよ東雲友里君! 炎と鍛冶の神、ヘーパイストスの神器を全て収納しちゃう事で守護者を倒しちゃうなんて、面白いものを見せてもらったよ♪』
リビングアーマーが消えて、足場がなくなったから、ポテっと床に着地したところにイルが涙と鼻水でくちゃくちゃな顔をして走りよって来た――と思ったら、俺を掬いあげ、胸に抱いた後、さらに持ち上げどろどろの可愛い顔の前に。
「ばべ? じんでないでずの? いぎでまずの?」
『うん、生きてるよイル。バレないように移すのちょっと難しくて、間違えば本気で死ぬかと思ったけどね』
精神耐性様々だよまったく。
イルは俺がどうなったのか、どうやって生きていたのか分かってないって言うから説明してやることにした。
『最初に触手を切られた時、リビングアーマーの足に切られた触手が張り付いたんだ』
真剣な顔の前に俺を持ち上げて聞いている。
『その時はヤバいとしか思えなかったんだけど、その切り飛ばされた俺の一部はナゼか動かせたんだよ。それなら少しずつ体を移していけば、リビングアーマーにくっついてる方が本体になるんじゃないかと思ってね』
「な、なるほどですの!」
『少しずつ気付かれないように本当に少しずつ体を移して、鎧の中に潜り込ませて、中でまとまることにしたんだ。それで少しずつ大きくなりながら胸のあたりにまとまってね』
「無くなっちゃったと思いましたのに、守護者の中にいたのです!」
『それから収納するには触れてないと駄目なのと、俺の……意識で良いのかな、本体が触れてないと駄目なんだと分かったんだ。既に胴体には小さい体がくっついていたのに収納できなかったからね』
イルは俺の話を真剣……興味津々で聞いている。
目は涙に濡れて、鼻からは鼻水が出たままだけど、悲しんだり、疑問を浮かべる表情ではなくなって、もっと知りたいって顔をしているから話を続けた。
『まあそれで、引っ付いた小さい俺を動かして兜と鎧の下半身、腕にも触手を伸ばして、最後はガントレットって分かるかな? 金属で造られたグローブなんだけど、少しあった隙間から剣にも触れて準備が終わったんだよ』
でもその頃には外で頑張ってる俺は二センチほどしか無くなっていたんだけどね。
ふんふんと鼻息荒く、アクション映画のラストシーンでも観ているのかと思えるほど興奮しているイル……。
『そ、そして外の体が最後の一撃を受けた時、意識をリビングアーマーに入り込んだ中の体に移したんだ』
『ほんと、あり得ない事を考えたものよね~、精神耐性と、そう言えば苦痛耐性もか、まあスライムには痛覚が元々ないんだけどね、でもそれがなきゃ体をわざと切らせるなんて普通考え付かないわよ、そうだ、ヘーパイストスには今度教えてあげよっと』
ロリっ子よ、その方って神様でしょ? お願いだから変な言い方しないで、一応謝っておいてね。
ロリっ子が変なことを言うから意識がそっちに行ったが、イルは俺を両手で掲げ上げている。
「凄いのですよ! 四天王の不死王ヴァンより死なないのです!」
『おお! 四天王! 不死王ヴァン! 響き的に吸血鬼かな? ってか、ロリっ子まだいる? この鎧セット持ってれば外に出れるかな』
『出れるよ~、その鎧を装備したらほとんどの結界や封印でも無効に出きるだろうからね~。よ~しヘーパイストスのところに遊びに行っちゃおっと、またね~東雲友里君』
は? 装備って無理に決まってるじゃん! 俺スライムだよ! 兜とかだけでいいの? って聞いてる!?
『収納!』
『あははははは♪ お見事だよ東雲友里君! 炎と鍛冶の神、ヘーパイストスの神器を全て収納しちゃう事で守護者を倒しちゃうなんて、面白いものを見せてもらったよ♪』
リビングアーマーが消えて、足場がなくなったから、ポテっと床に着地したところにイルが涙と鼻水でくちゃくちゃな顔をして走りよって来た――と思ったら、俺を掬いあげ、胸に抱いた後、さらに持ち上げどろどろの可愛い顔の前に。
「ばべ? じんでないでずの? いぎでまずの?」
『うん、生きてるよイル。バレないように移すのちょっと難しくて、間違えば本気で死ぬかと思ったけどね』
精神耐性様々だよまったく。
イルは俺がどうなったのか、どうやって生きていたのか分かってないって言うから説明してやることにした。
『最初に触手を切られた時、リビングアーマーの足に切られた触手が張り付いたんだ』
真剣な顔の前に俺を持ち上げて聞いている。
『その時はヤバいとしか思えなかったんだけど、その切り飛ばされた俺の一部はナゼか動かせたんだよ。それなら少しずつ体を移していけば、リビングアーマーにくっついてる方が本体になるんじゃないかと思ってね』
「な、なるほどですの!」
『少しずつ気付かれないように本当に少しずつ体を移して、鎧の中に潜り込ませて、中でまとまることにしたんだ。それで少しずつ大きくなりながら胸のあたりにまとまってね』
「無くなっちゃったと思いましたのに、守護者の中にいたのです!」
『それから収納するには触れてないと駄目なのと、俺の……意識で良いのかな、本体が触れてないと駄目なんだと分かったんだ。既に胴体には小さい体がくっついていたのに収納できなかったからね』
イルは俺の話を真剣……興味津々で聞いている。
目は涙に濡れて、鼻からは鼻水が出たままだけど、悲しんだり、疑問を浮かべる表情ではなくなって、もっと知りたいって顔をしているから話を続けた。
『まあそれで、引っ付いた小さい俺を動かして兜と鎧の下半身、腕にも触手を伸ばして、最後はガントレットって分かるかな? 金属で造られたグローブなんだけど、少しあった隙間から剣にも触れて準備が終わったんだよ』
でもその頃には外で頑張ってる俺は二センチほどしか無くなっていたんだけどね。
ふんふんと鼻息荒く、アクション映画のラストシーンでも観ているのかと思えるほど興奮しているイル……。
『そ、そして外の体が最後の一撃を受けた時、意識をリビングアーマーに入り込んだ中の体に移したんだ』
『ほんと、あり得ない事を考えたものよね~、精神耐性と、そう言えば苦痛耐性もか、まあスライムには痛覚が元々ないんだけどね、でもそれがなきゃ体をわざと切らせるなんて普通考え付かないわよ、そうだ、ヘーパイストスには今度教えてあげよっと』
ロリっ子よ、その方って神様でしょ? お願いだから変な言い方しないで、一応謝っておいてね。
ロリっ子が変なことを言うから意識がそっちに行ったが、イルは俺を両手で掲げ上げている。
「凄いのですよ! 四天王の不死王ヴァンより死なないのです!」
『おお! 四天王! 不死王ヴァン! 響き的に吸血鬼かな? ってか、ロリっ子まだいる? この鎧セット持ってれば外に出れるかな』
『出れるよ~、その鎧を装備したらほとんどの結界や封印でも無効に出きるだろうからね~。よ~しヘーパイストスのところに遊びに行っちゃおっと、またね~東雲友里君』
は? 装備って無理に決まってるじゃん! 俺スライムだよ! 兜とかだけでいいの? って聞いてる!?
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