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第一章
第74話 スタンピード報告会
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「――そして今現在、草原には見張りもかねて兵を待機させているところです」
(くくく。ワイバーン討伐も私の指示のもと行われた成果にしておいた。これだけの成果があれば伯爵の叙爵もあり得るんじゃないか? それならセレーナ公爵令嬢との婚姻も間違いないだろう)
王様は近くにいた者に何か指示を出して、受けた者は足早に部屋を出ていった。たぶん総隊長をするはずだった者のところに人をやったのだろう。
「ふむ。総隊長補佐、君は第十二騎士隊の隊長だったか、東門の担当だったな。この度のスタンピードの報告はそこにいるアイテールが気付き、王城、冒険者ギルド、東門に知らせたのだが、それはお前の指示であったと?」
「え? コイツが?」
(おいおいおいおい! ま、まずいではないか! 私は今『スタンピードを発見した私が兵を走らせました』と報告したのだぞ! ここにいない誰かが発見したと思っていたが、後で見付けて少しばかりの金を握らせるつもりだったのだぞ! こ、こうなったら――)
「い、いえ。私が発見したのです。この者は冒険者。街壁の上からしか見えないものをどうやって発見できるというのですか。き、君、嘘を言うのは王を侮辱する事と同じですよ。まったく冒険者はすぐ嘘を付きますね。私が後で躾をしておきますので。君。分かっているね、後で私の執務室に来なさい」
(仕方がない、後でコイツを言いくるめるしかないな。言う事を聞かない場合は適当に罪をでっち上げて投獄しておけば良いだろう)
はぁ、こいつ気付かないのか? ここまで皆の顔が怒りの表情になっているのを。
とりあえず俺は本当の事を報告するだけだ。
「いや。発見したのは俺だ。街中の宿にいたんだが、大量の魔物が王都に向かってくる気配を感じ取ったからな。それに街壁の上に登った時、ワイバーンの群れに俺が言うまで気付いている者はいなかったぞ。それに誰にも命令や指示は受けていない」
「くっ! き、君は――」
「黙れ! 第十二騎士隊隊長。お前の嘘はこの場にいるすべての者が念話で知っている。本来総隊長として指揮をするはずだった第三騎士隊の隊長に毒を盛り、ここにいる私達に虚偽の報告をした罪の申し開きはあるか?」
「ね、念話!? ま、まさか! そ、それでは――!」
「おい。その者を連れ出し牢へ放り込んでおけ。アイテール達とギルドマスターに、勇者パーティーも、その者の詰問時には同席して協力してもらいたいのだが、構わないか?」
「はい」
「冒険者ギルドを代表して協力させてもらいます」
「············」
「えっと~。お姉ちゃんが~こんな感じになってますけれど~頑張って~協力しますよ~」
「うむ。では時間を無駄にしたが、本当の報告を聞こうか。アイテール、頼む」
「はい。最初に気付いたのは――」
俺が報告し始めてすぐに兵士が総隊長補佐の両脇を固め、引きずるように退室していった。
「――最後は聖女マルガリータの浄化によって魔物寄せの香を浄化してもらい、今は倒した魔物の回収と、血の匂いを消すために残った者達は作業しているはずです」
俺が報告し終わった後は、総隊長補佐と一緒に来た兵士の一人と、ギルドマスターが報告し、勇者パーティーの報告、ミラーノがマルガリータに代わって報告し始めたのだが。
「――最後は~アイテールさんに~協力してもらって~浄化ができました~。お姉ちゃんに代わっての~報告を終わりますぅ~」
ま、まあ、みんな困ったような笑顔をしているが、報告内容は間違ってはいないだろう。
「う、うむ。報告ご苦労だったな。四人すべての報告で整合性に疑いは為さそうだな。よし。今回のスタンピードを最初に気付き、報告と共に一番厄介なワイバーンの群れを一人で撃退し、魔物寄せの香を使いこの王都を陥れようとした者発見して捕らえる手助けをし」
王様が俺のやったことを復唱していくのを集まっている皆が静かに聞いている。
「さらには後続のゴブリンとオークの進撃を食い止め、先行してきた魔狼にコボルド討伐では、五人の仲間と多大な功績をおさめた。まずはこの者達に感謝を」
王様が感謝の言葉を言った後、まわりからは拍手が。
「冒険者ギルドにも感謝する。報酬は一人銀貨五枚だな。それは国のために働いてもらったのだ、全額私の判断で国庫から出す事にしよう。ところで気になったのだが聖女はどうしたのだ? それになぜお前達は勇者の装備を外している?」
「あのですね~、この人達は~自分の力だと~勇者の装備をしたまま動けないのですよ~」
「お、おい! そうじゃないだろ。ったく。王様、実は勇者の装備ですが俺達三人分だけ軽量化の付与が切れたようで、付与をやり直すことは可能ですか? 今はその者の、アイテールに預けてあるのですが」
「ふむ。アイテール。これはお前がガイナス達にしていた事と同じような事が聖女と女勇者のパーティーでも起こっていたという事か?」
「おそらく。俺と同じように身体強化をこの三人にかけ続けていたのでしょうね」
「そうですよ~。それなのに~、一緒に鍛えましょうって~言っても全然~してくれないから~、優しいお姉ちゃんは~身体強化をず~っとかけてあげていましたよ~。今は~アイテールさんに~一目惚れしちゃって~切れちゃってますね~」
「ま、待てよ! そんな事ができるはずないだろう! 身体強化は長くても戦闘中の間くらいしかかけ続ける事はできないんだぞ! それを一年近くかけ続けたのかよ!」
良く見るとガイナス達よりはマシなようだが、鍛えた感じが少しもない体つきをしているからな。そんな細腕では普通の短剣がやっと扱える程度だろうな。
マルガリータの力があったとしても、生き残ったんだ。才能はガイナス達よりあるだろうが、それをどう考え、受け止めるか······。
(くくく。ワイバーン討伐も私の指示のもと行われた成果にしておいた。これだけの成果があれば伯爵の叙爵もあり得るんじゃないか? それならセレーナ公爵令嬢との婚姻も間違いないだろう)
王様は近くにいた者に何か指示を出して、受けた者は足早に部屋を出ていった。たぶん総隊長をするはずだった者のところに人をやったのだろう。
「ふむ。総隊長補佐、君は第十二騎士隊の隊長だったか、東門の担当だったな。この度のスタンピードの報告はそこにいるアイテールが気付き、王城、冒険者ギルド、東門に知らせたのだが、それはお前の指示であったと?」
「え? コイツが?」
(おいおいおいおい! ま、まずいではないか! 私は今『スタンピードを発見した私が兵を走らせました』と報告したのだぞ! ここにいない誰かが発見したと思っていたが、後で見付けて少しばかりの金を握らせるつもりだったのだぞ! こ、こうなったら――)
「い、いえ。私が発見したのです。この者は冒険者。街壁の上からしか見えないものをどうやって発見できるというのですか。き、君、嘘を言うのは王を侮辱する事と同じですよ。まったく冒険者はすぐ嘘を付きますね。私が後で躾をしておきますので。君。分かっているね、後で私の執務室に来なさい」
(仕方がない、後でコイツを言いくるめるしかないな。言う事を聞かない場合は適当に罪をでっち上げて投獄しておけば良いだろう)
はぁ、こいつ気付かないのか? ここまで皆の顔が怒りの表情になっているのを。
とりあえず俺は本当の事を報告するだけだ。
「いや。発見したのは俺だ。街中の宿にいたんだが、大量の魔物が王都に向かってくる気配を感じ取ったからな。それに街壁の上に登った時、ワイバーンの群れに俺が言うまで気付いている者はいなかったぞ。それに誰にも命令や指示は受けていない」
「くっ! き、君は――」
「黙れ! 第十二騎士隊隊長。お前の嘘はこの場にいるすべての者が念話で知っている。本来総隊長として指揮をするはずだった第三騎士隊の隊長に毒を盛り、ここにいる私達に虚偽の報告をした罪の申し開きはあるか?」
「ね、念話!? ま、まさか! そ、それでは――!」
「おい。その者を連れ出し牢へ放り込んでおけ。アイテール達とギルドマスターに、勇者パーティーも、その者の詰問時には同席して協力してもらいたいのだが、構わないか?」
「はい」
「冒険者ギルドを代表して協力させてもらいます」
「············」
「えっと~。お姉ちゃんが~こんな感じになってますけれど~頑張って~協力しますよ~」
「うむ。では時間を無駄にしたが、本当の報告を聞こうか。アイテール、頼む」
「はい。最初に気付いたのは――」
俺が報告し始めてすぐに兵士が総隊長補佐の両脇を固め、引きずるように退室していった。
「――最後は聖女マルガリータの浄化によって魔物寄せの香を浄化してもらい、今は倒した魔物の回収と、血の匂いを消すために残った者達は作業しているはずです」
俺が報告し終わった後は、総隊長補佐と一緒に来た兵士の一人と、ギルドマスターが報告し、勇者パーティーの報告、ミラーノがマルガリータに代わって報告し始めたのだが。
「――最後は~アイテールさんに~協力してもらって~浄化ができました~。お姉ちゃんに代わっての~報告を終わりますぅ~」
ま、まあ、みんな困ったような笑顔をしているが、報告内容は間違ってはいないだろう。
「う、うむ。報告ご苦労だったな。四人すべての報告で整合性に疑いは為さそうだな。よし。今回のスタンピードを最初に気付き、報告と共に一番厄介なワイバーンの群れを一人で撃退し、魔物寄せの香を使いこの王都を陥れようとした者発見して捕らえる手助けをし」
王様が俺のやったことを復唱していくのを集まっている皆が静かに聞いている。
「さらには後続のゴブリンとオークの進撃を食い止め、先行してきた魔狼にコボルド討伐では、五人の仲間と多大な功績をおさめた。まずはこの者達に感謝を」
王様が感謝の言葉を言った後、まわりからは拍手が。
「冒険者ギルドにも感謝する。報酬は一人銀貨五枚だな。それは国のために働いてもらったのだ、全額私の判断で国庫から出す事にしよう。ところで気になったのだが聖女はどうしたのだ? それになぜお前達は勇者の装備を外している?」
「あのですね~、この人達は~自分の力だと~勇者の装備をしたまま動けないのですよ~」
「お、おい! そうじゃないだろ。ったく。王様、実は勇者の装備ですが俺達三人分だけ軽量化の付与が切れたようで、付与をやり直すことは可能ですか? 今はその者の、アイテールに預けてあるのですが」
「ふむ。アイテール。これはお前がガイナス達にしていた事と同じような事が聖女と女勇者のパーティーでも起こっていたという事か?」
「おそらく。俺と同じように身体強化をこの三人にかけ続けていたのでしょうね」
「そうですよ~。それなのに~、一緒に鍛えましょうって~言っても全然~してくれないから~、優しいお姉ちゃんは~身体強化をず~っとかけてあげていましたよ~。今は~アイテールさんに~一目惚れしちゃって~切れちゃってますね~」
「ま、待てよ! そんな事ができるはずないだろう! 身体強化は長くても戦闘中の間くらいしかかけ続ける事はできないんだぞ! それを一年近くかけ続けたのかよ!」
良く見るとガイナス達よりはマシなようだが、鍛えた感じが少しもない体つきをしているからな。そんな細腕では普通の短剣がやっと扱える程度だろうな。
マルガリータの力があったとしても、生き残ったんだ。才能はガイナス達よりあるだろうが、それをどう考え、受け止めるか······。
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