【完結 R18追放物】勇者パーティーの荷物持ち~お忍び王女とダンジョン攻略。あれ? 王女のダンジョンも攻略しちゃいました~

いな@

文字の大きさ
上 下
51 / 103
第一章

第51話 昼の森

しおりを挟む
 管理監邸に到着し、部屋まで戻り、流石に森を走り回ったままではとクリーンをかけて汚れを落とし、三人の寝る部屋に入るとリーンとセレーナは行儀よく布団を被っていたのだが、エイアは布団も被らず、やはり寝間着をほぼ脱いでしまって、パンツも足首に。

 仕方がないので布団をかけ直してやると、エイアの隣に寝転び、目を閉じると、思った以上に疲れていたため、すぐに寝てしまった。



 ん? 朝か。

 俺は体を起こそうとしたが、左右にエイアとリーンが引っ付いている。

 セレーナはエイアの向こうだ、はは、朝一に冒険者ギルドに行っておきたいのだが、昼間になるべく奥まで調べたいからな。

 なんとか絡まるエイアとリーンの手足をほどき、起き上がって寝台から脱け出した。

「くくっ、エイアとリーンが俺を探して、お互いを抱き枕にしたな」

 俺は寝室を出て装備の点検を始める。

 点検後身に付け、部屋を出て外へ向かい、途中に出会ったメイドに起きた後にエイア達へ俺は出掛けたと伝えてもらうようお願いをして、屋敷を出た。

 朝のドラグルーを歩き、巡回の馬車を捕まえ冒険者ギルドに到着、早速受付だが混んでるな。

 朝は仕方がないが、受け付けに並びながらギルドマスターと目が合い、軽く手を上げ挨拶しておくと、カウンターの奥から出て俺のところにやって来た。

「おはようアイテール。今から行くのか?」

「おはよう。ああ。その前に昨晩の報告だ。ここで話しても良いのか?」

「何!? 夜に森へ入ったのか!? 今はソロだろ? あまり心配させるな。······そうだな、こっちに来てくれるか」

 驚いた後、少しあきれた表情で、そういうギルドマスターについて、最後尾に並んですぐの列から離れ応接室に。

 応接室につき、すすめられソファーに座ると。

「それでどんな様子だ?」

「まずは森の普段の様子を知らないからなんとも言えないが、ゴブリンやオーク、魔狼の群れはいたな。飛び抜けて多いとは思わないが、ゴブリンが十匹から三十匹程度の群れで、あわせると二百匹ほど、オークもそんなもので、あわせて百匹くらい、魔狼は十匹ほどの群れがあわせても五十匹ほどだ」

「ふむ。問題のオーガは見当たらないか?」

「そうだな。外縁部、二キロほどの範囲にはいなかったな。そしてもう少し奥に行くとマンイーターがいたぞ」

「ふむ。いつもと変わらないか······」

「だが、ゴブリンを捕食していたマンイーターを襲うやつがいた。グランドワーム。それも直径五メートルほどある大物だ。一応その時出てきたやつは倒して来たぞ」

「何! グランドワームがそんな浅いところに出てきていたのか!? 普通ならもっと遥か奥にいる魔物だぞ! それにその大きさは······いや、夜に森に入るやつが少ないからな、それが通常なのかもしれないが、五メートルの太さは尋常ではないぞ」

「ああ。俺もそう思った。真下から上がってきて俺も登っていた木ごと危うく飲み込まれるところだったしな、マンイーターも三十匹は飲まれたんじゃないかな。そうだ一応昨晩狩った物は持ってきたが、買い取ってくれるか?」

「おい? 五メートルのグランドワームは分かった。まあ記録されている中でもデカい方だが、三十匹ほどのマンイーターが飲まれた? いったい何匹グランドワームがいたと言うのだ!」

 掴みかからんとするほどの勢いで、テーブルを挟んでだが身を乗り出してきたギルドマスターの、両肩を押さえて止める。

「五十はいたんじゃないかな、だからそのグランドワームやゴブリン、オークも買い取って――」

「それを全部倒したのか! ちょっと待て、もしかしてその前のゴブリンやオーク、魔狼も倒してきたというのか!」

「ああ。ギルドマスターは俺が収納を使えると知ってるから言うが、全部持ち帰ったぞ。それより昼の森に入るから買い取りは夕方でも良いが、俺からの報告は以上だ」

「······いや、強いとは思っていたが、そこまでの強さとはな。分かった。夕方までには買い取れるようこちらも手配しておく。しかし、もしかするとグランドワームがオーガを追い詰めて外縁部に出てきた可能性も出てきたな」

「それは俺も考えた。まあ今日一日森を見てくるさ。どうするかはそれを見てからだな」

「うむ。頼んだぞアイテール」

「ああ。じゃあな、そろそろ行くよ」

 応接室を出て、そのままギルドを出る。

 その足で街を出て森に入り、昨晩のグランドワームがいた場所まで戻ってきた。

「しかしこの穴、ここままにしておいて大丈夫か? 俺にはどうする事もできないが、っと、今度の反応は小さいが······行ってみるか」

 この場よりさらに奥に行ったところに反応があった。俺は穴を避けながら反応のあった場所へ気配を消し走る。

 川の上流付近か? 俺は三メートルほどの川幅しかない川を見付けて上流に走りもうそろそろ見えてくるかと思ったその時!

「いやぁぁー!」

「デカい声を出すんじゃねえ! 魔物がよってくるじゃねえか!」

「ケケケ、おめえの声も相当デカいがな。女ども、疑いもなく臨時のパーティーに入るとは、次から警戒する事だな、今回は運がなかったと諦めときな」

 人か!? こんな森の奥に!? いや、考えている暇はない、女が襲われてると見て間違いなさそうだ。

 俺は川岸から森に入り木の枝を飛び写りながら声のした方に急ぎ、そこで見たものは、武装した男五人に取り囲まれた冒険者風の女が二人。

 川岸に追い詰められ、短剣を手に男達と対峙する俺よりは年上だろう女冒険者。

「何も命を取ろうって訳じゃねえ、ちょっとお前らの持つ――」

 俺は木から飛び降り、女達に加勢することにした。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

処理中です...