【完結 R18追放物】勇者パーティーの荷物持ち~お忍び王女とダンジョン攻略。あれ? 王女のダンジョンも攻略しちゃいました~

いな@

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第一章

第40話 王都へ

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 朝は揃っての食事になり、俺達は食堂へ。

 そこには公爵様と奥様がもう席についていた。挨拶をすませ、俺、エイア、リーン、セレーナの六人で食べる事に。

 食事が進み、食後のお茶をいただいてる時、公爵様が話し始めた。

「まずは、私の暗殺計画を、完全に防いでくれた事の礼を。アイテール、ありがとう」

「いえ、たまたまですよ」

「くくっ、まあ礼ぐらいは言わせてくれ。それにな、私が狙いの本命だったらしいが『傀儡』が一人、既に仕事を終えてるそうだ。この街に住む老齢の男爵だが、今朝連絡が来た。そして、嫡子が捕まえた者の中にいた」

 そうか、あいつはあの時仕事をした後に帰って来たという事か。

「それにな、私を暗殺した後に暗殺する貴族や、名のある商人や、権力者達の名簿が見付かった」

「では、その方達は助かったという事ですね」

「うむ。そして、狙っていない貴族や商人、権力者の名簿が見付かった。これが何を意味するか分かるか?」

 ん? そんなもの。

「暗殺ギルドと繋がりがあるか、利用した事のある者だろうな」

「くくっ、正解だ」

「ええ~、じゃあ捕まえないとまずくないの?」

「そうですね、お父さん、早急に王都に戻り、王へお知らせしないと」

「うむ。早馬はもう走らせたが、この街の視察を終わらせなければならないからな。いくら急いだとしても二日、早くて三日後の朝に出発に。エイアの薬草は二日でなんとなるか?」

「うん。問題ないよ、四人で行けば、間に合うと思うし。ね、アイテール」

「ああ。任せておけリーンもセレーナもいるからな」

 そしてその場はお開きとなり、公爵様と奥様が退室、俺達も一旦部屋に戻り、一泊二日のダンジョン攻略の準備を始める。

 まあ俺はほとんど収納に入っているから装備を整えるだけなのだが。

 胸当てを付け、ダガーを腰に、リュックを背負い、待ち合わせの玄関に向かう。

 玄関のホールでは、公務着に着替えた公爵様が待っていた。

「アイテール。ちょうど良い、紹介しておく。ダンジョンの秘密の部屋を任せる隊の隊長でな、その場所まで案内と、開け方を教えてやって欲しい」

「ああ、構わないぞ。おっ、エイア達も来たな。こっちは揃ったようだから、そっちの準備は良いか?」

「はっ、いつでも大丈夫です」

 軽く挨拶を済ませ、ダンジョンへ。

 隠し部屋を教えた後、俺達は順調に階層を進み、その日の夕方に目的の薬草を採取し終わり階段で、一晩泊まる事に。

 階段には魔物が出ず、入ってすぐのところは少し広くなっているためそこにテントを張り、二人ずつに別れ交代で寝る事になる。

「じゃあアイテールと誰が組になるか決めるよ」

「ええ、くじを引きましょうか――」

 エイア達が組分けをしている内にテントを張り、出口近くで火をおこしお湯を沸かしていく。そこに干し肉や、野菜を放り込み、適当に調味料を入れ、味見をしておく。

「やったー! 私とアイテール、リーンとセレーナの組で決まりだよー」

「ああ~、仕方がないわね、順番はどうするの?」

「残念にゃー」

 セレーナとリーンは残念そうな顔をして、エイアは俺に抱きついてきた。

「決まったみたいだな、セレーナとリーンが先に見張りを頼めるか? その方が体力的に楽だと思うぞ」

「そうね、夜更かしして寝る方が楽だもの」

「早寝はなれないと、寝れない時あるにゃ、エイアは大丈夫にゃ? まあ最初から私とアイテールは別れた方が、良いと思っていたにゃ、冒険者だからにゃ~」

「ああ、それは思っていたが、まあ俺が結界を張るから全員で寝てもまったく問題ないがな」

「「え?え?」」

「張っておけばたとえゴブリンやオーク達の群れの前でも安心して寝れるぞ」

「「············」」

 三人は顔を見合わせ頷きあう。

「アイテール? じゃあみんなで一緒にが良いな、本当に大丈夫なんだよね?」

「くくっ、ああ、だが、本当に寝るだけだぞ? 服も着たままな。ダンジョンだから何が起こるか分からないからな」

「うっ、残念だけど仕方がないにゃね」

 そして俺達は食事を取った後、四人揃ってテントに入り寝る事に。


 次に目が覚めた時は十分寝た感覚があり、気配もそばにいる三人の物だけだ。俺はそっと今日も横にくっついているエイアと、セレーナ、そしてエイア側にいるリーンの頭の下から腕を抜き、起き上がるとテントを出て朝ごはんの準備を始める。

 お湯が沸き出した頃、テントからリーンが目を擦りながら出てきた。

「おはよにゃ、ふあぁぁ~」

「くくっ、おはよう。もう湯が沸く。目覚ましのお茶を入れるよ。二人を起こしてくれるか?」

「分かったにゃ······アイテール······朝からだけど、キスして良い?」

「ああ、おいで」

 リーンは火の前にいる俺のもとに走りよってきて抱き付き、そして。

「ちゅっ」

 軽くキスをして、テントに戻っていった。

 朝食を食べ、薬草を追加して確保し、俺達はダンジョンを上へと戻る。

 帰り道でも何か所か追加採取し管理監邸に戻ったのはもう深夜、俺達は寝室へ直行すると、そのまま寝台へ。


 そして朝、俺達は馬車に揺られ予定通りに王都に向けて出発した。
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