最愛の敵

ルテラ

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真の英雄がいない世界

外伝1 母、父

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 私の名前は『エルミー』。光の魔法を持って生まれた。その為、周囲は私の恩恵に預かろうと、周りに群がる。
 この国の方針で光持ちは、皇族の管轄をしている寮、学校に入り卒業。適性をみて、配属、死ぬまで皇族為に働く。いわゆる『奴隷』だ。
「すごいね。エミ!」
 エミはエルミーの愛称。
「聖騎士になれるよ」
「俺の教え子から女性初の聖騎士か、お前を誇りに思うぞ!」
 なんて勝手な人だろう。
 戦場は嫌いではなかった。社会は複雑な上下関係などがあり、嫌いだ。でも戦争では殺すか殺されるかの関係だ。なんて単純な世界だろうか。
 でも、聖騎士には興味がなかった。ただ戦争で戦えれば、あばよければ戦場で死ねたならどれほど幸福だろうか。
 だがその願いは悉く打ち砕ける。

「(ここは?私は確か・・・)」
 起きると頭に痛みが走る。その頭で何が起こったのか考える。
「(あ!)」
 業務を終え、自身の自室へと行くと背後から。
 エールミーは頭を抱える。
「(背後から襲われるってバカじゃないの!?黒歴史ね。最悪)」
 腕を見ると、魔力を遮断する手錠がかけられていた。辺りは暗く見えない。
「起きたの?」
 後ろから声が聞こえ、すかさず構える。
「ああ、落ち着いて俺も同じだから」
 男は手首に着いてる手錠を見せる。
 黒髪に赤い目、
「闇持ちか・・・」
「そうだよ。君は光持ちかな?」
「ここはどこなの?」
「分からない。俺も昨日ぐらいに連れてこられたからね」
「そう」
 警戒を解く。
「君名前は?」
「エルミー。あなたは?」
「ラクロット。ローでいい」
「私はエミでいいわ」
「君、騎士かい?」
「え?」
 ラクロットを睨みつける。
「いや、構がね」
 ラクロットは引き気味に言う。
「あなたは?」
「俺は傭兵だよ」
「そう」
 ガシャン
 扉が開く。
「起きたか」
 ソロモンが現れる。
「あなたは誰!こんなことをしていいと思っているの私は・・・」
「皇帝直属の騎士だろう?」
 エルミーは目を大きくする。
「それを知っていてお前を誘拐したんだ」
「お金が目的?」
「そんなもの要らない」
「なら何故?」
「お前らにやって欲しいことは2つ」
「1つ目は子なすこと」
『なっ!?』
「おいおい、どう言うことだ?」
 エルミーとラクロットは動揺が隠せない。
「そのままの意味だ」
「いや・・・」
「いやでも結構。無理矢理孕ませるまでだ」
 ソロモンも冷たい目線にエルミーは背筋が凍る。
「はっ!俺がそれを拒否すればいいだけの話しだ」
「まだ分かっていない様だな。闇持ちはお前だけではない」
 ソロモンの口角が上がり、ラクロットは何か察する。
「性欲の溜まった闇持ちなど沢山いる」
「よせ!!!」
「だったらさっさとやるんだな」
「何が目的だ?」
「こいつらを移動させる。連れてこい」
 2人は連れてがれる。
「これが私の研究さ」
 長い通路には等間隔にガラスが張られ、そこから中見ることが出来る。
『な!?』
 2人は言葉を失う。
 そこから見えたものは余りにも悍ましく。理解できないものであった。
 ある所では何かの手術が行われ、またある所では苦痛にもがき、体が膨れ上がり破裂する者もいた。
「何が研究よ!こんなの惨虐非道な殺人じゃない!!」
 バチン
「エミ!!」
 エルミーはソロモンに殴られる。
「私の研究を侮辱するか!いいかよく聞け、これは私がどれほど優秀な人間であるかを知らしめる為のこの世で最も偉大な研究だ!」
 ソロモンは一呼吸置く。
「その研究を手助け出来ること光栄に思え!!」

 今日からここで暮らせ、幸いそこはガラス張りの部屋ではなく。白い空間にキングサイズのベットが一つと、食事をする為のテーブルが一つとと椅子が2つあった。
「(本気なのね・・・)」
 嫌悪と怒りをグッと抑える。
「殺風景だな・・・」
「言う通りにすれば本ぐらい与えてやろう」
 2人を残し、去る。
「エミがベット使って、俺は椅子使うから」
「いいえ、そんなの悪いわ。私は戦場で慣れているからローがベット使って」
「それなら俺だってそうだ。レディーどうぞ」
 ラクロットは手の平でベットを指す。エルミーはさっき庇ってくれたことを思い出す。
「さっきはありがとう」
 ラクロットは何の事だが分からず、首を傾げる。
「さっき、私がその・・・行為を拒否した時、私を庇ってくれて」
 エルミーの耳が赤くなる。
「ああ、気にすることはないよ。俺もそういうのは嫌だし、闇持ちなんかっと嫌だろう?」
 エルミーはその言葉に心の何かが壊れたような気がした。
  
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