最愛の敵

ルテラ

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エウダイモニア

74話 栄光

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「自分は信じます」
「ふっ(こいつは何処までも優しいな)ありがとよ」
「せっかくですからお祭り行きませんか?」
「そうだな」
 自分らは祭りを楽しんだ。

 3日目、最終日。
「ついにこの時が来ましたね」
 今日この日、僕らはパイロンとして大々的に報じられる。自分らは今、皇城の祭壇の裏ステージにいる。人々は今か今かと待っている。
 今回の流れは皇帝が僕らを紹介し皇帝の後ろを歩き、パレード用の車に乗り都市を一周するプランだ。
「頼んだぞ」
 皇帝が皇后を連れてこちらに来る。
『了解です』

「今日こうして無事に帝国会議の最終日を迎えられたこと大変嬉しく思う。私に付いてきてくれたこと感謝する。そして我らの国に富と平和をもたらせてくれた。紹介しよう『パイロン』だ」
 歓声が響く。建物を自分らの全身を轟かせる。自分らが姿を現せるとさらに歓声が湧く。
『パイロン』
『ありがとう』
『かっこいい』
 仮面があってよかったと思った。ちゃんとしなければいけないと分かっているのに思わず表情線が緩んでしまう。
「お忙しい中ありがとうございます・・・」
 ラズリさんが感謝を述べる。それを人々は夢物語の様に聞く。
 それが終わると都市一周だ。自分らが通ると花が巻かれ歓声が湧く。
「(これが皆さんが気付き上げたものなのか)」
 自分は皆さんを見る。
これが英雄なのか。

 パレードは夕方まで続き、舞踏会の間まで皇城の客間で休むこととなった。
「疲れましたね」
「はい」
「時間あるし少し寝たら?」
「そうだな。少し寝るか」
「寝るなら脱いで寝ましょう。シワになっちゃいますから」
 確かに、っと思い全身を見るも慣れない制服の構造に戸惑う。
「メイドが近くにいるはずです。手伝ってもらいましょう」
「自分、呼んできます」
「俺はいい。自分でやる」
 ファーデンがネクタイを緩めながら言う。
「我々も慣れているので大丈夫です」
「トートはそのまま寝に行って貰っていいですよ」
「分かりました。お先に失礼します」
 トートがドアを閉めるとそこに残った全員の目付きが変わる。
「やっぱり、杞憂か?」
「その可能性はありますが・・・」
「オムニブスは徹底した闇の組織なんだろう?だったら出てこない可能性が大有りだろう?」
「だね」
 今回はオムニブスが奇襲して来るのではないかと危惧し『影』やストゥルティは休息と理由で街の警備をしていた。
「何もなければそれに越したことはありません。ただあるならあるで殺る(やる)だけです」
 レオの眼つきが変わる。
「とにかく今は休みましょう」
 外では太陽が街を燃やさんとばかりに街を照らし沈んでいた。

 夜になり、舞踏会が予定通り開かれる。
「ふぅー」
 トートは深く深呼吸する。
「緊張してばっかだな」
 ファーデンが呆れ半ばに言う。
「な、何で緊張しないんですか?」
「興味ない」
 ファーデンが袖のカフスをいじりながら言う。
「ダンス踊れるでしょうか?」
「あんなに練習したんだから大丈夫よ」
 パイロンはここで数々の功績を讃えられ賞を授与される。そして習わしとして授与を授かったものは必ず一曲ダンスを踊ろなければならなかった。
「レオさんはセリアさんと、フィールさんはアイシャさん、自分はラズリさんとですよね?」
「そうですね。ファーデンは皇帝が選抜してくれた令嬢とだ」
「ああ」
「パイロンの皆様、出番です」
 皇城の執事に呼ばれてパイロンは、舞踏会場へ。扉が開くと拍手が鳴り響く。皇帝と皇后は既におり、笑みを浮かべていた。
 パイロンは皇帝と皇后の前で挨拶をする。皇帝と皇后は立ち上がりパイロンに感謝の意を述べる。皇帝はパイロンに近づきそれぞれに勲章を授ける。パイロンは再び感謝を述べる。
 そしてダンスの時間だ。本来なら皇帝と皇后が先に踊るのだが、今回は国の英雄であるパイロンから踊ることとなった。それにより皇帝の素晴らしい謙虚さに国民の支持率アップを計る。
 パイロンは全員が仮面をつけているもその光景は現実とは思えない程美しく全員の目を釘付けにする。
「緊張は解けた様だな」
 ラズリがトートに話しかけてくる。
「おかげさまで、足踏んだらすいません」
「構わないさ」
 ダンスが始まる前はトートは緊張していたものの、始まれば慣れたよに踊り無事に終了。トートはラズリの足を踏むことなく終わる。終わると次は皇帝と皇后のダンス。パイロンは貴族達に紛れそれを見守る。
「いやー、まさかこんなことになるなんてね」
「トート、ごめんね」
 ラズリさんが謝る。
「いえ、仕方ありません」

 






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