最愛の敵

アデリア戦

47話 強い思い

「よかった。遠慮なく殺せするな」
　フィールはニヤリする。
「殺す？あなたが私を？ご冗談を」
　フィールの右斜めに穴が空き、フィールの横腹を狙う。
「終わりだ」
　フィールは横から来る攻撃を察し、振り向く。しかし
「カハ」
　目の前にあるはずの剣が背中を掠める。「何が・・・？」
「誰も一本とは言っていない。俺の魔法はな空間に物を収納できるんだ。つまりその中には無数の剣がある」
　No.5は高笑いする。
　今度はフィールを囲う様に出現する。避けるもの数が多く、掠める。そこから血が出て、その血で滑る。
「(しまった)」
　右耳、左手の甲、右脇に刺さる。
「グッ、アァァァ」
　声にならない叫び声が響く。
「あぁ、何と愚かな。時期、あなたは私が手を下さなくても多量出血で死ぬでしょう。その姿を拝めたいですがこちらも忙しいので失礼します」
　嘲笑った顔をし去ろうとする。
　虚いく視界の中
「今度は絶対守るから」
『うん』
　姉との約束を思い出す。
「(負けられ)ねぇ。ﾎﾞｿ」
　フィールは弱々しくも強く呟く。
「待てよ」
　No.5が振り返るとフィールが立っていた。
「あなたに勝ち目はありません」
「やってみなきゃわからないだろう？」
　 フィールは仁王立ちし火剣を精製する。
 「フー」
　フィールは剣を縦にし目を瞑り、剣を持っている手とは逆の手で剣を撫で目を見開く。その瞬間辺りが赤と青の炎に包み込まれる。
「な、何が？」
　敵は戸惑う。一旦距離を置こうと逃げようとするが行くてを炎に遮られる。
　ヒュッ　ジューー
「グアアア」
　No.5の左足を何かが貫く。No.5は痛みに耐えながらフィールを見ると炎の鎧のようなものを着て周りには赤と青の炎の球があった。どうやらそれで足を撃ったようだ。
　フィールがゆっくりと近いていく。歩くたびに地面が溶ける。
「な、何が貴様のその姿は何だ！」
「これは空間掌握の応用版さ」
「応用？」
「空間掌握に術式を・・・いや術式に空間掌握を流し混んだと言うべきかな？」
「馬鹿な。そんなことが！」
「出来るんだよ。俺たちはこれを空間術式と読んでる。次は俺だ。質問に答えろ」
　No.4を見下ろす。
「何が目的だ。黒幕は誰だ」
「言わない。ギャアァァァ」
　右足を撃つ。
「言え」
「言う訳ないだろう」
　必死に言うが男は口角を上げる。フィールの背後に穴が現れる。
「死ねー！！」
　ボウ
「え？」
　No.4は目を疑う。
「あぁ、これね。物理的な物だけじゃなくて魔法そのもの焼いちゃうんだ。何も言わないなら死ね。お前の敗因は俺の息の根をすぐに止めなかったことだ」
「い、いや・・・」
　No.4の全身を青い炎が包み込む。何かを言っているようだがもう何も聞こえない。フィールは動かなくなるのをジッと見つめる。空間掌握を解く。
「ゔぅ。い・・・て・・・」
バタン
　空間掌握の際ついでに止血できたものの血が出過ぎた。更に空間掌握を使ったため魔力はカラカラだ。
「まだ・・・終われ・・・」
　そこで意識を手放す。

「ぶっ殺す」
「おやおや、随分物騒なことをおおいになる」
　ズア
　再び氷結を放つが右手で水にするか避けられる。No.4は左手を水に濡らし、レオに向かって放つ。氷結の矢が飛んで来る。レオはそれを氷結で防ぐ。
「クソ。ハァハァ(奴の魔法は・・・)」
『温度を操る魔法』
「(とでも思っているのでしょうね。そんなんでは私には一生叶いません)」
　No.4はレオの放った氷結を左手で触れる。
　ヒュッ　ゾワ　パリパリ
「クッ」
　今度はなんとか防ぐ。
「(さっきから感じるこの違和感はなんだ)」
「まだまだ」
　再びぶつける。レオは何かに気づく。
「(これが違和感の正体・・・やはりあれをするしかないか)一つお聞きしても？」
「どうぞ」
「あなは先程『俺は生かす』と言いました。つまり他の人は生かさないということでしょうか？」
「いいえ“成功作”も生かします。ただそれ以外は死んでもらいます」
「なぜ俺も生かす。黒幕は誰だ？」
「我々と来ればわかること降参なさいますか？」
「生憎、俺は仲間と生きると決めている」
　レオの魔力がどんどんと上がっていく。　目を瞑り一呼吸おく。
　辺りが静寂と包まれる。目を開けると同時に無機質だった氷に魔力が宿り動き出す。それだけでなくNo.4が水にしたはずの水が凍り氷になりNo.3を襲う。
「な、何・・・」
　グサッ
　左手に氷矢が刺さる。
「いでぇぇぇ」
　ゆっくりと近づく。
「あなたの魔法は錬金。左手で触れた物をそれ以上の物質へ右手でそれ以下にする」
「いつから・・・？」
　No.3は目は恐怖一色となる。