最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

38話 合流

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 見回りの兵が行くと再び扉の前に立つ。
「(皇帝が神の・・・)」
 考え事をしながらラズリは空間認識で中を確かめる。
「(ん?なんだ)」
 6畳ほどの空間があるのがわかった。仕掛けや人がいないことはわかったので扉を開ける。
 そこには『魔力遮断シート』がかけられていた。それを少しずらしてみる。
「うぅ゛」
 口を抑える(仮面越し)。とてつもない魔力量に当てられる。アタナシアの魔力より遥かに濃厚な魔力に吐き気を覚える。深呼吸をし自身の魔力で全身を覆い魔力を遮りもう一度巻くる。
 一見大砲の様にみえるが先端は光線を出す様な形をしており、弾を入れる様な場所はなくその代わり後端には床から伸びたホースにつながっていた。どうやらそのホームから濃厚な魔力が流れている様だ。
「(何が?)」
 ラズリは一旦外に出る。

ー2日目の朝ー
 自分らは夜営の片付けをしていた。
「敵も何にもいなかったな」
「ラッキーって思いたいけど不気味ね」
 自分ら4人はアデリアの方向を見る。
「おはようございます」
「おは・・・えっ」
 自分らは距離をとり構える。
「ん!『影』さん」
 自分らは駆け寄る。
「驚かしてしまい申し訳ございません」
 『影』は軽く頭を下げる。
「(気配消すのうまいな)」
 レオが心の中で思う。
「(俺たちを驚かせるなんて・・・)」
 フィールが思う。
「ラズリ様からの言伝を預かっています」
 全員に緊張が走る。
「ラズリはなんて?」
 緊張した声でアイシャさんが問う。
「アデリアの地下にって怪し魔力を感知したとのことです。すぐに撤退せよ、と」
 全員に衝撃が走る。
「は?」
 フィールさんがキレる。
「アタナシア様よりを上回る濃厚な魔力とのことです」
 自分らの脳裏にあの光景が思い出される。
 つまりそれは神聖インティーム帝国の比ではない被害や災厄が訪れるということ。
「トートと兵達はセルシアルに戻って下さい」
 レオさんが指示を出す。
「えっ?」
「そうだ・・・」
「待って下さい!」
 自分は思わず叫ぶ。
「自分も行かせて下さい」
「ダメです」
「どうしてですか?」
「トート」
 レオさんは自分の胸ぐらを掴む。
「足で纏いは要らない」
 気がつくと自分はセルシアルに向かう馬車の中にいた。自分は無意識に銃に触れる。撤退する兵達を見送る。
「お前は悪くねぇよ」
「何のことです」
 レオは兵達の後ろを眺めながら言う。
「お前が言わなきゃ俺が言ってた」
「レオ」
 心配そうに声をかけるアイシャ。
「行きましょう」
 なんでもない様に言うがその声には悲しみがあった。
「『影』もう一度話してください」
「はい」
 『影』は再び話す。
「今ラズリはどちらへ」
「日中は監視の目が多いので日がくれ次第地下に潜入できるルートを探し可能なら潜るそうです」
 3人は考え込む。
「最短ルートは?」
 アイシャが問う。
「直進でいくのが速いでしょうがどんな仕掛けがあるかわかりません。ラズリ様が通った道が安全で最短かと」
 3人は顔見合わせ「それで行こう」と言う。

ー夜ー
 20時を回った頃、ラズリは林の中から人が少ないことを確認し動こうとすると
 パキッ
 ラズリは共に即座に物陰に身を潜め、迎撃体制に入る。
「着いたな。ハァハァ」
 そこには見慣れた4人の姿があった。
「なぜ?」
 ラズリは物陰から出てくる。
「ラズリ!よかった、間に合っ・・・」
「答えろ」
「俺たちも協力させて下さい」
 3人は真剣な眼差しでラズリを見る。
「ダメだ。『影』帰らせろ」
「なら俺たちも勝手にやる」
 ラズリの言葉遮る様にフィール言う。
「トートは帰られました。ライが言っていた“情報”の詳細がわかったんですね」
「可能性でしかない。帰れ」
「そっちが勝手にやるなこっちだってやらせていただきます」
 レオが負けじと言う。
「ラズリお願い」
 アイシャが懇願する。
「約束破っちゃダメですよ」
 レオは微笑む。

『約束、ずっと一緒』

 ラズリはしばらく沈黙すると諦めら様に「わかった」
 と言う。

「で、どうするんだ?ルートを探すって」
「別れて探すのが一番速いでしょう」
「手分けするぞ」
「了解」
 3人が散る。
「『影』」
「ことらに」
「お前の判断か?」
「なんのことでしょう」
 ラズリはしばらく『影』見つめると「下がれ」と言う。『影』は一礼すると下がる。

ーアイシャー
「(侵入成功。さてと)」アイシャは壁に触れると空間認識を使う。

 ーフィールー
「(本当に扉ばっかりだな)」
 ことらも難なく潜入。

ーレオー
「(さてどうしますか?)」
 レオは扉開け中に入ると、すぐに自身の魔力で全身覆う。

ーラズリー 
 ラズリは壁には登らず地面を探る。ヨヂの地下に広い空間を発見した。しかしただ広いだけでなく異質な何かをを感じる。だが遠く、深く、正確には探れないため地下に潜るためのルートを探る。
 朝方みんなと別れた場所に戻る。3人はすでに到着していた。
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