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命懸け
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ん?…ここぉ何処だ?目が覚めると薄暗く埃の溜まった廃病の病室?にいた。
毛根から髪の毛の先へと血のような物が垂れ流れぽたぽたと床に滴り、体を起こそうとしても、力が入らず壁に凭れかかり思うように動かなかった。
そして右手には何故か血が付き、刃が、7割強も破損した刀を持っていた。
何で折れてんだ?というか何故……刀?
抑、何で俺はこんなボロい病院なんかにいるんだ?
体はちょっとやそっとじゃ壊れる程弱くは無いし、何か重い病気になった覚えも無い。
とにかく状況を整理する為に、辺りを見渡していると、俺が凭れかかっている壁の直ぐ右横の壁に、成人男性一人なら余裕で、通り抜けられるほどの大きさの穴が、空いていた。
何とも言えない歪な穴。
あれ?そういえばあれ確か俺が…。
「くっ、来るなぁ!悪魔ぁ!」
「いいじゃんよぉ。ほずみちゃんよぉー俺たちぃ、親友だろぉ?」
ん?誰だ?状況整理の最中、隣の部屋の方から声がした。
聞き覚えがあるようなないような。穴が空いてる方の部屋からか?
激痛が走る中凭れかかった壁から背中を離してゆっくりと立ち上がり、めまいで倒れそうになりながらも、声がする方へと歩いて行った。
部屋の角では見覚え?のある中学生くらいの少年が、少女を抱き抱えて歩み寄る男?に怯え、赤いナイフを突きつけているのが、朧気に見えた。
「おーぃ、痛っ!」
左の掌を少年の方へと向けて呼びかけようとすると手の先から腕全体にかけて悶えるほどの激痛が走った。
よく見ると手首が折れており、腕全体が血で染まっていた。感覚が麻痺っているせいか痛みが無いが、折れてぶら下がった手首はなんとも言えないグロさだった。
「おい!悪魔!」
「あ゙ぁ?」
折れた原因であろう男に、残りの体力を出し切る勢いで呼びかけると、こちらに振り返り鋭い目つきで睨みつけてきた。
ん?悪魔?何故か悪魔という言葉が咄嗟に口からこぼれた。
「いや…少しだけ待ってくれ」
「はぁ」
「すぅ…はぁー」
両腕を限界まで上に伸ばしながら息を吸い、限界まで上げた腕をゆっくり下ろしながら息を吐いた。
いつも焦りや不安は大きく息を吸い、落ち着く事が大事。
叔母に毎日のように言われてきた事が久々に役に立った気がした。
「……終わった?」
「まだだ」
「──はぁ」
悪魔は視線を地に向け、呆れた様子で、深いため息を付いていた。
深呼吸のおかげか何となくだが、此処で起きた事を思い出してきた。
「おい、八月朔日無事か?」
「は、はい!」
「あぁ。悪い、姉ちゃんの方だ」
「は、はい。血は止まったと思いますが、かなり顔色が悪いです」
「そうか…分かった。すぐ終わらせるから、ちょっと待ってろ」
「黒瀬君、まだかなぁ!!」
八月朔日との話を終えると待たされている事に苛立ち始め床を強く蹴り始める悪魔。
「あぁ、悪い。なぁ悪魔さんよぉ」
「あぁ?」
「俺は殺してもいいからさぁ、子供は見逃してくれない?」
「うーん……駄目。ていうか、死にかけの君に交渉権なんか無いと思うぜ?」
「いや、まぁそうなんだけどさ」
目を大きく見開き、嘲笑いながら答え、交渉はあっさりと断られた。
意識は霞始め、左腕から流れる血は未だ止まる事なく指先へと流れ続けていた。
呼吸も少しずつ荒くなっていく。
本当に勝てるのか?もし負けたら…。そんな不安が頭をよぎった。
だが子供二人を抱えて逃げる程の体力も残っていないし、結局は戦う羽目になる。
なら此処でやるしかない。
そう心に言い聞かせた。折れた刀を強く握りしめ、ニヤけている悪魔を強く睨めつけた。
「おいおい、そんな睨むなよぉー怖いなぁ。もしかしてまだやんの?そんなボロボロな体でよぉ。別にお前だけなら見逃してやるよぉ?黒瀬ちゃぁん」
「無駄話はいいから早くかかってこいよ。さっさとしねぇと診療時間が過ぎるだろうが」
「分かったよ。本当は殺っちゃいけねぇ約束だけどよぉ、まぁ仕方無いよなぁ?黒瀬君よぉー死んでもよぉ俺の前に、出て来んなよ!!」
言い終えると、瞬く間に腰を低く下げ、前傾姿勢で尖った爪を俺の喉元に突き出して飛び掛かってきた。
毛根から髪の毛の先へと血のような物が垂れ流れぽたぽたと床に滴り、体を起こそうとしても、力が入らず壁に凭れかかり思うように動かなかった。
そして右手には何故か血が付き、刃が、7割強も破損した刀を持っていた。
何で折れてんだ?というか何故……刀?
抑、何で俺はこんなボロい病院なんかにいるんだ?
体はちょっとやそっとじゃ壊れる程弱くは無いし、何か重い病気になった覚えも無い。
とにかく状況を整理する為に、辺りを見渡していると、俺が凭れかかっている壁の直ぐ右横の壁に、成人男性一人なら余裕で、通り抜けられるほどの大きさの穴が、空いていた。
何とも言えない歪な穴。
あれ?そういえばあれ確か俺が…。
「くっ、来るなぁ!悪魔ぁ!」
「いいじゃんよぉ。ほずみちゃんよぉー俺たちぃ、親友だろぉ?」
ん?誰だ?状況整理の最中、隣の部屋の方から声がした。
聞き覚えがあるようなないような。穴が空いてる方の部屋からか?
激痛が走る中凭れかかった壁から背中を離してゆっくりと立ち上がり、めまいで倒れそうになりながらも、声がする方へと歩いて行った。
部屋の角では見覚え?のある中学生くらいの少年が、少女を抱き抱えて歩み寄る男?に怯え、赤いナイフを突きつけているのが、朧気に見えた。
「おーぃ、痛っ!」
左の掌を少年の方へと向けて呼びかけようとすると手の先から腕全体にかけて悶えるほどの激痛が走った。
よく見ると手首が折れており、腕全体が血で染まっていた。感覚が麻痺っているせいか痛みが無いが、折れてぶら下がった手首はなんとも言えないグロさだった。
「おい!悪魔!」
「あ゙ぁ?」
折れた原因であろう男に、残りの体力を出し切る勢いで呼びかけると、こちらに振り返り鋭い目つきで睨みつけてきた。
ん?悪魔?何故か悪魔という言葉が咄嗟に口からこぼれた。
「いや…少しだけ待ってくれ」
「はぁ」
「すぅ…はぁー」
両腕を限界まで上に伸ばしながら息を吸い、限界まで上げた腕をゆっくり下ろしながら息を吐いた。
いつも焦りや不安は大きく息を吸い、落ち着く事が大事。
叔母に毎日のように言われてきた事が久々に役に立った気がした。
「……終わった?」
「まだだ」
「──はぁ」
悪魔は視線を地に向け、呆れた様子で、深いため息を付いていた。
深呼吸のおかげか何となくだが、此処で起きた事を思い出してきた。
「おい、八月朔日無事か?」
「は、はい!」
「あぁ。悪い、姉ちゃんの方だ」
「は、はい。血は止まったと思いますが、かなり顔色が悪いです」
「そうか…分かった。すぐ終わらせるから、ちょっと待ってろ」
「黒瀬君、まだかなぁ!!」
八月朔日との話を終えると待たされている事に苛立ち始め床を強く蹴り始める悪魔。
「あぁ、悪い。なぁ悪魔さんよぉ」
「あぁ?」
「俺は殺してもいいからさぁ、子供は見逃してくれない?」
「うーん……駄目。ていうか、死にかけの君に交渉権なんか無いと思うぜ?」
「いや、まぁそうなんだけどさ」
目を大きく見開き、嘲笑いながら答え、交渉はあっさりと断られた。
意識は霞始め、左腕から流れる血は未だ止まる事なく指先へと流れ続けていた。
呼吸も少しずつ荒くなっていく。
本当に勝てるのか?もし負けたら…。そんな不安が頭をよぎった。
だが子供二人を抱えて逃げる程の体力も残っていないし、結局は戦う羽目になる。
なら此処でやるしかない。
そう心に言い聞かせた。折れた刀を強く握りしめ、ニヤけている悪魔を強く睨めつけた。
「おいおい、そんな睨むなよぉー怖いなぁ。もしかしてまだやんの?そんなボロボロな体でよぉ。別にお前だけなら見逃してやるよぉ?黒瀬ちゃぁん」
「無駄話はいいから早くかかってこいよ。さっさとしねぇと診療時間が過ぎるだろうが」
「分かったよ。本当は殺っちゃいけねぇ約束だけどよぉ、まぁ仕方無いよなぁ?黒瀬君よぉー死んでもよぉ俺の前に、出て来んなよ!!」
言い終えると、瞬く間に腰を低く下げ、前傾姿勢で尖った爪を俺の喉元に突き出して飛び掛かってきた。
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