人間兵器

ツチノコのお口

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本編

第16話 裏側の話

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「よっ、ノール」
 ノールはボロっボロ涙をこぼしながら「よかった、よかった」と機械のように呟いた。
 ノールの家に行く必要があるかどうか結構迷ったが、このあと訓練で顔を合わせたときにリアクションが取れるか不安だった。だから、ここでノールから人間兵器になったことを聞いておけば今後俺の負担が減ると思ったのだ。
 まぁでもこのイベントは2回目だし、ちゃちゃっと終わらせようかな。
「あの...さ?俺、もっかい人間兵器になることになって...」
「やっぱりー。俺、お前が人間兵器にもっかいなると思ったから、俺もなってみたんだ」
「嘘だろ!?よくわかったなぁ!」
 まぁあとは流れで、なんなら前回とあんま変わらん会話をした気がする...

 訓練は奴隷戦争のときと変わらず、訓練内容が理不尽なほどに難しくなっていた。もうヤダ帰る。
 というか、ノールと一緒に訓練できないとか聞いてないって!唯一の救いが消えてしまうとは情けない...
 閉鎖管理とか特にやばかった。まじでどんだけ刺された?ってくらい。
 ちなみに、人間兵器が仮死状態になる方法とかも教えてもらった。というか仮死状態になったりもした。結構しんどかったのは内緒。

 UHSB戦争が始まってから俺は、UHSの最高軍事施設へ極秘ルートで乗り込んだ。
 このあと放たれる爆弾を止めたいのだ。理由は何個かあるけど、一番の理由はなるべく人材を失いたくないのだ。
 どういうことかというと、もしも、日勝戦争が起こったとして、カチュカンの人間兵器がもう少し多ければ、戦争が長引く前に勝てたのではないか?という、素朴な疑問だ。
 戦争の長期化がカチュカン滅亡への一歩だと思ったため、その一歩をなるべくなくそうという、シンプルな考え方だ。
 というわけで、人間兵器に扮して潜入したものの、バレないように移動するのが意外と厄介。
 爆弾の在り処を探しながら歩いていると怪しまれるし、かといって変にうろちょろしすぎるのも危険。
 そんなわけで、俺は最終兵器として先輩にきいてみることに。
「先輩すいません。ちょっと道を忘れたんですけど...」
「あぁ、ここ複雑だしな。ほらよ、ここの地図だ。失くすなよ」
 てなわけで作戦大成功。え、セキュリティ大丈夫?逆に心配になってくるんだけど。
 地図にはスパイを騙すための間違った情報とかが書いてるわけでもなかった。本当に心配になる。

 地図通りに行けば、ここが爆弾の投下場だと思うんだけど...
 じゃぁ、戦闘体制に入りますかなぁ。
 扉を開くと同時に銃を構えた俺は直後、体が動かなくなってしまった。
 ...衝撃すぎた。そこには、ノールが立っていた。

「おっと、意外と勘がいいのかな?でも、君に僕の作戦は邪魔させない。僕は、日勝戦争を絶対に起こして見せるからね」
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