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第1話 ようこそ機壊屋へ
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いらっしゃいませ。こちら、機壊屋です。申し遅れました。わたくし『機械幸福型No.123』と申します。ヒフミとお呼びください。
では、いくつか質問をさせていただきます。お客様の依頼は、売買ですか?それとも廃棄処分ですか?
人尊機卑。数年後の日本で根付く考え方だ。
機械の発展は続き、いつしか機械と人間の違いが小さくなっていた。機械は自分で思考し、感情を持ち、働き、稼ぎ、自立する機械もいた。
すると人間は、自分たちの立場は取られるまいと、機械の立場を下げることで、人間としての権力を保った。
後に世界中で、人尊機卑の考えを廃止する法律ができたりして、更に街は発展を遂げた。
しかし、日本では未だに人尊機卑の考えを引き継いでいる。すごく遅れた国である。
また、機械をペットとする文化もあり、大量廃棄も問題化していた。
ただ、日本も成長するもの。最近『機械幸福論に基づく機械の適切な処分と事前準備に関する法律』なるものができた。
かなり無茶苦茶だが、機械にとって得となる初の法律だ。
その法律には、機械を処分する前には、その機械にとってやり残したことがあった場合、極力行わせた後に解体とする法があった。
しかし、やはり日本は遅れた国だ。その作業を機械にやらせることになった。
そして研究の後、処分の事前準備に適した機械の型『機械幸福型』が誕生した。わたしもその一つだ。
そして、各地域の各部署に配属させられるのだ。私の場合、機壊屋となる。
「僕、壊される前に、僕を作ってくれた鍛冶職人さんに会いたいんです」
「わかりました。店長、家族型No.99の製作者にコンタクト取れます?」
「もう話は付けといた。行ってきな!」
「ありがとうございます!店長さん!ヒフミさん!」
わたしはこの仕事に誇りを持っている。日本のバカらしさは軽蔑するけど、この仕事は嫌いじゃない。でも...
「ちゃんと感謝もできました。もう、悔いはないです!ありがとうございました!」
「よし。お前さん、きゅー兄とか言ってたっけ?きゅー兄。スリープモードつけるぞ。本当に大丈夫か?」
「はい、店長さん。大丈夫です」彼の声は震えていた。
「じゃ、いくよ。達者でな」
スリープモードになった機械は、再び起き上がらないよう、コードを全て切り、首と胴体を離して、そのまま捨てる。
いつも、この瞬間だけは先程までの幸せそうな顔を思い出して、胸が痛む。
でも、これがわたしの仕事。日本が望む、日本の形を保つための、必要不可欠な仕事。
では、いくつか質問をさせていただきます。お客様の依頼は、売買ですか?それとも廃棄処分ですか?
人尊機卑。数年後の日本で根付く考え方だ。
機械の発展は続き、いつしか機械と人間の違いが小さくなっていた。機械は自分で思考し、感情を持ち、働き、稼ぎ、自立する機械もいた。
すると人間は、自分たちの立場は取られるまいと、機械の立場を下げることで、人間としての権力を保った。
後に世界中で、人尊機卑の考えを廃止する法律ができたりして、更に街は発展を遂げた。
しかし、日本では未だに人尊機卑の考えを引き継いでいる。すごく遅れた国である。
また、機械をペットとする文化もあり、大量廃棄も問題化していた。
ただ、日本も成長するもの。最近『機械幸福論に基づく機械の適切な処分と事前準備に関する法律』なるものができた。
かなり無茶苦茶だが、機械にとって得となる初の法律だ。
その法律には、機械を処分する前には、その機械にとってやり残したことがあった場合、極力行わせた後に解体とする法があった。
しかし、やはり日本は遅れた国だ。その作業を機械にやらせることになった。
そして研究の後、処分の事前準備に適した機械の型『機械幸福型』が誕生した。わたしもその一つだ。
そして、各地域の各部署に配属させられるのだ。私の場合、機壊屋となる。
「僕、壊される前に、僕を作ってくれた鍛冶職人さんに会いたいんです」
「わかりました。店長、家族型No.99の製作者にコンタクト取れます?」
「もう話は付けといた。行ってきな!」
「ありがとうございます!店長さん!ヒフミさん!」
わたしはこの仕事に誇りを持っている。日本のバカらしさは軽蔑するけど、この仕事は嫌いじゃない。でも...
「ちゃんと感謝もできました。もう、悔いはないです!ありがとうございました!」
「よし。お前さん、きゅー兄とか言ってたっけ?きゅー兄。スリープモードつけるぞ。本当に大丈夫か?」
「はい、店長さん。大丈夫です」彼の声は震えていた。
「じゃ、いくよ。達者でな」
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