異世界修学旅行で人狼になりました。

ていぞう

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第四章 首都ゲラニ編

第79話 交渉人 ソウ・ホンダ

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ソウ達がバルチの住民を避難させていた頃、ラジエル公爵は宮中の枢密院で緊急対策会議に出席していた。
枢密院は、国王を補佐する諮問機関で、国王を前にして国の重要な方針を決定する議会である。

「王よ。今申しました通り、セプタは壊滅の危機に晒されております。敵の要求は宣教部隊がさらったという6人の獣人の引き渡し。ここは一刻も早く件の獣人を探し出すべきかと。」

ラジエル公爵の進言に、口ひげを蓄えた小柄な男が口をはさんだ。
宰相ゼニスだ。

「これは、これは、ラジエル公爵ともあろう方が、何を弱気な・・たかが獣人の要求等、武力で跳ね返せばよいだけのこと。そもそも来春には、獣共の国へ宣教に赴く予定。それが向こうから来てくれたのだから、もっけの幸い。我ゲランの国力を見せつけてやりましょうぞ。」

「宰相、セプタの民を見殺しにしろと言うのか。」

「そうは申しておりませぬ。武力には武力で応えるのがこの世の習わし。武力をもって人質を取り返そうというだけのこと。」

二人の争いを、他の貴族も見守っている。
この枢密院の議員は、王族、貴族で構成されているが、宰相派議員とラジエル派議員は、拮抗している。

二人の言い争いを静かに聞いていた華奢な体つきの少年が立ち上がった。
宰相とラジエルの言い争いが止まり、少年を注視した。

「わかった。双方の意見、どちらも正しい。だからこうしてはどうだ?まず敵側の求める獣人を探し出し、人質交換の準備をすすめつつ出兵する。敵の出方によって、武力を行使する。どちらも準備すれば、どちらに転んでも動ける。そのようにしてはどうだ?」

多数の貴族議員が頷く。
宰相ゼニスも、ラジエル公爵も、他の貴族の気配を察した。

「王よ。仰せの通りに。宰相。王の発案通りにするが異存はないな。」

ゼニスは少し嫌な顔をしたように見えたが頭を下げた。

「王の仰せの通りに・・・」

立ち上がって発言した少年は、この国ゲランの国王『カイエル・デルナード・ゲラン』その人だった。

ラジエル公爵は、枢密院を後にして、自宅屋敷に戻っていた。

「ガイダ、現場の様子に変化はあるか?」

サンダの兄ガイダがラジエル公爵に答える。

「はい。代官を免職した後、避難は順調で、村長達を残してバルチ周辺の住民はゲルン方面へ移動中です。」

「老人、女子供は、どうやって避難させた?」

「はい。シン殿が何か策を用いたようで、既に安全な場所まで避難させたようです。」

「そうか。あのシンと言う男、中々に切れるのう。いっそのことワシが召し抱えようかの。」

「サンダの目と耳を通して、私もシン様の行動を見ておりましたが、中々の人物かと。」

ソウ達に説明はされていなかったが、サンダとガイダは単なる『遠話』スキルではなく、お互いの目や耳で得た情報を共有できるようだ。

「派兵は既に手配済みだ。獣人の子供をさがさねば。ガイダ、すぐに手配しろ。」

「仰せのままに。」


ラジエル公爵が宣教部隊にさらわれた獣人の子供達、つまりルチアの兄弟を探しはじめたその頃、俺達はバルチ周辺住民の避難を完了させていた。

その後、俺達は3日間、バルチで待機し応援が来るのを待っていた。
4日目の早朝、俺とエリカ、ドルムさん、ガイラさんで、敵情視察に出た。
ウルフ内でサンダさんに質問した。

「サンダさん。獣人の子供たちは見つかりそうですか?」

「はい、ゲラニの奴隷商人の記録を辿って、5名は行方が分かって、ラジエル様の庇護下に入ろうとしています。しかしルチアという子供はブテラへ移送されているそうで、未だに行方が分かっていません。」

ルチアはゲラニのキューブに居る。
そのことをラジエル公爵に告げるかどうか、昨日からずっと迷っていた。
ルチアと他の兄弟を敵の手に渡さなければ、セプタの住民が殺される。
しかし、ルチアを、あの獣人達に渡したくはなかった。

ルチアは俺の家族だ。
ルチアが望めば別だが、ルチアを人質の交換材料にしたくはない。

「サンダさん。ルチアは既に発見して、俺の庇護下にあるとラジエル公爵に告げてください。」

「え?」

「詳しいことは後で直接ラジエル公爵に説明します。とりあえず、ルチアの居場所は判っていると伝えてください。」

「はい。わかりました。」

俺は、ルチアに説明して、兄弟と共に故郷へ帰るかどうか、ルチア自身に選択させることにした。

ルチアが帰りたくないと言ったら、その時は、その時で考える。
今は、まずセプタの住人の救出を考えるべきなのだろう。

「ナビ、多数の獣人や魔獣を感知したら、即時停車しろ。」

「了解」

ウルマを出発して2時間ほどで、ウルフが停車した。

「前方10キロ地点に獣人と魔獣の反応あり、その数約5,000」

思ったより敵の侵攻は早かった。
この分では、あと2日で、バルチに到着してしまう。
途中の集落の人々を避難させていたので、その分、侵攻が早まったのかもしれない。

「サンダさん。味方の軍勢の数と、位置はわかりますか?」

「はい。友軍の先発隊約1万は既に首都を出発。現在追加の軍勢を編成中です。先発はバルチまであと2日の距離です。」

このままだと、敵と友軍は、ちょうどバルチでぶつかる。
決戦か和睦か、どちらになるのだろう。
決戦になれば、おそらくあのブラックドラゴンが出てくるだろう。

そうなれば、たとえこちらが敵の倍の兵力であっても、実質はアリと象との戦いになってしまう。
ドラゴンのブレス一息で数千人の死傷者が出てしまうはずだ。

セプタの様子からして、セプタもブラックドラゴンの先制攻撃を受けたはずだ。
宮中にはそのことを報告してあるのでわかっているはずだが・・

敵の位置を把握した俺達は、その状況を報告した後、バルチへ引き返した。
バルチでウルフを収納した時、サンダさんが、俺に声をかけた。

「シン様、ラジエル様がお呼びです。」

「わかった。」

俺がゲートをくぐり、キューブの地下室から一階へ上がると、居間にラジエル公爵が居た。
ラジエル公爵は、アンパンを片手に紅茶を飲んでいる。
テルマさんが接客してくれたようだ。

「馳走になっておる。」

「あ、いえいえ。どうぞ。」

俺はラジエル公爵がアンパンを食べ終わるのを待った。
ラジエル公爵はアンパンを食べ終わると

「ふー」

と一息ついた。
アンパンが美味しかった『ふー』なのか、何か困っての『ふー』なのかわからない。

「シンよ。頼みがある。」

「はい。なんなりと。」

「敵との交渉役をやってくれぬか?」

俺は言葉に詰まった。
敵との交渉役、つまり戦争を開始するか和睦の道を選ぶのか、全て俺の肩にかかって来ることになる。

それに交渉役が敵との交渉中に殺されることは良くある話だ。
そんな映画のシーンをたくさん見てきた。

ラジエル公爵は更に言葉を重ねた。

「交渉役は、国としての交渉役ではない。このラジエルの名代として、個人的な交渉を試みて欲しいのだ。」

(どういうこと?)

現在人質になっているのはラジエル公爵の領地の住民だ。
一義的に住民の保護管理は領主の義務だ。

だからラジエル公爵は、枢密院において和睦による人質の解放を唱えているが、宰相一派の開戦派の意見も無視できない状況にあった。

『領土を攻められて、人質を取られ、それを頭を下げてお帰りいただく等というのは国の名折れだ。』

という意見が日増しに強くなっているのだそうだ。

しかし、ラジエル公爵は、これ以上、自分の領民を犠牲にしたくはないし、敵の戦闘力についても十分承知している。
白兵戦なら十分勝機はあるが、ブラックドラゴンに上空からブレス攻撃されれば地上の兵士など蟻に等しい。

1万の兵でも数分で全滅するだろう。
昔、アウラ様が、龍神丹を奪いに来た兵士数万をブレス一息で跳ね返したという事実を聞いたことがある。
そのアウラ様に匹敵する力を持ったブラックドラゴンを人力だけでどうにかしようとする考えが間違いなのだ。

「先発の兵士1万名は、ほぼワシの兵じゃ。ドラゴンには勝てぬと判っていても領民を守るために前線に送るしかない。セプタの民も救ってやりたい。しかし、国の体面と言うものがある。その体面に重きを置くのが宰相一派、どうしても引こうとせぬ。」

国の体面よりも人の命だろう。
ラジエル公爵もそのことは十分わかっているが、公爵と言う立場が重くのしかかっているようだ。

「そこで、シンよ、敵側と交渉して、停戦を持ちかけてはくれぬか。聞けばお主は獣人の言葉を理解するそうな。それに武力も胆力もある。ハッキリ言おう、お主しかおらぬのじゃ、頼まれてくれ。このとおりじゃ。」

ラジエル公爵が深く頭を下げた。
公爵様が、平民に頭を下げるなどあり得ぬことだ。

「おやめください。頭をお上げください。元々、そのつもりでした。こちらからお願いして敵と交渉したいくらいでした。ですから頭を下げることなどありませんよ。」

ラジエル公爵が頭を上げた。

「そうか、そう言ってくれると助かる。言わずともわかっているだろうが、この仕事は命がけじゃ、それを部下でもないお主に頼むのは心が引ける。しかし、領民や兵士の命を救うためになら、ワシは、誰にでも何度でも頭を下げるぞ。」

ラジエル公爵の心意気に少し感動した。

「交渉役は引き受けました。しかし、宰相が納得するでしょうか?」

ラジエル公爵の眉間に皺が寄った。

「宰相については、条件付きで納得させておる。バルチを抜けるまでに決着をつけると。今のところ、敵側はワシの領地から出ておらぬ。いわばワシの管轄圏内の地域紛争。だから、バルチを抜けるまではワシの裁量で停戦に持ち込むことができる。しかしバルチを抜ければ、もはや国と国の戦い。本格的な戦争じゃ。」

つまり、地域紛争のうちに解決策をみいだし、本格的な戦争にならないように手を打とうということだ。

「わかりました。この件お引き受けします。それでこちら側の停戦条件は?」

「人質全員の解放と、セプタからの撤退だ。それに対してこちらは、指定の子供6人と、同時期にジュベル国ネリア村周辺から連れ去った獣人15名、合計21名の引き渡しだ。」

敵側からの書状には子供6人の身分は書かれていなかったが、ルチアを含む子供達が王族であることは、俺の偵察により判明していた。
そこらあたりは、交渉の際に有利な手札になりそうだ。

「ラジエル様、交渉役を引き受けたうえで、お話ししておかなければならないことがあります。」

「なんだ?」

「実は、敵側に引き渡す予定の子供6人のうち、一名は、偶然にも私の仲間にいます。ルチアと申します。この子は私の家族同様です。ですから、ルチアの意志を尊重しつつ交渉することをお許しください。」

ラジエル公爵は顎に手をやった。
思案しているのだろう。

「つまり、そのルチアとやらが、ジュベルに帰るのを嫌がった場合は、手元に残すと?」

「はい。できるだけルチアの気持ちを大事にしたいのです。もちろん、停戦の事はおろそかにいたしません。ルチアが嫌がっても、ジュベルに返すことがルチアの幸せになるなら、最大限の説得は致します。」

ラジエル公爵は、ほんの少しの間を取った。

「わかった。その条件を飲む。」

ラジエル公爵は立ち上がり、またしても頭を下げた。

「シン、いや、ソウ・ホンダ殿、よろしく頼む。」

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