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第二章 奴隷編
第27話 ルチア 新しい仲間
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ルチアを連れて鍛冶屋へ戻った。
「ニクグシー♪ ニク、ニク♪」
鍛冶屋の住居部分へ入ると、ピンターが素っ頓狂な声を出しながら階段を駆け下りてきた。
(ピンター 鼻が良いな。かぎつけやがったw)
ピンターは駆け下りてくると、俺の後ろに居たルチアに気が付き、俺の前で立ち止まった。
「誰?」
首をかしげながらルチアを見ている。
ルチアは更に俺の後ろにさがった。
「ルチアだ。仲良くしろよ。♪」
俺がルチアを紹介すると
「ピンターだよ。仲良くしてね。」
ピンターが挨拶をしたがルチアは応えない。
「ルチア、ピンターだ。しばらくは一緒に居る仲間だから仲良くしてやってくれ。」
俺が話しかけても、やはりルチアの反応は薄い。
仕方なくピンターとルチアを連れて、二階へ上がった。
「お帰り、どうだった?ブルナの行先はわかったか?」
ドルムさんが出迎えてくれた。
「ええ、ある程度わかりました。ブルナは首都ゲラニに居るようです。」
「そうか、行方がわかって良かったな。ところで、その子は?」
ドルムさんがルチアに視線を向けた。
俺は、奴隷商でブルナの行方を追った際に、成り行きでルチアを購入したいきさつを簡単に説明した。
「そうかー そういう、いきさつか。事情はわかったが、で、どうする。その子?」
ドルムさんが再度ルチアに視線を送ったところ、ルチアが少し怯えた。
俺は、なにげに捨て猫を拾った時のことを思い出した。
中学1年生の時、雨の中、段ボール箱の中で、びしょぬれになりながら、寄り固まって震えている3匹の子猫を見つけた。
その猫達は、道路わきの溝に段ボールごと捨てられていて、今にも流されそうだった。
俺は溝に降りて、段ボールを拾い上げ、歩道上に置いた。
これ以上濡れたらかわいそうだと思い、学生服を脱いで段ボールの上にかけた。
ずぶ濡れの猫の体を拭いてやろうと、ハンカチを持って子猫に手を差し出した時、子猫は怯えて段ボールの隅へ固まった。
俺の手を敵だと思ったのだろう。
子猫たちは酷い目に遭ってきたから、俺の好意さえも敵対行為に思えたのだろう。
どうしようかと悩んでいる時、車でとおりかかったイツキが、俺と子猫を助けてくれた。
(ルチアも、その時の子猫と同じ気持ちなのだろう。)
「ん-・・具体的な事は何も考えてはいないですが、この子を捨てるような事はしたくないです。」
ルチアは、俺の言葉を理解しているようで、少し安どの表情を浮かべた。
「ま、その話は後でしましょう。まずは、これこれ。」
俺は大量に買ってきた肉串を皆の目の前に広げた。
「うわー お肉大好き。食べていい?」
ピンターの笑顔がはじける。
「いいぞ、好きなだけ食べな。」
ピンターが肉串にかぶりつく、その様子をルチアが眺めている。
「ルチア、お前も食べろ。遠慮するな。元はと言えば、お前のお腹の虫が買わせたようなものだぞ。w」
やはりルチアが行動に移さないので、俺は自分の獣化を解き、素の笑顔で肉串を一本、ルチアに差し出した。
ルチアは、少し驚いたようだが、俺の素顔を見て少し安心したような気配を見せた。
ルチアは、何度も俺と肉串を交互に見ながら、恐る恐る肉串に手を伸ばした。
俺が「いいよ」と言う意味で笑顔を向けると、ルチアが肉串を手に取り食べ始めた。
ルチアは慌てることなく、ゆっくり肉串をほおばると、ポロポロと涙をこぼし始めた。
涙をこぼしながら肉を食べ終わると、その場にうつ伏せて、今度は声を出しながら泣き始めた。
俺はルチアの頭をなでてやった。
ルチアが泣き止むまで。
ルチアが泣き止んで顔を上げた。
「アリガトウ・・・」
ルチアが礼を言った。
「いいんだよ、肉串くらい。」
「チガウ、アタシ、檻、出してくれた。」
ルチアがしっかりした言葉で、話した。
「ああ、そのことか、そのことも俺の都合でお前を買ったのだから、何も気にしなくていいよ。ところでルチアは、今後どうしたい?家族は?家に帰りたければ、帰ってもいいんだよ?」
ルチアの目から再び涙がこぼれた。
「家族ナイ、家ナイ、ルチア一人。」
それから俺は時間をかけて、ルチアの身上を聞き出した。
ルチアの説明によれば、
ルチアの出身国「ジュベル」は、獣人の国で、国王は獅子王とよばれる「獅子族」だそうだ。
ルチアの住んでいたのは首都オラベルから遠く離れ、ゲランとの国境に位置する「ネリア村」村人のほとんどは「人猫」という種族でルチアは、両親と兄弟6人で、暮らしていたが、3か月間前、突然、ゲランの兵隊がやってきて村を焼き払ったそうだ。
ゲランとジュベルは戦争状態ではなかったのに、突然襲撃されて、ジュベルの国からも救援はなかった。
襲撃のさなか、ルチアの両親はルチア達を守るために兵隊と戦ったが敵兵士は数が多く、結局、殺されたそうだ。
自宅の地下倉庫に兄弟6人で隠れていたが、兵士に見つかり奴隷にされたとのこと。
(俺やピンター達と同じ運命をたどったようだな。)
「ジュベル国は俺の国、サーリアの隣の国だ、ネリアという村は知らないが、宣戦布告もなしに襲われたんだな。俺の故郷は、まだ無事だが、いずれ同じ運命をたどるかもしれないな。」
ドルムさんがルチアの説明を聞いて呟いた。
「ドルムさん。」
「なんだ?」
「行きがかり上とは言え、俺はルチアの人生にかかわってしまった。このままルチアを放り出すことは出来ないです。ルチアを仲間に入れてもいいですか?」
「何いってんだ、このヤロウ!!そんな当たり前のことをいちいち確認スンナ!!殴るぞバカ」
ドルムさんは本気で怒っているようだ。
「だって、ルチアを仲間にするとドルムさんの帰国が遅れるかもしれませんよ。」
「ここでこの子を放り出したら、俺の方が、俺の家族に追放されるよ。アハハ」
(ドルムさんを仲間にしてよかった・・・)
「ピンター」
「何?」
「いいか?」
「何が?」
「いや・・何でもない」
ピンターはルチアが仲間になるのは当然だと思っているのだろう。
「ルチア、これでお前は俺達の仲間だ。ルチアさへ良ければ、ルチアの気が済むまで、俺達と一緒にいていいぞ。ただし俺達も脱走奴隷だ。安全とは言えないかもね。」
ルチアは肉串をほおばりながらウンウンと頷いた。
「ところでルチア、お前は何歳だ?」
俺が、何気に尋ねたところルチアは無言で右手の指三本を俺に差し出した。
「え?ルチア3歳なの?」
ルチアはウンウンと首を縦に振った。
ルチアの見た目は日本人の基準で言えば10歳位、小学3年生位だ。
「ルチア、お前の年齢や魔力を確認していいか?」
ルチアが首を縦に振ったので、俺がルチアの手を取った。
「マザー、ルチアをスキャンして。」
『了解しました。』
氏名 ルチア シーザス
年齢 3歳
種族 人猫
魔力 128
RP 88/88
BP 40/40
スキル
遠視 LV 3
夜目 LV 7
忍び足 LV 5
「本当に3歳だ。」
「獣人だからな、成長速度は人間の数倍だ。その見掛けで3歳というのは、おかしくないよ。」
ドルムさんが口をはさんだ。
ドルムさんが言うには、この世界には沢山の種族がいるが、もっとも成長速度が速いのが人猫や人犬等の獣人で、その次に人間。
魔族や神族は成長が遅いが寿命は人間の数倍から数十倍とのことだ。
「ドルムさん、この世界には、他にどんな種族がいるのですか?」
「え?この世界にはって、ソウ、おめぇこの世界の人間じゃないような言い方だな。」
(あ、そういえば俺が異世界の日本人だということをドルムさんに説明してなかったな。・・)
「あのードルムさん・・・俺説明してなかったけど、俺、この世界で生まれた人間じゃないです・・・」
「え?ホントか?」
「はい、本当です。」
それから俺は、修学旅行中の飛行機が墜落して仲間と別れ、ピンター達と出会った後奴隷になったところまでを説明した。
飛行機についての説明が難しかったが「空飛ぶ船」と表現したら、なんとか理解してもらえた。
「にわかには信じがたい話だが、ソウが言うなら本当の事だろうな。・・・うん、信じるよ。苦労したな。」
ドルムさんの表情からして本当に信じてくれたようだ。
「さっきの話の続きだが、この世の中の知的生命体は大きく分けて二種類だ。一つは俺やピンターのようなヒューマンタイプ。魔族、人間、神族、エルフ、ドワーフ、等だ。もう一つは獣人タイプ、人猫、人犬、竜人、等だ。」
ドルムさんが更に話を続ける
「主な生息区域はヒューマンタイプが大陸の南半分、獣人は大陸の北半分だ。知的生命と言えるかどうかは別にして、いわゆる「魔物」と呼ばれる生物もいる。
ソウの友達を食ったというウララウト(大ウミヘビ)も魔物の一種だ。魔物の多くは大陸北部に生息しているがその他の地域にも魔物が密集して生息している場所がある。詳しいことはおいおい説明してやるが、おおまかに言えば、こんなところだな。」
「そうですか、ありがとうございます。」
(詳しいことは、暇なときにマザーに教えてもらおう。)
「いい匂いがしてるでがすね。・・ワシも相伴にあずかって良いでやんすか?師匠」
鍛冶屋の親父がノソっと顔を出した。
「盗み聞きしたわけじゃないでがすが、お話し聞こえてました。苦労なされたんでやんすね。師匠」
「オヤジさん、確かに魔剣の作り方教えると言ったよ。弟子にもしたよ。でもその『師匠』っての止めてくれない?特にみんなの前ではさ・・」
「何を言うとります。物造りを教えて下さる方を師匠と呼ぶのは当然のことでやんすよ。それに、ただの物造りじゃないでがす。魔剣、魔道具でやんすよ。
これを作れる方を師匠と呼ばずなんとお呼びすればよいのやら。それに師匠、ワッシは一応『ドランゴ・ワイス』という名前が、ござりやす。オヤジさん、じゃなくてドランゴとおよび下しあ。」
(最初に出会った時とは随分態度が違ったな。よほど魔剣をつくりたいのだろうな)
「わかったよ、オヤジさん、じゃなくてドランゴさん。魔剣造りは必ず手伝うから、そんなにかしこまらないでよ。w」
「はい。お願いするでやんす。」
「ところでドランゴさん、仲間が増えたし、いつまでも、ここで世話になるわけにはいかない。いずれ首都ゲラニに向けて旅立つつもりだが、準備が整うまで、どっか良い隠れ場所がないだろうか?」
「ここにいつまでも居てもらってもようがすが、やはり手狭でさぁねー。郊外の一軒家あたりを探しましょう。しかしこの街はでは賃貸物件がほとんどないでやんす。買取となると・・その・・・」
「ああ、資金だね、それは、なんとかするよ。それと馬車と馬も用意して欲しいんだ。」
「ようがす。早速手配するでやんす。」
「おい、ソウ。金有るのか?」
ドルムさんが心配そうに尋ねる。
「お金は無いですが、金目の物は在りますよ。たぶん。」
俺は暖炉の傍に置かれている石炭に目をやった。
「ニクグシー♪ ニク、ニク♪」
鍛冶屋の住居部分へ入ると、ピンターが素っ頓狂な声を出しながら階段を駆け下りてきた。
(ピンター 鼻が良いな。かぎつけやがったw)
ピンターは駆け下りてくると、俺の後ろに居たルチアに気が付き、俺の前で立ち止まった。
「誰?」
首をかしげながらルチアを見ている。
ルチアは更に俺の後ろにさがった。
「ルチアだ。仲良くしろよ。♪」
俺がルチアを紹介すると
「ピンターだよ。仲良くしてね。」
ピンターが挨拶をしたがルチアは応えない。
「ルチア、ピンターだ。しばらくは一緒に居る仲間だから仲良くしてやってくれ。」
俺が話しかけても、やはりルチアの反応は薄い。
仕方なくピンターとルチアを連れて、二階へ上がった。
「お帰り、どうだった?ブルナの行先はわかったか?」
ドルムさんが出迎えてくれた。
「ええ、ある程度わかりました。ブルナは首都ゲラニに居るようです。」
「そうか、行方がわかって良かったな。ところで、その子は?」
ドルムさんがルチアに視線を向けた。
俺は、奴隷商でブルナの行方を追った際に、成り行きでルチアを購入したいきさつを簡単に説明した。
「そうかー そういう、いきさつか。事情はわかったが、で、どうする。その子?」
ドルムさんが再度ルチアに視線を送ったところ、ルチアが少し怯えた。
俺は、なにげに捨て猫を拾った時のことを思い出した。
中学1年生の時、雨の中、段ボール箱の中で、びしょぬれになりながら、寄り固まって震えている3匹の子猫を見つけた。
その猫達は、道路わきの溝に段ボールごと捨てられていて、今にも流されそうだった。
俺は溝に降りて、段ボールを拾い上げ、歩道上に置いた。
これ以上濡れたらかわいそうだと思い、学生服を脱いで段ボールの上にかけた。
ずぶ濡れの猫の体を拭いてやろうと、ハンカチを持って子猫に手を差し出した時、子猫は怯えて段ボールの隅へ固まった。
俺の手を敵だと思ったのだろう。
子猫たちは酷い目に遭ってきたから、俺の好意さえも敵対行為に思えたのだろう。
どうしようかと悩んでいる時、車でとおりかかったイツキが、俺と子猫を助けてくれた。
(ルチアも、その時の子猫と同じ気持ちなのだろう。)
「ん-・・具体的な事は何も考えてはいないですが、この子を捨てるような事はしたくないです。」
ルチアは、俺の言葉を理解しているようで、少し安どの表情を浮かべた。
「ま、その話は後でしましょう。まずは、これこれ。」
俺は大量に買ってきた肉串を皆の目の前に広げた。
「うわー お肉大好き。食べていい?」
ピンターの笑顔がはじける。
「いいぞ、好きなだけ食べな。」
ピンターが肉串にかぶりつく、その様子をルチアが眺めている。
「ルチア、お前も食べろ。遠慮するな。元はと言えば、お前のお腹の虫が買わせたようなものだぞ。w」
やはりルチアが行動に移さないので、俺は自分の獣化を解き、素の笑顔で肉串を一本、ルチアに差し出した。
ルチアは、少し驚いたようだが、俺の素顔を見て少し安心したような気配を見せた。
ルチアは、何度も俺と肉串を交互に見ながら、恐る恐る肉串に手を伸ばした。
俺が「いいよ」と言う意味で笑顔を向けると、ルチアが肉串を手に取り食べ始めた。
ルチアは慌てることなく、ゆっくり肉串をほおばると、ポロポロと涙をこぼし始めた。
涙をこぼしながら肉を食べ終わると、その場にうつ伏せて、今度は声を出しながら泣き始めた。
俺はルチアの頭をなでてやった。
ルチアが泣き止むまで。
ルチアが泣き止んで顔を上げた。
「アリガトウ・・・」
ルチアが礼を言った。
「いいんだよ、肉串くらい。」
「チガウ、アタシ、檻、出してくれた。」
ルチアがしっかりした言葉で、話した。
「ああ、そのことか、そのことも俺の都合でお前を買ったのだから、何も気にしなくていいよ。ところでルチアは、今後どうしたい?家族は?家に帰りたければ、帰ってもいいんだよ?」
ルチアの目から再び涙がこぼれた。
「家族ナイ、家ナイ、ルチア一人。」
それから俺は時間をかけて、ルチアの身上を聞き出した。
ルチアの説明によれば、
ルチアの出身国「ジュベル」は、獣人の国で、国王は獅子王とよばれる「獅子族」だそうだ。
ルチアの住んでいたのは首都オラベルから遠く離れ、ゲランとの国境に位置する「ネリア村」村人のほとんどは「人猫」という種族でルチアは、両親と兄弟6人で、暮らしていたが、3か月間前、突然、ゲランの兵隊がやってきて村を焼き払ったそうだ。
ゲランとジュベルは戦争状態ではなかったのに、突然襲撃されて、ジュベルの国からも救援はなかった。
襲撃のさなか、ルチアの両親はルチア達を守るために兵隊と戦ったが敵兵士は数が多く、結局、殺されたそうだ。
自宅の地下倉庫に兄弟6人で隠れていたが、兵士に見つかり奴隷にされたとのこと。
(俺やピンター達と同じ運命をたどったようだな。)
「ジュベル国は俺の国、サーリアの隣の国だ、ネリアという村は知らないが、宣戦布告もなしに襲われたんだな。俺の故郷は、まだ無事だが、いずれ同じ運命をたどるかもしれないな。」
ドルムさんがルチアの説明を聞いて呟いた。
「ドルムさん。」
「なんだ?」
「行きがかり上とは言え、俺はルチアの人生にかかわってしまった。このままルチアを放り出すことは出来ないです。ルチアを仲間に入れてもいいですか?」
「何いってんだ、このヤロウ!!そんな当たり前のことをいちいち確認スンナ!!殴るぞバカ」
ドルムさんは本気で怒っているようだ。
「だって、ルチアを仲間にするとドルムさんの帰国が遅れるかもしれませんよ。」
「ここでこの子を放り出したら、俺の方が、俺の家族に追放されるよ。アハハ」
(ドルムさんを仲間にしてよかった・・・)
「ピンター」
「何?」
「いいか?」
「何が?」
「いや・・何でもない」
ピンターはルチアが仲間になるのは当然だと思っているのだろう。
「ルチア、これでお前は俺達の仲間だ。ルチアさへ良ければ、ルチアの気が済むまで、俺達と一緒にいていいぞ。ただし俺達も脱走奴隷だ。安全とは言えないかもね。」
ルチアは肉串をほおばりながらウンウンと頷いた。
「ところでルチア、お前は何歳だ?」
俺が、何気に尋ねたところルチアは無言で右手の指三本を俺に差し出した。
「え?ルチア3歳なの?」
ルチアはウンウンと首を縦に振った。
ルチアの見た目は日本人の基準で言えば10歳位、小学3年生位だ。
「ルチア、お前の年齢や魔力を確認していいか?」
ルチアが首を縦に振ったので、俺がルチアの手を取った。
「マザー、ルチアをスキャンして。」
『了解しました。』
氏名 ルチア シーザス
年齢 3歳
種族 人猫
魔力 128
RP 88/88
BP 40/40
スキル
遠視 LV 3
夜目 LV 7
忍び足 LV 5
「本当に3歳だ。」
「獣人だからな、成長速度は人間の数倍だ。その見掛けで3歳というのは、おかしくないよ。」
ドルムさんが口をはさんだ。
ドルムさんが言うには、この世界には沢山の種族がいるが、もっとも成長速度が速いのが人猫や人犬等の獣人で、その次に人間。
魔族や神族は成長が遅いが寿命は人間の数倍から数十倍とのことだ。
「ドルムさん、この世界には、他にどんな種族がいるのですか?」
「え?この世界にはって、ソウ、おめぇこの世界の人間じゃないような言い方だな。」
(あ、そういえば俺が異世界の日本人だということをドルムさんに説明してなかったな。・・)
「あのードルムさん・・・俺説明してなかったけど、俺、この世界で生まれた人間じゃないです・・・」
「え?ホントか?」
「はい、本当です。」
それから俺は、修学旅行中の飛行機が墜落して仲間と別れ、ピンター達と出会った後奴隷になったところまでを説明した。
飛行機についての説明が難しかったが「空飛ぶ船」と表現したら、なんとか理解してもらえた。
「にわかには信じがたい話だが、ソウが言うなら本当の事だろうな。・・・うん、信じるよ。苦労したな。」
ドルムさんの表情からして本当に信じてくれたようだ。
「さっきの話の続きだが、この世の中の知的生命体は大きく分けて二種類だ。一つは俺やピンターのようなヒューマンタイプ。魔族、人間、神族、エルフ、ドワーフ、等だ。もう一つは獣人タイプ、人猫、人犬、竜人、等だ。」
ドルムさんが更に話を続ける
「主な生息区域はヒューマンタイプが大陸の南半分、獣人は大陸の北半分だ。知的生命と言えるかどうかは別にして、いわゆる「魔物」と呼ばれる生物もいる。
ソウの友達を食ったというウララウト(大ウミヘビ)も魔物の一種だ。魔物の多くは大陸北部に生息しているがその他の地域にも魔物が密集して生息している場所がある。詳しいことはおいおい説明してやるが、おおまかに言えば、こんなところだな。」
「そうですか、ありがとうございます。」
(詳しいことは、暇なときにマザーに教えてもらおう。)
「いい匂いがしてるでがすね。・・ワシも相伴にあずかって良いでやんすか?師匠」
鍛冶屋の親父がノソっと顔を出した。
「盗み聞きしたわけじゃないでがすが、お話し聞こえてました。苦労なされたんでやんすね。師匠」
「オヤジさん、確かに魔剣の作り方教えると言ったよ。弟子にもしたよ。でもその『師匠』っての止めてくれない?特にみんなの前ではさ・・」
「何を言うとります。物造りを教えて下さる方を師匠と呼ぶのは当然のことでやんすよ。それに、ただの物造りじゃないでがす。魔剣、魔道具でやんすよ。
これを作れる方を師匠と呼ばずなんとお呼びすればよいのやら。それに師匠、ワッシは一応『ドランゴ・ワイス』という名前が、ござりやす。オヤジさん、じゃなくてドランゴとおよび下しあ。」
(最初に出会った時とは随分態度が違ったな。よほど魔剣をつくりたいのだろうな)
「わかったよ、オヤジさん、じゃなくてドランゴさん。魔剣造りは必ず手伝うから、そんなにかしこまらないでよ。w」
「はい。お願いするでやんす。」
「ところでドランゴさん、仲間が増えたし、いつまでも、ここで世話になるわけにはいかない。いずれ首都ゲラニに向けて旅立つつもりだが、準備が整うまで、どっか良い隠れ場所がないだろうか?」
「ここにいつまでも居てもらってもようがすが、やはり手狭でさぁねー。郊外の一軒家あたりを探しましょう。しかしこの街はでは賃貸物件がほとんどないでやんす。買取となると・・その・・・」
「ああ、資金だね、それは、なんとかするよ。それと馬車と馬も用意して欲しいんだ。」
「ようがす。早速手配するでやんす。」
「おい、ソウ。金有るのか?」
ドルムさんが心配そうに尋ねる。
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