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妊娠

性別

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ネガティブ禁止令を出してから、郁人の考え方はだいぶよくなったと思う。

悪阻つわりも終わり(元々大したことはなかったが)、休みの日には二人でベビー用品を見に行ったりして、成長を楽しんでいる。

双子なので、なんでも二つ揃えなくてはいけない。費用も二倍だ。
それでも、家にお揃いのベビー用品が増えていくだけでなんだか嬉しい。しかも、お揃いというだけで可愛さが倍増している気がする。

お腹が大きくなってくると恥ずかしさもあって、ゆったりとした服を着るようになった。周りの視線も気になったが、男も子供を産めるようになってから三年が経っているので、ある程度慣れているのか、たまに無遠慮な視線を向けられる程度だ。

俺の他にもちらほらお腹が大きい男性を見かけ、勝手に親近感を抱いている。

「あっ!郁人!今動いた!」

「え!嘘!俺が触ってる時は全然動かないのに!伊織さんずるいですよ」

「それは産む側の特権だろ」

なぜか勝ったような気分になり、ふふん、と胸を張る。
郁人は悔しそうに俺のお腹に手を置いて、「今日はもうずっもこのままこうしてます」と無茶なことを言い出す。

「かなり大きくなりましたね」

今はようやく折り返し地点。二人とも順調に育っているのでかなり大きい。

「ほんと。自分の腹がこんなに伸びるとは思わなかった」

「ふふっ、元気に育ってる証拠ですね」

「そうだな」

「もうすぐ性別わかるんですよね?」

「ああ。次の診察でたぶんわかるんじゃないかって。郁人はどっちがいい?」

「うーん......。どちらでもいいですけど...、女の子だと勝手がわからなさそうなのでちょっと不安です。伊織さんは?」

「俺もどっちでもいいかな~。元気に産まれてきてくれればそれで」

「そうですね。それが一番です。...それにしても、全然動かないんですけど」

「なんでかね?あ、郁人の手が気持ち良くて寝ちゃうんじゃないか?」

「.........はぁ....」

実際俺も、手を置かれているだけでポカポカして安心するから言ったのだが、盛大なため息をつかれてしまった。
なんで?俺変なこと言った?

「無自覚に煽らないでくれます?タチ悪いですよ」

「え!?」

煽ったつもりなんて全くないんですけど!?
すると、お腹に置かれているだけだった手が、つー、と横に滑った。撫でるように動きながら、時折指先で腹をくすぐる。

「ちょ...、郁人....」

「なんです?」

「その動き、やめて....」

「撫でてるだけですよ?」

「そ、だけど....」

指先がお腹を掠めると、どうしても身体が反応してしまう。
手首を掴んでやめさせようとしても、指が止まることはなかった。

「あ!今動きました!」

やめろと言っている俺をよそに、郁人は嬉しそうに顔を綻ばせた。無邪気な笑顔に毒気を抜かれる。
......指の動きも止まったし、よしとするか。



そして、待ちに待った検診日。

「男の子ですね」

「「!」」

男の子!
なんだか性別がわかるとよりいよいよ、って感じがする!

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