35 / 59
妊娠
性別
しおりを挟む
ネガティブ禁止令を出してから、郁人の考え方はだいぶよくなったと思う。
悪阻も終わり(元々大したことはなかったが)、休みの日には二人でベビー用品を見に行ったりして、成長を楽しんでいる。
双子なので、なんでも二つ揃えなくてはいけない。費用も二倍だ。
それでも、家にお揃いのベビー用品が増えていくだけでなんだか嬉しい。しかも、お揃いというだけで可愛さが倍増している気がする。
お腹が大きくなってくると恥ずかしさもあって、ゆったりとした服を着るようになった。周りの視線も気になったが、男も子供を産めるようになってから三年が経っているので、ある程度慣れているのか、たまに無遠慮な視線を向けられる程度だ。
俺の他にもちらほらお腹が大きい男性を見かけ、勝手に親近感を抱いている。
「あっ!郁人!今動いた!」
「え!嘘!俺が触ってる時は全然動かないのに!伊織さんずるいですよ」
「それは産む側の特権だろ」
なぜか勝ったような気分になり、ふふん、と胸を張る。
郁人は悔しそうに俺のお腹に手を置いて、「今日はもうずっもこのままこうしてます」と無茶なことを言い出す。
「かなり大きくなりましたね」
今はようやく折り返し地点。二人とも順調に育っているのでかなり大きい。
「ほんと。自分の腹がこんなに伸びるとは思わなかった」
「ふふっ、元気に育ってる証拠ですね」
「そうだな」
「もうすぐ性別わかるんですよね?」
「ああ。次の診察でたぶんわかるんじゃないかって。郁人はどっちがいい?」
「うーん......。どちらでもいいですけど...、女の子だと勝手がわからなさそうなのでちょっと不安です。伊織さんは?」
「俺もどっちでもいいかな~。元気に産まれてきてくれればそれで」
「そうですね。それが一番です。...それにしても、全然動かないんですけど」
「なんでかね?あ、郁人の手が気持ち良くて寝ちゃうんじゃないか?」
「.........はぁ....」
実際俺も、手を置かれているだけでポカポカして安心するから言ったのだが、盛大なため息をつかれてしまった。
なんで?俺変なこと言った?
「無自覚に煽らないでくれます?タチ悪いですよ」
「え!?」
煽ったつもりなんて全くないんですけど!?
すると、お腹に置かれているだけだった手が、つー、と横に滑った。撫でるように動きながら、時折指先で腹をくすぐる。
「ちょ...、郁人....」
「なんです?」
「その動き、やめて....」
「撫でてるだけですよ?」
「そ、だけど....」
指先がお腹を掠めると、どうしても身体が反応してしまう。
手首を掴んでやめさせようとしても、指が止まることはなかった。
「あ!今動きました!」
やめろと言っている俺をよそに、郁人は嬉しそうに顔を綻ばせた。無邪気な笑顔に毒気を抜かれる。
......指の動きも止まったし、よしとするか。
そして、待ちに待った検診日。
「男の子ですね」
「「!」」
男の子!
なんだか性別がわかるとよりいよいよ、って感じがする!
悪阻も終わり(元々大したことはなかったが)、休みの日には二人でベビー用品を見に行ったりして、成長を楽しんでいる。
双子なので、なんでも二つ揃えなくてはいけない。費用も二倍だ。
それでも、家にお揃いのベビー用品が増えていくだけでなんだか嬉しい。しかも、お揃いというだけで可愛さが倍増している気がする。
お腹が大きくなってくると恥ずかしさもあって、ゆったりとした服を着るようになった。周りの視線も気になったが、男も子供を産めるようになってから三年が経っているので、ある程度慣れているのか、たまに無遠慮な視線を向けられる程度だ。
俺の他にもちらほらお腹が大きい男性を見かけ、勝手に親近感を抱いている。
「あっ!郁人!今動いた!」
「え!嘘!俺が触ってる時は全然動かないのに!伊織さんずるいですよ」
「それは産む側の特権だろ」
なぜか勝ったような気分になり、ふふん、と胸を張る。
郁人は悔しそうに俺のお腹に手を置いて、「今日はもうずっもこのままこうしてます」と無茶なことを言い出す。
「かなり大きくなりましたね」
今はようやく折り返し地点。二人とも順調に育っているのでかなり大きい。
「ほんと。自分の腹がこんなに伸びるとは思わなかった」
「ふふっ、元気に育ってる証拠ですね」
「そうだな」
「もうすぐ性別わかるんですよね?」
「ああ。次の診察でたぶんわかるんじゃないかって。郁人はどっちがいい?」
「うーん......。どちらでもいいですけど...、女の子だと勝手がわからなさそうなのでちょっと不安です。伊織さんは?」
「俺もどっちでもいいかな~。元気に産まれてきてくれればそれで」
「そうですね。それが一番です。...それにしても、全然動かないんですけど」
「なんでかね?あ、郁人の手が気持ち良くて寝ちゃうんじゃないか?」
「.........はぁ....」
実際俺も、手を置かれているだけでポカポカして安心するから言ったのだが、盛大なため息をつかれてしまった。
なんで?俺変なこと言った?
「無自覚に煽らないでくれます?タチ悪いですよ」
「え!?」
煽ったつもりなんて全くないんですけど!?
すると、お腹に置かれているだけだった手が、つー、と横に滑った。撫でるように動きながら、時折指先で腹をくすぐる。
「ちょ...、郁人....」
「なんです?」
「その動き、やめて....」
「撫でてるだけですよ?」
「そ、だけど....」
指先がお腹を掠めると、どうしても身体が反応してしまう。
手首を掴んでやめさせようとしても、指が止まることはなかった。
「あ!今動きました!」
やめろと言っている俺をよそに、郁人は嬉しそうに顔を綻ばせた。無邪気な笑顔に毒気を抜かれる。
......指の動きも止まったし、よしとするか。
そして、待ちに待った検診日。
「男の子ですね」
「「!」」
男の子!
なんだか性別がわかるとよりいよいよ、って感じがする!
20
お気に入りに追加
668
あなたにおすすめの小説
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
同僚の裏の顔
みつきみつか
BL
【R18】探偵事務所で働く二十五歳サラリーマン調査員のフジは、後輩シマと二人きりになるのを避けていた。尾行調査の待機時間に、暇つぶしと称してシマとしごき合うようになり、最近、行為がエスカレートしつつあったからだ。
ある夜、一週間の張りつき仕事に疲れて車で寝ていたフジのもとに、呼んでいないシマがやってくる。そしてモブ男女の野外セックス現場に出くわして覗き見をするうちに、シマが興奮してきて――。
◆要素◆
イケメン後輩執着S攻×ノンケ先輩流され受。
同じ職場。入社時期が違う同い年。
やや無理矢理です。
性描写等は※をつけます。全体的にR18。
現代BL / 執着攻 / イケメン攻 / 同い年 / 平凡受 / ノンケ受 / 無理矢理 / 言葉責め / 淫語 / フェラ(攻→受、受→攻)/ 快楽堕ち / カーセックス / 一人称 / etc
◆注意事項◆
J庭で頒布予定の同人誌用に書く予定の短編の試し読み版です。
モブ男女の絡みあり(主人公たちには絡みません)
受は童貞ですが攻は経験ありです
◆登場人物◆
フジ(藤) …受、25歳、160cm、平凡
シマ(水嶋) …攻、25歳、180cm、イケメン
一目惚れだけど、本気だから。~クールで無愛想な超絶イケメンモデルが健気な男の子に恋をする話
紗々
BL
中身も何も知らずに顔だけで一目惚れされることにウンザリしている、超絶イケメンファッションモデルの葵。あろうことか、自分が一目惚れで恋に落ちてしまう。相手は健気で無邪気で鈍感な可愛い男の子(会社員)。初対面の最悪な印象を払拭し、この恋を成就させることはできるのか…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる