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妊娠

実感

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二週間後の検診で無事着床が確認され、晴れて妊夫にんぷとなった。
妊娠の周期は、通常着床日を0週とするのではなく、着床する直前の生理開始日を0週とするらしい。
男の場合は生理がないので、それにならって着床日が一律3週目となる。

妊娠した実感も無いのに妊娠3週目というのはなんだか不思議な感じがするが、先生たちにとってはその方が混乱がなくていいらしい。
なので、そういうものなんだ、という認識だ。俺らの混乱より、先生たちの混乱がない方がいいに決まってる。


その後も順調で、妊娠6週目になると悪阻つわりのような症状が出始めた。
だが、子宮を作るための薬を飲んでから一ヶ月間の苦しみより遥かにマシだ。匂いには少し敏感になり、以前は気にならなかった匂いでも気持ち悪くなる事があったが、それを排除してしまえば問題ないし、吐くほどの気持ち悪さもない。

食事も、食べる量は少し減ったものの、気持ちが悪いから食べれない、とかではなく単に以前より食べられる量が減っただけだ。子宮ができたことによって内臓が多少圧迫されているので、以前より食べられなくなったという人は多いらしい。

そして今日は検診日。
前回はまだ心拍が確認できなかったのでちょっとドキドキする。

横になってエコーを当てると、小さいがはっきりと姿を確認できた。と、言ってもまだ人の姿はしていないので、どれが頭かもよくわからない程度だ。

「あ~、これ双子ですね」

「えっ?」

「ん?」

先生がエコーを見ながらぽつりと言った。

ふたご......双子?
俺も郁人も一瞬意味がわからず停止する。
双子って..あの双子!?
他にどんな双子があるかわからないが、エコーを見て双子って言ってるんだから俺らの子供のことだよな!?

「えっ、先生、双子って....本当に?」

「双子って...あの双子ですよね...?」

郁人も俺と同じ事を思ったらしい。
一人でもまだ実感がなかったのに、いきなり二人って言われても混乱の方が大きい。

「この動いてるのが二つあるのわかりますか?」

「「はい」」

「これが心臓です」

「心臓!?」

「これが?」

でも言われてみれば、鼓動のように一定のリズムで動いている。
これが、心臓....。こんなに小さいのに、生きてるんだ....。
なんだか感動してしまい、目に涙が浮かぶ。

いやいや、まだ早いだろ。
自分でツッコミを入れつつ郁人を窺うと、郁人もまた、感慨深げに画面を見つめていた。

「双子の場合は出産予定日を40週から37週と早めに設定しています。最終的には様子を見ながら、ということになりますが。とりあえず来週には赤ちゃんの姿ももう少しはっきりしてくると思いますし、詳細はその時にお話ししますね」

俺と郁人は先生の話にしっかりと頷いた。




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