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番外編

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「伊織さーん」

「ん......?」

休日の午後、一番眠気の襲ってくる時間帯。ソファに身体を預け、眠気と必死に戦いながら返事だけ返す。

「コレ、使ってもいいですか?」

「んー......」

コレ、というのがなにかわからないが、瞼を開けることもできず、使っちゃ駄目なものなんてなかったよな、とぼんやりした頭で考えながら返事をした瞬間に眠りに落ちた。



◇◇◇



「んんっ...?ぁ...なに....?」

「あ、伊織さん起きました?」

下半身に感じた刺激で意識が浮上した。ソファで寝ていたはずなのに、いつの間にかベッドで寝ていたようだ。郁人が運んでくれたのだろう。

「ひぅ!ぁっ、やっ!なにしてっ...!」

じゅるじゅるっという音とともに下半身に甘い刺激が走る。未だぼんやりとした状態で下を見てみれば、郁人が俺のモノを口に含んでいた。

「あ、今の気持ち良かったですか?大きくなりましたね」

「ちがっ...、んんっ!」

再び先端を卑猥な音を立てながら吸い付かれ、身体がびくりと震える。確かに気持ちいいが、それよりも郁人が俺のを咥えているこの状況が俺の身体をより熱くしていた。

「っ、昼間っからなにしてんだよっ...んっ、ふ...」

「もう夜ですよ?」

「えっ!」

どんだけ寝てたんだ俺は!
見ればカーテンが閉められており、日も差していない。明るかったのは電気がついていたからか。

「ぁっ、ん...起こしてくれればよかったのに...」

「ぐっすり寝てたんで。それにいろいろ準備もできましたし」

「準備...?んぁっ、い、くと...、それ、もういいからっ...」

話している最中も、はみはみと唇で竿を啄み、裏筋を舌が這っていた。

「気持ち良くないですか?」

「んっ、きもち、いからっ...、すぐイっちゃうっ...」

「ああ、それなら安心してください。コックリングしてるんですぐにはイけないと思います」

「へ.....?」

コックリング?ってなんだっけ...?

「だから好きなだけ感じてください」

「うぁっ!まっ...んんっ、やっ、はやっ...!んぁっ!」

どこかで聞いたことがあるような気がするが、陰茎を根元まで咥えられ、考える暇を与えて貰えない。柔らかく、温かい口内が吸い付きながら上下に動き、そこから発生する音も次第に大きくなっていく。時折舌が裏筋をなぞり、快感の波がどんどん押し寄せてくる。

それなのに、なんだかもどかしい。郁人が言った通り、すぐにはイけなかった。

「ぁあっ、なんでっ...、んぅっ!やだっ...!」

いつもならとっくにイっているはずだ。イきたいのにイけない。もどかしいのに更なる快感を与えられ、逃れるために郁人の頭を押してみるが大した抵抗にはならなかった。

「ふふっ、伊織さん、パンパンですね。はち切れそう。どこまで我慢できるかやってみましょうか」

ようやく顔を離してくれたが、未だ下腹部に圧迫感がある。不思議に思って見てみると、見たことのないものが陰茎の根元に装着されていた。

「郁人っ、これなに!?取って...!」

「だからコックリングですって。あ、駄目ですよ、取っちゃ」

こんなのいつの間に!?....って寝てるときか....。さすがに気づけよ、俺っ!

「やだっ、外せってっ...!」

「伊織さんが使っていいって言ったんですよ?」

「はっ...?そんなこと言ってな...ひぁっ!」

ずぷ...、と後孔に指がゆっくりと侵入してきた。一気に2本も埋められ、圧迫感に息を飲む。

「言いましたよ?寝る前にちゃんと」

寝る前って.....、あの意識ほとんどない時か...!そんなの詐欺だろ!

「ずる、いっ...!は...ぁっ、ぁあっ!んっ...ん、ぁっ!」

入れられた指がナカでばらばらに動き、肉壁を押し広げる。それだけで言いようのない快感が押し寄せてくるのに、しこりまで刺激されればコックリングを外すどころではない。

「伊織さんが適当に返事するのがいけないんじゃないですか」

うっ....、確かにそうだけど...!こんなことになるなんて思わないじゃんか!どうにか郁人の気を逸らして外すことはできないだろうか。枕で視界塞いでその隙に外すか?いや、それだと枕取られて終わるな....。

「考え事ですか?」

「え、んぁあ!あっ、やめっ..!ああっ、イくっ...!」

ぐりぐりっとしこりを押しつぶされ、意識を引き戻された。強過ぎる快感に何も考えることができなくなり、目の前がチカチカと点滅しだす。
それなのにやっぱりイけなくて熱が溜まる一方だ。

「ぁっ、ん!いくとっ...!やだっ、も、イきたいっ...!」

「伊織さんかわいい...。イっていいですよ?」

「あっ、むりっ...はずしてっ...!んんっ、おねがっ...!」

「大丈夫ですよ。前もナカでイけたでしょう?」

「んあっ!あっ、や..ぁあっ!んっ、もっ...ひっ、あぁああっー!」

しこりを指で挟まれたり、トントンとノックするように刺激され、ぐちぐちと卑猥な音が響いて耳まで犯されている気分になる。俺の必死な静止も全く聞く耳を持たず、むしろ指をさらに激しく動かされ、身体をビクビクと痙攣させながら達した。

射精はできず、発散できなかった熱のせいで頭がぼーっとする。ずるりと指を引き抜く際にも敏感に快楽を拾ってしまい、シーツをぎゅっと握りしめた。

「は....エロ....。伊織さん、上手にイけましたね」

「んっ....は、んむっ....んん....」

郁人が子供を褒めるように偉い偉いと頭を撫で、目尻から零れた涙を舌で掬ってから唇を塞がれた。上顎を撫でられただけで背中がぞくりと震え、やめてほしくて舌を押し返すと今度は舌裏を撫でられる。

「はぁっ....ん、いくとっ、はやくはずしてっ...」

「今外しますから、ちょっと待ってください」

キスだけでイってしまうんじゃないだろうかと思うくらい身体が敏感になっている。外す前に郁人も自分の服を脱ぎ、それからようやく外してもらえた。あまりの開放感に外しただけでイってしまいそうになったが、今度は郁人の指で陰茎の根元を締め付けられた。

「あっ、なんでっ...」

「すみません。俺のでイって欲しくてっ...!」

「んぁああっーー!!」

後孔に郁人の硬くなったものをあてがわれ、言い終わると同時に一気に最奥まで挿入れられた。
陰茎を締め付けていた手も離され、背中をのけぞらせながら白濁液が勢いよく吐き出される。ようやく解放された熱は、顔にまで届いた。

「う...ぁ、キツっ....。はぁ...、かわいい...。伊織さん、大好き」

「あぅっ!あっ!とまっ..とまって...!いくとっ!ああっ!ひぁっ!」

挿入れられただけでイってしまい、後ろがぎゅうっと収縮して郁人の陰茎を締め付けた。俺がイったことは分かっているだろうに、郁人は硬くなった先端を擦り付けるように腰を動かしたかと思えば、俺の腰を掴んで打ちつけるように抽挿を繰り返す。

大した間を置かずに二度も絶頂させられて敏感になった身体は、あまりの刺激の強さに震えが止まらない。擦られる度に絶頂しているような感覚さえあり、気持ち良過ぎておかしくなってしまいそうだ。

「やあぁっ!イってる、からぁっ!んぁっ!まっ、なんかっ...!ああっ!やだっ、ぅあっ!」

「っ、は...。すみませんっ...、ナカすごいうねって止まんないっ....」

「ほんっ、とに、まって...!あ、んんっ!でちゃう、からっ...!あっ、いくとっ...!」

「いいですよ、....っ何回でもイってください」

「ちがっ、そうじゃ、んぁ!なくてっ...!あっ、やだっ..もれ、そう..だからぁっ...!」

射精、というよりもおしっこが漏れてしまいそうで何度も止めているのに、全く聞いてくれない。
やばい。このままだと確実に漏らしてしまう。こんなとこで漏らしたら恥ずかしくて死ねる...!
どうにか止まってくれないかと郁人を見るが、欲望のこもった瞳で見つめられ、止まってくれそうにない。

だが、郁人も苦しげに息を吐き、激しく出入りする陰茎も硬度を増している。たぶん郁人ももうすぐ限界だ。だから郁人がイくまで耐えるしかない。そう思っていたのに、乳首を少し強めに摘まれ、新たに強い刺激が与えられた。

「くっ...伊織さん、今日は随分余裕ですね?」

「ひぁあ!ああっ!ちがっ..!んあぁっ!」

「っは...、一緒にイきましょう?」

「やだっ!あっ、ああっ!んぁっ、やっ..あっ、ああぁあ!!」

俺の腰を掴み、さらに深く突き立てる。最奥をガツガツと抉られ、耐えることなどもうできなかった。奥に郁人の熱いものが放たれるのと同時に、俺の陰茎からは勢いよく透明な液体が吐き出された。

あまりの快感に、漏らしたことなどまるで構っていられず、ビクビクと震える身体を鎮めることで精一杯だ。

「うわ...えっろ....。伊織さん潮吹きました?」

「しお.....?」

イっても尚続く快感のせいで頭が回らない。
あ....、そうだ。おれ、もらして.....。
情けないのと恥ずかしいのがごちゃ混ぜになって涙がじわりと滲む。引かれていないだろうかと郁人を窺うと、手についていた液体をぺろりと舐めるのが見えた。

「なっ!なにしてんだよお前!」

「わっ、ちょっと伊織さんっ、まだ動かないでくださいっ...」

まだ挿入っていることなど忘れ、慌てて身体を起こして郁人の手を掴む。

「....ほんとごめん...。すぐ風呂入って」

「なんで謝るんです?」

「だ、だって....、汚しちゃったし....」

「伊織さんのものならいつでも大歓迎ですよ」

「なっ.....!」

「俺がどれだけ伊織さんを好きか、まだわかってないようですね?」

「えっ、ちょ...まっ....」

笑顔が怖い。咄嗟に逃げようと腰を引いたが、あっさりと捕まった。そのまま引っ張られ、膝の上へ乗せられる。

「んっ、ぁ...。郁人、一回抜いてっ....」

「嫌です」

「ひぅ!あっ、奥やだって...!んっ!」

「いい、の間違いでしょう?」


結局この日はご飯を食べるのも忘れ、意識が途切れるまで続いた。
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