年下上司の愛が重すぎる!

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51話

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俺が主導権を握っていたのはほんの一瞬で、当然のように入ってきた舌は、先程とはうってかわって酷く優しい。

「んぅっ.....は、ぁ.....んっ、ふ.....んっ」

佐原の舌先が、俺の舌の表面を撫でるように這い、ぞくりとするような感覚から逃れようと引っ込めれば、今度は上顎を這っていく。追い出そうと舌を押し返せば、舌裏を舐めとられてしまい、またも身体から力が抜けていった。

ゆっくりだと、何をされているのかはっきりわかる分、快感を拾いやすい。舌でどこかを撫でられるたびに、ぞくぞくと下半身に熱が集中する程だ。

「んぁっ!んっ、んんっ...!ん、ぁ...や、め...」

やはり上手く鼻で息ができずに苦しくなってきた時、佐原の膝が緩く立ち上がりつつあった俺の股間を押し上げた。
直接的な刺激に思わず声が出てしまったが、すぐに口で塞がれ、くぐもった声しか出せなくなる。
更に佐原の手が服の中へと入り込み、腰から背中をつー、と指が滑った。

まさかこんなところでおっぱじめるつもりじゃないだろうなあ!こいつは!
ここがどこで、今が何時かわかっていないんだろうか。

「ばっ、か...!んっ....は、ま、まてっ、んんっ...」

全く聞く耳を持たず、離れたと思っても角度を変えて何度も口づけられる。
しかも、いつの間にかベルトまで外されており、寛げられたズボンはなんの引っかかりもなくなって、ストン、と床に落ちた。

「あっ!ん、あっ...、やめ....っ、おいっ」

「...なんです?」

口は解放されたが、耳や首筋に移動しただけで刺激はなくなっていない。それどころか左手は背中から前へと移動し、右手は下着の上から穴を広げるように臀部を揉みしだかれている。
たったそれだけの刺激で陰茎は完全に勃ち上がり、下着に染みをつくっていた。

「な、にって...、っ、ここ、どこだと...!」

「...玄関、ですね...」

「んっ...!わかってんなら、やめろっ...!」

「...なぜです?」

本当にわからないといった様子で首を傾げ、すぐに愛撫を再開させる。

「ひっ!ばかっ、やめろって...!」

右手が下着へと入り込み、割れ目に沿って指が滑った。
本当にやる気か、と焦って腕を掴むが、割れ目に押し入ろうとする指は止まってくれない。尻に力を入れて侵入を拒んでも、無駄に終わった。

「っぁ...、はな、せっ...!んんっ...、く...ぅ...」

ぎりぎり入らない絶妙な力加減で、窄まりに指をぐにぐにと押し当てられる。逃れようと無意識に背伸びをすれば、佐原により近づいただけだった。

「はぁ....、ここ、すごいひくひくしてますね...。姫崎さんも期待してくれてるんですよね....?」

「ちがっ...!っぁ、んっ...」

「違うんですか?は....、でも指を押し付けるとすごい吸い付いてきますよ...?まるでキスしてるみたいに」

「っ、るさい...!」

少しだけ入り込んでくる指は、何をするわけでもなく出ていくが、何度も同じ行動を繰り返す。おかげで以前そこに入っていた時の感覚までまざまざと思い出してしまい、奥が疼くような感覚に襲われる。

「もっ...、いい加減にっ...!んっ...、朝から、盛ってんな....!」

「....姫崎さんに好きって言われて、待てできるほどできた人間じゃありませんよ。俺は」

迷いなく言い切る姿はいっそ清々しい。
先程までとは顔つきがまるで違い、肉食獣を連想させた。泣いたことでで赤くなった眼が飢えた獣のように見え、まるで自分が草食動物にでもなった気分になる。

「姫崎さんだって勃ってるじゃないですか、ここ。...それに、ここも」

湿った下着を押し上げている陰茎を膝で潰されるのと同時に、服の中に入り込んでいる手で乳首を摘まれた。

「ぅあっ!」

右手の動きも止まっておらず、複数の刺激にここが玄関だということも忘れて思わず声を上げてしまった。
セキュリティがしっかりしているだけあって、俺の家とは違い隣から音が漏れたことなどないが、玄関も同じとは限らない。
一般的な会社の始業時間は過ぎているものの、これから出かける人もゼロではないだろう。

「ぁ...っは、一緒に、するな...!んっ...、お前が、触るからっ...!」

口を開けば漏れそうになる鼻にかかった甘ったるい声を、なんとか堪えながら睨みつける。
だからやめろ、と怒ったつもりだったのだが、佐原は嬉しそうに微笑んだ。
なぜかその笑顔に背筋がぞくりと震える。なにか余計なことを言ってしまったのかと焦るが、思い返しても特に喜ばせるような発言をした覚えはない。

「は....、あまり煽らないでください....」

「ひぅっ!」

耳を疑うような言葉とともに、後孔に当てがわれていた指がナカへと侵入してきた。久しぶりの感覚に、知らず指を締め付けてしまう。
何度かされたその行為は、慣れるどころか過剰に反応するようになってしまっている気がする。

「やっ...、煽って、ない...っ」

「はぁ....、煽ってるでしょう....。はぁ....だってそれ、ですよね?は....、他の人じゃこうはならないでしょう?」

「んっ..く...ぅ、はっ...ぁ、んんっ...」

そうだけどそうじゃねえ!そう叫びたかったのに、与えられる刺激に声を堪えるので精一杯だった。
俺は生理現象だと言いたかったのに、とんだ解釈違いだ。どうしたらそんなポジティブに捉えられるのか。
それでも、佐原の言っていることは間違っているわけではない。

佐原だから、反応してるんだろう。
以前影山に頬を触られたことがあったが、たったそれだけで嫌悪感を感じたのだ。きっとあれ以上触られていたら投げ飛ばしていただろうし、鳥肌が立つばかりで反応などしなかっただろうと今ならわかる。

「...考え事ですか?」

「ぁあっ!?」

意識を過去へ飛ばしていたのはそれほど長い時間ではなかったはずなのに、目敏く気づいた佐原はナカに埋めていた指をお腹側に折り曲げると、膨らんだ部分を強く押し潰した。
強い快感に、身体は勝手に跳ね、声も抑えることができなかった。

トントンと、ノックするように何度も押し潰され、その度に射精感が込み上げては去っていく。
お陰で下着はぐっしょりと濡れてしまっていた。

「はぅっ!っ、ふ...んんっ!も、あっ!..やめっ...んぁっ!」

「余裕があるみたいなんで、こっちだけでイってみましょうか」

「な、ああっ!あっ、や、んんっ!っそこ、ぅあっ!ばっか...!」

埋められた指に、先程とは違う動きで強烈な快感を与えられ、何を言われたのか理解できないばかりか聞き返す余裕すらない。しこりから指を離してもらえず、執拗にそこばかりを責め立てられると、どんどん熱がこもっていく。
快感は強いのに、何故イけないのか。生理的に滲んだ涙がぽろぽろと溢れる。

「ぁうっ、やっ、んん!む、りっ...!んぁあ!」

「はぁ...。駄目ですよ、前触っちゃ...。もうイきそうなんじゃないですか?はぁ...、ナカすごいびくびくしてますよ...」

どうにかこの熱から解放されたくて前に伸ばした手を、無情にも掴まれてしまった。
相変わらず飢えた獣のようではあるが、怒っているようにも見えるのは気のせいだろうか。息も荒くてなんか怖い。

わけがわからなくなるような感覚と相まって、顔に出ていたのだろう。佐原は「大丈夫ですよ」と言って顔中に唇を落とした。
単純なもので、たったそれだけで恐怖は和らいでいく。だが、最悪なことに快感は増してしまった。

「やっ、ぁあっ、っ、~~~~っ!!」

しこりをより一層強く潰されると、目の前が電気をつけたりけしたりしているかのようにチカチカと点滅し、強烈な快感が身体を走りぬけた。

何が起こったのかわからない。
身体の震えが止まらず、支えられていなければ床に座り込んでいただろう。射精時を上回るほどの快楽に、頭がぼーっとしている。

あの時のようだ。媚薬を盛られた時の、全身が性感帯にでもなったような。
佐原に触れている部分がいやに熱い。

「は....エロ.....」

「んっ、はっ....ぁ、な...に...、んっ...」

ぼそりと呟かれた言葉は脳にまで届かず、吐息だけが耳をくすぐった。




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