年下上司の愛が重すぎる!

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24話

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意識が浮上すると、まだ目を開けていないのにも関わらず、眩しくて腕で顔を覆った。身体が重く、殴られた頭がズキズキと痛む。
どのくらい時間が経ったのか。
すぐには起き上がれず、ぼーっとした頭で周りを見るが、見覚えはない。

狭いとも広いとも言えない空間にはベッドしか置いておらず、俺はその上に寝かされていた。
幸い、身体の自由は奪われていないが、当然のように護符や式札はなく、携帯もない。

「.........くそっ........」

自分のマヌケさに腹が立つ。
だが、後悔も、反省も全部後回しだ。もしかしたら御堂先生もここに連れて来られているかもしれない。

しかし、殴られただけでこうも身体が重くなるだろうか。
なんとか起こした身体は、熱まで帯びている。何かしら薬を使われたのかもしれない。
だが、のんびりしている暇はない。一刻も早く現在地の特定と外部への連絡手段を探さなくては。

出入りできそうな場所は二ヶ所。
一つはここの出入り口であろう扉で、もう一つは窓物だ。らしき、と言ったのは白い板のような物で塞がれていて、とても窓には見えないからだ。
それでもカーテンレールがついているので、きっと窓を塞いであるんだろう。

ふらつく身体で窓へ近づいてみるが、やはり板のような物が釘で取り付けられている。隙間がないか、外れないか確認してみるが無駄だった。
これでは場所以前に時間すらわからない。

あとは扉しかないが、その向こう側には俺をここに連れてきた犯人がいるだろう。扉が開いたとして、このふらつく身体で対抗できるだろうか。....いや、できるかできないかじゃないな。やるしかないんだ。自分のケツは自分で拭く。

扉に耳を当て、何か聞こえないかと探ったが何も聞こえず、一度深く深呼吸をしてからドアノブに手をかける。
予想に反し、扉は小さな音を立てて開いた。

———が、

「っ!」

小さく開いた扉の前には男が立っており、咄嗟に身を引いた。
男の背後には、黒い影がある。
こいつが犯人か?
だが、男は俺を一瞥いちべつしただけですぐに視線を逸らし、何者かに向かって声を投げた。

『目を覚ましました』

複数犯であることに今更驚きはしないが、従っているかのような言動に違和感を覚える。
利害関係だけで協力してるわけじゃない、ってことか...?

ドタドタと走ってくるような足音に身構え、後ずさりしながら姿を現すのを待った。
薬のせいか、それとも緊張からか心臓がドクドクと強く脈打ち、呼吸まで荒くなってきた。熱も上がってきた気がする。

だが、もう一人の人物が現れたことによって、全て吹き飛んだ。


「み、御堂先生!?」


現れたのは御堂先生だった。
俺が名前を呼ぶと、嬉しそうににっこりと微笑む。
どうやら、怪我などはしていないようでそれにひとまずほっとした。

「よかった、無事だったんですね...」

「ご心配おかけしてすみません」

そして、近づこうと一歩進んだ時、妙な違和感を覚え次の一歩は踏み出せなかった。

......なんで、ここにいる?
いや、ここにいる事自体はおかしくない。御堂先生も巻き込まれ、ここに連れて来られた可能性は十分にある。

それでも、先程のやりとりはおかしくないか?
まるで取り憑かれてるやつより御堂先生の方が優位に立っているような...。もしかしてまだ操られてはいないのか?

「.....御堂先生、そちらの男性は...?」

「ああ、手荒な真似をしてすみませんでした。でも薬はあまり使いたくなかったので。傷は手当しておきましたがまだ痛みますか?」

「なっ...!」

その言葉は、共犯だと言っているようなものだ。
なぜ、御堂先生が。なぜ、こんなことを。

「どうして...こんなことを...?」

正直、そこまで親しいわけではないが、御堂先生がこんなことをするとは思わなかった。病院でもあれほどみんなに慕われているのに。

「本当はもっと時間をかけるつもりだったんですよ?でも、あいつが来てから姫崎さんをとられるんじゃないかって気が気じゃなくて」

「あいつ....?」

「警部さんですよ」

話が見えない。とられるってどういう事だ?それに、御堂先生が"あいつ"なんて言葉遣いをするなんて。

「警部にとられる、とはどういう意味ですか...?」

「そのままの意味ですよ?姫崎さんが他の誰かに抱かれると思ったらいてもいられなくなったんです」

だっ!?な、なんだってそんな話に!?というか、前に好きだとか言ってたのは本気だったってこと...?
だとしてもこんな事....。

「.......なにか、勘違いされてませんか?警部とは別になにも...」

「それ本気で言ってます?冗談だとしたら笑えませんけど」

「っ!」

低く、冷たい声色に、一瞬ぎくりと身体が固まる。
怯むな、馬鹿野郎。

「だからってこんなこと....」

「先程も言ったでしょう?姫崎さんを誰にもとられたくなかったんです」

「....これは犯罪ですよ?それは、わかってますか...?」

「もちろん。だから姫崎さんに早く俺を好きになってもらわないと」

「....こんなことされて、なると思いますか?」

「なってもらわないと困ります」

そう言うと笑顔のまま近づいてきたが、下がったら負けのような気がしてその場で睨みつける。
すると笑みを一層深くし、目の前まで来ると俺の腕を掴んだ。

「ひぁっ!?」

掴まれた直後、ビリビリッと電気が走ったかのような感覚に襲われ、身体の力が抜けた。がくんと膝をつき、もう片方の手で自分を抱く。
なんだ、これは....。今のは、俺の声か.....?

掴まれた部分がじんじんと熱をもち、それが全身に広がっていく。呼吸が荒くなっていき、さらには下腹部まで疼きだした。

「ああ...、やっぱり可愛い。ずっと聞きたいと思ってたんです。姫崎さんのそういう声」

「な....に.....」

「安心してください。違法な薬ではありませんので。でも少し量が多かったですかね?」

「ぁっ!やめっ...!」

横抱きをされ、そのままベッドへ下ろされた。
尋常じゃないくらい肌が過敏になっていて、触られる度にビリビリと電気が走る感覚に襲われる。

「はぁ....くそっ、なんでっ....こんな....っ!」

「あれ、まだわかりませんか?媚薬ですよ、媚薬」

「びっ...!?」

「姫崎さんってその顔で擦れてなさそうなとこがまたいいんですよね。もしかして初めてだったりします?」

「っる、せっ...!くっ...、んっ、はっ...」

ベッドに押し倒され、真上に御堂先生の嬉しそうな顔がうつる。
シャツのボタンを外しにかかる手を掴むが、ろくに力が入らない手では添えるだけになってしまう。しかもそれだけでまた痺れたような感覚になる。

これが、快感...?神経が剥き出しになっているかのようで気持ちが悪い。なのに、下半身は痛いくらいに勃ち上がっているのがわかる。

「取り繕えなくなってる姿もそそられますね。もっといろんな顔見せてください」

「やぁっ!あ、やめ...、ひっ!んんっ...はぁ...っ」

剥き出しになった肌をさらりと撫でられただけで、自分のものとは思えない声が勝手に漏れてしまう。

気持ちいい、気持ち悪い
もっと、触るな
イきたい、イきたくない

真逆の感情がせめぎ合い、訳がわからなくなって涙が溢れてきた。それでもパニックに陥っていないのは、特訓の成果かもしれない。
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