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episode22
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「あ、ザジ!」
お風呂場に着くとすぐに見知った顔を見つけた。
「おう!ハルトじゃねえか!どした?風呂に入る前からビショビショだな?」
青の髪と瞳で騎士団の中でも筋肉バカと呼ばれるマッチョなおじさんだ。
「あー、ちょっと水魔法失敗して.....」
「ははっ、そうか。まあ練習あるのみだな。ところでお前さん今日は1人か?」
「うん。だから魔石に魔力流すの頼んでもいい?」
「それはかまわんが.....。許可は取ってんのか?」
「子供じゃあるまいしいちいち許可なんていらないでしょ」
「お前なぁ.....。少しだけ待ってろ」
そう言って俺の知らない人と一言二言会話してから戻ってきた。
「さっさと入って出るぞ。俺から離れるなよ」
「え?なんで?」
「いいから」
「はーい」
マッチョなザジの後ろにいると俺はほぼ隠れて見えなくなる。
「お前ほんと白くて細いな。ちゃんと食べてんのか?」
「ザジと比べたらみんな細くなっちゃうよ。これでも少し焼けたんだけどね」
髪の毛と瞳、肌の色がここではかなり珍しいようでこの1ヶ月で言われまくってもう慣れた。
「おう、ザジ。可愛いの連れてるな。浮気か?」
「馬鹿。団長のお気に入りだ。ちょっかい出すなよ」
「おお、そりゃ怖え」
ザジは結婚していて2児のパパだ。
可愛い、と言われるのも不本意だが少し慣れた。
あまり気にしないようにしている。
お湯に浸かると水で冷えていた体がじんわりと温まる。
「ふー」
「そういや明日は見に来れるのか?」
「なんのこと?」
「聞いてないか?明日竜黒と合同訓練すんだよ」
「へー!それって俺も見れるの?」
「ああ、訓練っつっても試合みたいなもんだけどな」
「え!なにそれ面白そう!」
「人数が多いから全員じゃないが俺はやるぜ!」
「じゃあ絶対行く!」
「可愛いやつめ!」
頭をガシガシと撫でられた。
「奥さんは来るの?」
「いや、まだチビ達が小さいからなぁ」
「そっかぁ、残念。会いたかったんだけど」
「今度昼飯招待するわ」
「ほんと?楽しみ!」
「さあ、もう出るぞ」
「え、もうちょっと入りたい」
「ダメだ」
「えぇー」
有無を言わさず引っ張り出された。
しかも部屋まで送ると強引についてきた。
「いつも1人で帰れてるよ?」
迷子になる心配をされているかと思い告げるとそうではないらしい。
「風呂上がりのハルトは俺でもクラッとくるからな」
「貧血?大丈夫?」
心配するとかなり深いため息をつかれた。
なんでだよ。
「あ!レクス!戻ってたんだ!」
レクスは仕事でよく王都を空けることがあった。
今回も一昨日から出かけていて会うのは3日ぶりだ。
会えた事が嬉しくて思わず駆け寄ると盛大にため息をつかれた。
それからギロリと睨まれる。
え。
「風呂には1人で行くなと言ってあったろ」
お、怒ってらっしゃる.....!
「....ごめん....」
「あまり心配をかけるな。後で説教だからな」
「えっ」
今日は早めに寝ようかな.....。
「寝ていても叩き起こす」
心読まないでー!
「ザジ、このまま部屋へ送ってから報告しろ」
「はっ!」
その日の夜、レクスが戻ってきたのは少し遅い時間だったがしっかり怒られてからベッドに入った。
「そういえば明日竜黒騎士団と合同訓練があるんでしょ?」
「ああ、ザジに聞いたのか?」
「うん。レクスは出ないの?」
「剣技の方は出ないが指揮の方は出るぞ」
「ケンギ?シキ?」
「なんだ聞いたんじゃないのか?」
「詳しくは聞いてない」
「剣技は1対1の試合だが指揮はお互いの考えた戦況を複数人で突破を目指す。戦況は直前に知らされるから判断力なども養える」
「うわぁ、難しそう....」
「面白いぞ?いい刺激にもなる」
「応援するね!」
「見にくるのか?」
「そのつもりだったけど....ダメ?」
「いや....駄目ではないが....」
少し考え込んでからしかたない、と言った。
「絶対に1人になるなよ。あと竜黒騎士団の奴らに近づくのも禁止だ」
「え、なんで?」
どんな魔物を討伐してるのか聞きたかったんだけど。
「粗雑な者が多いからな。守れないなら行くのは禁止だ」
「守ります!」
「よし。じゃあもう寝ろ」
「うん。お休みレクス」
「お休みハルト」
後ろから抱きしめられ、うなじにちゅっと音を立てた。
これが習慣になってから3週間ほど経つが全く慣れない。
3週間前やたら真剣な顔をして話があると言われたときは緊張したが内容を聞いて少し笑ってしまった。
「ハルトが足りない。寝る時だけでいいから口付けさせてくれ。もちろん口じゃなくてもいい」
真剣な顔でなにかと思ったら!
足りないってなんですか!
あまりにも真剣でなので、じゃあ敬語で話してもキスしないのなら、という条件つきでOKした。
もちろん敬語に戻すわけではなく必要なときは敬語を使っても許されることになった。
その日の夜、首筋にキスをされたとき早まったとは思ったが後ろから抱きしめられるのはドキドキと同時に安心感もあった。
あー、やっぱ好きかも。
まどろみの中そう思った。
お風呂場に着くとすぐに見知った顔を見つけた。
「おう!ハルトじゃねえか!どした?風呂に入る前からビショビショだな?」
青の髪と瞳で騎士団の中でも筋肉バカと呼ばれるマッチョなおじさんだ。
「あー、ちょっと水魔法失敗して.....」
「ははっ、そうか。まあ練習あるのみだな。ところでお前さん今日は1人か?」
「うん。だから魔石に魔力流すの頼んでもいい?」
「それはかまわんが.....。許可は取ってんのか?」
「子供じゃあるまいしいちいち許可なんていらないでしょ」
「お前なぁ.....。少しだけ待ってろ」
そう言って俺の知らない人と一言二言会話してから戻ってきた。
「さっさと入って出るぞ。俺から離れるなよ」
「え?なんで?」
「いいから」
「はーい」
マッチョなザジの後ろにいると俺はほぼ隠れて見えなくなる。
「お前ほんと白くて細いな。ちゃんと食べてんのか?」
「ザジと比べたらみんな細くなっちゃうよ。これでも少し焼けたんだけどね」
髪の毛と瞳、肌の色がここではかなり珍しいようでこの1ヶ月で言われまくってもう慣れた。
「おう、ザジ。可愛いの連れてるな。浮気か?」
「馬鹿。団長のお気に入りだ。ちょっかい出すなよ」
「おお、そりゃ怖え」
ザジは結婚していて2児のパパだ。
可愛い、と言われるのも不本意だが少し慣れた。
あまり気にしないようにしている。
お湯に浸かると水で冷えていた体がじんわりと温まる。
「ふー」
「そういや明日は見に来れるのか?」
「なんのこと?」
「聞いてないか?明日竜黒と合同訓練すんだよ」
「へー!それって俺も見れるの?」
「ああ、訓練っつっても試合みたいなもんだけどな」
「え!なにそれ面白そう!」
「人数が多いから全員じゃないが俺はやるぜ!」
「じゃあ絶対行く!」
「可愛いやつめ!」
頭をガシガシと撫でられた。
「奥さんは来るの?」
「いや、まだチビ達が小さいからなぁ」
「そっかぁ、残念。会いたかったんだけど」
「今度昼飯招待するわ」
「ほんと?楽しみ!」
「さあ、もう出るぞ」
「え、もうちょっと入りたい」
「ダメだ」
「えぇー」
有無を言わさず引っ張り出された。
しかも部屋まで送ると強引についてきた。
「いつも1人で帰れてるよ?」
迷子になる心配をされているかと思い告げるとそうではないらしい。
「風呂上がりのハルトは俺でもクラッとくるからな」
「貧血?大丈夫?」
心配するとかなり深いため息をつかれた。
なんでだよ。
「あ!レクス!戻ってたんだ!」
レクスは仕事でよく王都を空けることがあった。
今回も一昨日から出かけていて会うのは3日ぶりだ。
会えた事が嬉しくて思わず駆け寄ると盛大にため息をつかれた。
それからギロリと睨まれる。
え。
「風呂には1人で行くなと言ってあったろ」
お、怒ってらっしゃる.....!
「....ごめん....」
「あまり心配をかけるな。後で説教だからな」
「えっ」
今日は早めに寝ようかな.....。
「寝ていても叩き起こす」
心読まないでー!
「ザジ、このまま部屋へ送ってから報告しろ」
「はっ!」
その日の夜、レクスが戻ってきたのは少し遅い時間だったがしっかり怒られてからベッドに入った。
「そういえば明日竜黒騎士団と合同訓練があるんでしょ?」
「ああ、ザジに聞いたのか?」
「うん。レクスは出ないの?」
「剣技の方は出ないが指揮の方は出るぞ」
「ケンギ?シキ?」
「なんだ聞いたんじゃないのか?」
「詳しくは聞いてない」
「剣技は1対1の試合だが指揮はお互いの考えた戦況を複数人で突破を目指す。戦況は直前に知らされるから判断力なども養える」
「うわぁ、難しそう....」
「面白いぞ?いい刺激にもなる」
「応援するね!」
「見にくるのか?」
「そのつもりだったけど....ダメ?」
「いや....駄目ではないが....」
少し考え込んでからしかたない、と言った。
「絶対に1人になるなよ。あと竜黒騎士団の奴らに近づくのも禁止だ」
「え、なんで?」
どんな魔物を討伐してるのか聞きたかったんだけど。
「粗雑な者が多いからな。守れないなら行くのは禁止だ」
「守ります!」
「よし。じゃあもう寝ろ」
「うん。お休みレクス」
「お休みハルト」
後ろから抱きしめられ、うなじにちゅっと音を立てた。
これが習慣になってから3週間ほど経つが全く慣れない。
3週間前やたら真剣な顔をして話があると言われたときは緊張したが内容を聞いて少し笑ってしまった。
「ハルトが足りない。寝る時だけでいいから口付けさせてくれ。もちろん口じゃなくてもいい」
真剣な顔でなにかと思ったら!
足りないってなんですか!
あまりにも真剣でなので、じゃあ敬語で話してもキスしないのなら、という条件つきでOKした。
もちろん敬語に戻すわけではなく必要なときは敬語を使っても許されることになった。
その日の夜、首筋にキスをされたとき早まったとは思ったが後ろから抱きしめられるのはドキドキと同時に安心感もあった。
あー、やっぱ好きかも。
まどろみの中そう思った。
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