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episode3
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「レオン!俺の外套をもってきてくれ!」
扉の外に指示を出してまた俺に向き直る。
目が合うだけでドキリとしてしまう。
「すまん、少し待っていてくれ。その容姿では騒ぎが起きそうだ」
「え?あ、はい。大丈夫です。ありがとうございます」
あなたの容姿のほうがよっぽど騒がれそうなんですが。
どのみちまだ立てないので待つことに対しては何の反対もない。
「俺はレクスだ。名は何という?」
「桐生...ハルト・キリュウです」
「ハルトか。怪我はないか?」
「はい、大丈夫です」
じっと見つめられると気まずいんですが....!
視界から外れたくて気になっていたことを聞いてみた。
「あの、これってどうなってるんですか?」
団長さんの傍らにある光の玉だ。
電源のようなものはなにもないしふよふよと浮いているのも不思議な感じがする。
「魔法か?初級魔法だが見たことがないのか?」
ま...ほう...?
魔法という言葉がぐるぐると頭の中で回る。
理解できぬまま新たな声によって思考は中断された。
「団長、お待たせ致しました。ですが外套なんてどうするんです?」
すらっとしたイケメンがマントを片手に顔を出した。
またイケメンが!
団長さんとは違うタイプのイケメン。
綺麗、と言ったら失礼だろうか?上品な感じ。
銀髪のサラサラな髪は肩くらいまである。
「なるほど...。これは必要ですね...」
「だろ。他の団員には極力会わせんほうがいい。道中も俺の部屋で」
「わかりました」
よくわからないが話がまとまったようで2人がこちらに向き直る。
イケメン2人に気圧されて後退りしたくなった。
「私は副団長のレオンです。申し訳ないですがこれを被っていてください。外では絶対にはずさないように」
マントをふわりと被せられフードでほとんど顔が覆われる。
「よし、行くか」
直後ふわりと体が浮遊感に襲われた。
「うわっ」
咄嗟に目の前にしがみつく。
なんだなんだとフードを少しずらすと団長さんの顔が間近にあった。
!!!?
お姫様抱っこされてる!?
「じ、自分で歩けます!!」
真っ赤になっているであろう顔をフードで隠しながら必死に訴えた。
「ふっ。悪いが我慢しろ」
うぅ...。
軽くはないはずなのにまるで何も持っていないみたいにスタスタと歩き始めてしまった。
「ところで出身はどこだ?」
「え?東京ですが....」
「トーキョー?」
「はい。あ、そういえばここってどこなんでしょう?」
「ここはユグドラの森の外れだ」
ユグドラの森...?え、なにそれ。有名なとこ?俺が知らないだけ?
「ええっと、じゃあ何県ですか?」
「ナニケンとはなんだ?」
ん?話が噛み合わない。
「ここは日本ですよね?」
「ニホン?」
え!日本じゃない?いつの間に海外に?
「じゃあこの国はなんていう名前ですか?」
「オルランドだ」
「オルランド...?それって日本からみてどの位置にあるんでしょうか?」
「ニホンとはなんだ?」
日本を知らない?
「えっと、じゃあアメリカは?」
「アメリカ?」
アメリカも知らない...
「あっ、あの!地図ありますか!?世界地図!」
言いようのない恐怖に駆られて思わず掴みかかって大きな声がでた。
思ったよりも声が出ていたようで周りの人が俺を振り返った。
いつの間にかフードも取れていたようで周りの視線が俺に突き刺さる。
っ。
その視線にびくりと震えた。
「チッ」
団長さんが舌打ちして副団長さんがささっと俺にフードを被せる。
「レオン、箝口令を敷け」
「はっ」
「ご、ごめんなさい」
「お前は悪くない」
しばらく無言で歩き続けると人の気配を感じた。
「人払いを」
「はっ」
団長さんが誰かに伝えるとその人は理由を問うこともなく足早に去った。
テント...だろうか、ようやくお姫様抱っこから解放された俺はフードを取って見回した。
寝る場所だけではなく簡易的な椅子や机まである。
俺が知っているテントよりかなり広い。
「地図だったな。こっちに来い」
手に持っていた羊皮紙を机に広げた。
思わず駆け寄って食い入るように見た。
「なん..だ、これ...」
思わず声に出た。
俺が知っている世界地図と全く違う。
「ここが今いるオルランドだ」
団長さんが指を差した所は東にある1番大きな島だった。
薄々感じていた、やはりここは日本じゃない。
というか地球じゃない。
ありえないと必死に否定していたが突きつけられてしまった。
視界が歪む。
「どうした!?どこか痛むのか!?」
焦ったような声にはっとして顔を上げると雫がこぼれた。
そこで自分が泣いていることに気づく。
「えっ、あ、これはちが、え、なんでっ」
止まれ止まれと拭っても自分の意思と反して次々と溢れ出した。
「無理に止めようとするな。大丈夫だ。落ち着け」
がっしりとした体に包まれ優しい声にホッとしてすがるように泣いた。
扉の外に指示を出してまた俺に向き直る。
目が合うだけでドキリとしてしまう。
「すまん、少し待っていてくれ。その容姿では騒ぎが起きそうだ」
「え?あ、はい。大丈夫です。ありがとうございます」
あなたの容姿のほうがよっぽど騒がれそうなんですが。
どのみちまだ立てないので待つことに対しては何の反対もない。
「俺はレクスだ。名は何という?」
「桐生...ハルト・キリュウです」
「ハルトか。怪我はないか?」
「はい、大丈夫です」
じっと見つめられると気まずいんですが....!
視界から外れたくて気になっていたことを聞いてみた。
「あの、これってどうなってるんですか?」
団長さんの傍らにある光の玉だ。
電源のようなものはなにもないしふよふよと浮いているのも不思議な感じがする。
「魔法か?初級魔法だが見たことがないのか?」
ま...ほう...?
魔法という言葉がぐるぐると頭の中で回る。
理解できぬまま新たな声によって思考は中断された。
「団長、お待たせ致しました。ですが外套なんてどうするんです?」
すらっとしたイケメンがマントを片手に顔を出した。
またイケメンが!
団長さんとは違うタイプのイケメン。
綺麗、と言ったら失礼だろうか?上品な感じ。
銀髪のサラサラな髪は肩くらいまである。
「なるほど...。これは必要ですね...」
「だろ。他の団員には極力会わせんほうがいい。道中も俺の部屋で」
「わかりました」
よくわからないが話がまとまったようで2人がこちらに向き直る。
イケメン2人に気圧されて後退りしたくなった。
「私は副団長のレオンです。申し訳ないですがこれを被っていてください。外では絶対にはずさないように」
マントをふわりと被せられフードでほとんど顔が覆われる。
「よし、行くか」
直後ふわりと体が浮遊感に襲われた。
「うわっ」
咄嗟に目の前にしがみつく。
なんだなんだとフードを少しずらすと団長さんの顔が間近にあった。
!!!?
お姫様抱っこされてる!?
「じ、自分で歩けます!!」
真っ赤になっているであろう顔をフードで隠しながら必死に訴えた。
「ふっ。悪いが我慢しろ」
うぅ...。
軽くはないはずなのにまるで何も持っていないみたいにスタスタと歩き始めてしまった。
「ところで出身はどこだ?」
「え?東京ですが....」
「トーキョー?」
「はい。あ、そういえばここってどこなんでしょう?」
「ここはユグドラの森の外れだ」
ユグドラの森...?え、なにそれ。有名なとこ?俺が知らないだけ?
「ええっと、じゃあ何県ですか?」
「ナニケンとはなんだ?」
ん?話が噛み合わない。
「ここは日本ですよね?」
「ニホン?」
え!日本じゃない?いつの間に海外に?
「じゃあこの国はなんていう名前ですか?」
「オルランドだ」
「オルランド...?それって日本からみてどの位置にあるんでしょうか?」
「ニホンとはなんだ?」
日本を知らない?
「えっと、じゃあアメリカは?」
「アメリカ?」
アメリカも知らない...
「あっ、あの!地図ありますか!?世界地図!」
言いようのない恐怖に駆られて思わず掴みかかって大きな声がでた。
思ったよりも声が出ていたようで周りの人が俺を振り返った。
いつの間にかフードも取れていたようで周りの視線が俺に突き刺さる。
っ。
その視線にびくりと震えた。
「チッ」
団長さんが舌打ちして副団長さんがささっと俺にフードを被せる。
「レオン、箝口令を敷け」
「はっ」
「ご、ごめんなさい」
「お前は悪くない」
しばらく無言で歩き続けると人の気配を感じた。
「人払いを」
「はっ」
団長さんが誰かに伝えるとその人は理由を問うこともなく足早に去った。
テント...だろうか、ようやくお姫様抱っこから解放された俺はフードを取って見回した。
寝る場所だけではなく簡易的な椅子や机まである。
俺が知っているテントよりかなり広い。
「地図だったな。こっちに来い」
手に持っていた羊皮紙を机に広げた。
思わず駆け寄って食い入るように見た。
「なん..だ、これ...」
思わず声に出た。
俺が知っている世界地図と全く違う。
「ここが今いるオルランドだ」
団長さんが指を差した所は東にある1番大きな島だった。
薄々感じていた、やはりここは日本じゃない。
というか地球じゃない。
ありえないと必死に否定していたが突きつけられてしまった。
視界が歪む。
「どうした!?どこか痛むのか!?」
焦ったような声にはっとして顔を上げると雫がこぼれた。
そこで自分が泣いていることに気づく。
「えっ、あ、これはちが、え、なんでっ」
止まれ止まれと拭っても自分の意思と反して次々と溢れ出した。
「無理に止めようとするな。大丈夫だ。落ち着け」
がっしりとした体に包まれ優しい声にホッとしてすがるように泣いた。
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