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番外編
初めての大型連休の過ごし方 連休7日目-お出かけしたいの!-
しおりを挟むこれは弦と名月が付き合って1ヶ月と少したった頃のゴールデンウィークのお話。
ふたりで迎える初めての大型連休であるGW。
有給奨励日を入れて11連休もあったので、どこかに出かけたり何か特別なことをするのかと思いきや……
7日目の朝まで、ほとんど家でイチャ……いや、ふたりでまったりと過ごした。
この7日で外出したのは、初日に弦の車で会員制スーパーに食材を買いに行った時だけ。
連休中だけでなくそのあとの事も考えて、大きな冷蔵庫と冷凍庫いっぱいに食材を買い込んできた。
外出はそれっきり。
あとは、寝て起きてセックスして……の繰り返し。
付き合いたてで、尚且つ、弦に到っては長い片想いが成就したのだから思いっきりイチャつきたいというのは理解出来るのだが……
た、爛れている……爛れきっている……
流石にこのまま連休中ずっとベッドの上というのは回避したい……
決して弦とのセックスがいやな訳ではない。寧ろ……溺れてしまっている感は否めないし、これ以上は気持ち良すぎて馬鹿になりそうなので、少し控えた方がいいのでは?と思い始めている。
このままでは仕事に行けなくなりそうで怖いので、仕事が始まるまではセックスは夜だけにしたい、もしくは、少しでいいので回数減らして身体を休めたい、と弦にそれとなく言ってみるが、
「そっか。じゃあ激しくしないで、ゆっくりじっくり時間をかけてトロトロにしてあげるよ。そうすれば負担はないよね?」
とにっこり笑顔で返され、今日に至る。
そ、そ、そういうことではない……
体力おばけの弦とは違って、私はそんなに体力が無いので、連休明けからヘトヘトなのは勘弁して欲しい。
それに折角の付き合って初めての大型連休なのだから、少しはいつもと違うお出かけしたいと思うのは女の子として当然だと思うのだ。
誠治と付き合っている時も、あまりデートらしい事をした事がなかったし、弦のかっこいい私服も見たいし…
そんなこんなで、思い切って情事の後に、上目遣いで少しばかりお強請りをしてみると、思いのほかあっさりとOKがでて、連休の残りの日中は出かけようと決起したのは昼下がり。
久しぶりのデートに嬉し過ぎて頬が緩んでしまう。
「お出かけどこに行く?弦とのデート楽しみだなぁ。」
ベッドの中でニマニマしながら弦の胸に頬を擦り寄せると、そのままくるりと仰向きに向きを変えられて、あっという間に上から見下ろされる格好になった。
「へ?」
訳も分からずぽかんと見上げると、弦はにっこり綺麗な笑顔で、だけど熱の篭った瞳で見つめている。ドキリと心臓が跳ね上がり、居心地が悪くて思わず視線を逸らしてしまう。
気まずさから身を捩ろうとするけど、両手は弦の手によってしっかりベッドに押し留められていてビクともしない。
「げ、弦?どうした……の?」
恐る恐る訊ねてちらりとみると、蕩けるような甘い笑みを浮かべた弦が私を見つめている。
うん、何か…とても嫌な予感がする……
「うん、お出かけが楽しみなのはとても良く分かった。明日からは日中はお出かけしよ。それで、土日は仕事前だからまたお家でまったり過ごそうね。……そうと決まったら、明日と明後日の分まで今日は沢山抱いておかなきゃ。まだまだ全然名月が足りない……名月不足で死んじゃいそう。だからね?このまま抱かせて?」
「はぇ?こ、この後、お出かけ……」
「ん?しないよ?明日から名月の希望は全部叶えてあげるから、今日は俺の番。可愛い可愛い俺の名月……。そんな顔しないで?眉間に皺残っちゃったら大変。ほら、にっこりして。んー、可愛い。名月愛してるよ。」
弦はにっこりと笑いとても甘い声で宣言すると、私の唇を食むようにキスをしてきた。
まぁ、そうなりますよね……
でも、なんか釈然としないんだよなぁ…これって流されてるだけ?
眉間に皺を寄せてそんな事をぐるぐると考えていると、不意に弦にがぶりと鼻を齧られた。
「ひっ、いひゃい……何するの!?」
あまりの痛さに涙目で睨めつけると、弦はむくれて不貞腐れたような顔をして、かぷかぷと唇に甘く噛み付いてきた。
「んうっ……!!!」
「考え事してる名月が悪い。目の前の俺を見てよ。……寂しいじゃん。」
そう言うと、いきなり舌を捩じ込んで深いキスを仕掛けてきた。
ていうか、弦が拗ねて甘えてる?!
か、可愛いんですけど……
普段俺様な弦の甘えん坊モードに不覚にも胸がキュンキュンとときめいてしまった。
こんな弦を見てしまったらもう絆されるしかない。
それにしても、弦とのキスは本当に気持ちいい。唇を食まれ舌をじゅるじゅると吸われているだけなのに、気持ちが良すぎて頭の芯がぼぅとして、蕩けてしまいそうだ。
「んちゅっ……名月、蕩けそうな顔……可愛い…その顔はもうずっと俺だけにしか見せないでね。」
弦も幸せそうに蕩けた顔をしてそう言うと、再び私に唇を落とした。
こんな事、弦としかしないから他の誰かに見せる事なんてないのに、と少し呆れつつも独占欲を顕にしてそれだけ求められ愛されているのだと思うと、不思議と悪い気はしないし、結局のところ、私はこの顔で求められたらNOとは言えないのだから諦めるしかない。
降参した私は、両手を弦の頬に当てて微笑みながら答えた。
「……うん、見せないよ。これからはずっと弦だけ。だから、弦も私だけ見てね。」
その言葉に弦は心底幸せだと破顔し、大量のキスの雨を降らせる。
そして、絶え間なく降り注ぐキスの合間にそんな私も大概だよな、とぼんやり思った。
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