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第二章 黒猫の恋人
第79話 プロポーズ初夜-前編-※
しおりを挟む弦の唇が首筋へと移動し、そのまま全身に滑らせるようにキスを落としながら、私の足元からドレスをスルスルと引き抜き抜いた。
弦はドレスをベッドの下に落とすと、下着姿でベッドに横たわる私の全身を舐めるように恍と眺めた。
「今日の名月は全身俺色に染まって、本当に綺麗だ。艶かしくて……凄く唆る……」
そう言って弦は情欲をたっぷりと含んだ艶っぽい表情をしながら、ゆっくりと自らの唇を舐めた。
完全にスイッチの入った弦は先程までの優しい表情から、一転して艶っぽい表情に変わった。
その表情が酷く濃艷で私の官能を擽り、ゾクゾクと全身が粟立ちお腹の奥がきゅんと疼いて仕方がない。
思わずもじもじと太ももを擦り合わせると、その反応を弦は見逃すはずもなく、くすりと笑い徐にベッドから降りた。
「え?…げ、弦……?」
不思議そう見上げる私に、弦は艶っぽい笑みを浮かべると、私から視線を外すことなく、シャツのボタンをひとつずつわざとゆっくり外し始めた。
私の官能を更に引き出すように、ゆっくり焦らすように……
時間を掛けて全て外し終わると、今度は腰のベルトをまたゆっくりと外し、スラックスを足元に落とした。
弦は、私に見せつけるように一枚、また一枚とゆっくり身につけている物を脱いでいき、最後はワイシャツ一枚を羽織っているだけになった。
その仕種に、これから抱かれるんだと言う期待が高まりドキドキと心臓が早鐘を打った。
蒸気した身体が熱くて堪らない。
期待した蜜壷がたっぷりと蜜を湛え今にも溢れ出しそうだ。
それなのに、弦はこちらに来るでもなく、ベッドの足元で余裕たっぷりの表情で、腕を組んで顎に手をあてて私を眺めている。
弦に見られてる……
弦の視線を感じるだけで、お腹の奥が熱を持ちギュッギュッと収縮する。
触って欲しい……
強請るような視線を弦に投げるが、それでもなお、弦はその場から動かずに艶然と笑みを浮かべて私を眺めているだけ……
優しげな表情とは裏腹に眼光は鋭く、飢えた獣が獲物を定める様な…そんな、じっと私を見つめる弦の纏わりつくような視線が、まるで触れるか触れないかの距離で身体中を撫で回しているような感覚を覚えさせ、身体の奥が火照りだし蜜口からは蜜がポタポタ零れた。
触れられてもいないのに、すでに身体は蕩けきっていていて、更なる刺激を求めて疼いていた。
私は再度強請るような視線向け、弦を呼んだ。
「……げ、んっ…?」
「ん?なぁに?」
「……なん、でっ?」
「何が?」
わかっているはずなのに、全く表情を変える事なく笑みを湛えて私を見下ろしている弦にもどかしさが募り、涙が一筋零れ落ちた。
「なんで…見てる…だけ……?」
「さぁ?なんでだろうね。」
「もぅ……お願い……」
「お願い?名月はどうして欲しいのかな?」
弦は片口角を上げて意地悪く私に、どうして欲しいのか訊ねた。
頭がおかしくなりそうな程の欲望が私を突き動かす。
私は自分でヌーブラを外すと、両手を広げて弦を誘った。
羞恥心などとうに消え去っていた。
「見てるだけじゃ……嫌。お願い…辛いの……来て?」
「ふふふ、名月、いい表情。あぁ、堪らないな……何?俺の事、見てるだけで濡れちゃったの?」
その様子に弦は満足したように、ペロリと唇を舐めると、噎せ返る程の色気を放ちながら艶然と微笑んだ。
弦はゆったりとした動作で、身につけていたシャツを肩からぱさりと落として一糸まとわぬ姿になる。
そして髪を掻き上げながら、私の足をの間に膝を割入れ私の上に覆い被さると、顔を耳元に近づけて悩ましげな溜息を吐く。
「名月、最高に可愛かった。意地悪してごめんね。」
そう言うと、弦は私の項にふっと熱い吐息を吹きかけた。
「あぁぁっ……」
弦の言葉と吐息、そして傍で香る弦の匂いに興奮して張り詰めていたものが瓦解していく。もの凄い快感に背筋がゾクゾクっと粟立ち、蜜口から蜜がトロリと溢れ、シーツと弦の膝をしとどに濡らした。
「あぁ、溢れちゃった?まだ何もしてないのに……名月は敏感だね…堪らないよ。」
情欲を灯して艶色に染まった弦の瞳が私を見下ろしている。
吸い寄せられるように私から弦に唇を寄せ、キスを求めると、弦の唇が私の唇を覆い軽く吸い上げながら、唾液たっぷりの舌でぬるぬると私の唇を愛撫した。
唇を弦の舌で何度も舐められ、薄く口を開くと、ぬるりと弦の舌が口内に侵入し蹂躙し始めた。
上あご、舌の裏、歯列……口腔内の全てを弦の舌で愛撫されると、ゾクゾクと快感が身体中を駆け巡る。
柔らかくて生暖かい弦の舌の感触が気持ちがよく、頭の芯が痺れて私の身体を震わせる。
「んふっ……んんんっ……」
舌同士をぬるぬると擦り合わせるだけで気持ちが良くて、口から甘い声が漏れた。
まだどこにも触れていないしキスしているだけなのに、蜜口は刺激を欲してパクパクと収縮し蜜壷はトロトロと蜜を零し続けている。
グズグズに熟れて蕩けきったそこに触れて欲しくて、無意識に腰が揺れてしまう。
その様子に嬉しそうに弦は目を細める。
だけど、弦の手はまだどこにも触れてくれない。
キスしている間でさえ、顔の横に置いているだけ。
もどかしさに頭が沸騰しそうだった。
「んねっ……がぁい……も、さわっ……て?」
堪らなくて、キスの合間に懇願するように弦に言うと、弦が顔を上げた。
「どこに?ここ?」
そう言うと、弦は柔らかく零れ落ちそうな胸の膨らみをやわやわと両手で揉みしだき始めた。
「んっ……あぁぁぁ…そこも、だけどぉ……」
触れられた所から甘い痺れが沸き起こるが、決定的な刺激がなく物足りなくて、無意識に腰をくねらせた。
「じゃあ、ここ?」
弦が真っ赤に色付き刺激を欲して、ツンと上を向いた膨らみの先端を口に含むと、待ち焦がれた刺激に、身体が跳ね上がる。
「あっ……んっ……はぁぁん……っ!!!!」
その反応を楽しむかのように、弦は舌でねっとりと舐ったりコロコロと転がしたりと存分に味わい、また、もう片方の先端は空いている手でグリグリ摘んだり、手のひらで捏ねたりと緩急を付けて刺激してくる。
焦らされきった身体には、この甘い刺激ですら意識が飛んでしまいそうな程の快感で、私の身体は快感が訪れる度にビクビクと跳ねる。
「可愛いよ。もっと……もっと感じて。俺の与える快楽だけに溺れて堕ちておいで。」
そう言うと、弦は口に含んだ先端にカリッと歯をたてた。
瞬間、背筋に快感が走り、背中を仰け反らせて達してしまった。
「やぁぁぁぁんっ!!!」
ちゅぱっと音を立てて胸から口を離すと、弦は優しいけれど情欲に濡れた瞳で私を見つめ、薄らと笑みを浮かべて言った。
「胸だけでイッちゃったの?もっと舐めてあげるからもう一回胸でイこうか?」
そう言って、弦はふっと笑うと、今度は反対の胸の頂きを口に含んでコロコロと転がし始めた。
先程まで指で抓られ捏ねくり回されたその先端は、赤く腫れて膨らみ、柔らかな舌に与えられる刺激ですら強烈な快感に変えた。
最早快感を追うことしか出来なくなった身体は、弦の与える刺激に従順に反応をする。
先程達したばかりなのに、ゾワゾワという快感が寄せては返す波のように、断続的にやってくる。
もっと決定的な刺激が欲しくなり、もっとと強請るように弦の顔を胸に押し付け、やわやわと胸を揉む弦の手を取り顔に引き寄せた。
「……ん、名月…何?どうしたの?」
「も、欲しぃ……弦が欲し……いの……」
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