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第一章 黒猫の恋
第40話 名月の気持ち※
しおりを挟む「あぁ、名月…ほんとに、可愛い。愛してる。もっと…もっと俺を欲しがって?」
「あっんっ………弦、私、もっ……あいっ……してる……はぁぁ。」
あの後、愛しさが溢れてしまい、つい…名月を押し倒してしまった。
その愛する名月は心底気持ちよさそうにピクピクと痙攣し、嬌声をあげながら俺の愛撫に溺れている。
言葉で愛を伝え、言葉で愛を返してもらう。
愛してると愛撫をすれば、身体で愛を返してもらえる。
なんて幸せなんだろう……
愛してると言わんばかりに、トロリと蜜を零す名月の蜜口を俺は愛を込めて夢中で舐った。
俺の舌が刺激をするだけで、とめどなく蜜が溢れて啜りきれずに溺れそうになる。
その蜜の甘い味と甘い匂いに俺は陶然となり、頭がクラクラした。
昨日と今日で何度も繋がった蜜口は真っ赤に充血し、パクパクと俺の舌を誘う。
挿れたい…
ここに俺をぶち込んで奥をガンガン突きまくりたい……
沢山啼かせて頭おかしくなるくらい善がらせたい……
そんな思考に支配されるが、ぐっと堪え我慢する。
俺から求めてばかりではなく、名月からももっと求めて欲しかった。
だから名月が欲しいと言うまではあげないつもりで、舌だけで名月を攻め立てた。
快感に打ち震えている名月の剥かれた花芽を、カリッと軽く齧ると、一層高い嬌声をあげ、背筋を仰け反らせて名月は達した。
「んんっ!!!あぁぁぁぁ…!!!あぅっ…はぁ……」
「……名月、可愛い。沢山イケたね。」
俺は達したばかりの名月の秘部に、口付けて身体を離した。
名月は呆然とした表情で俺を見上げ、物足りなそうに言う。
「ふぇ…?どしたの?」
「うん?名月が気持ちよくなってくれたから満足したの。これ以上は身体も辛いだろうからね。」
潤んだ瞳と上気した顔で物欲しそうな表情をする名月に、俺の決心は一瞬グラついたが、それは綺麗に押し込めにっこり笑みを向け頭を撫でると身なりを整える為立ち上がる。
いつまでも裸の名月を目の前にして、理性を保てる自信のない俺は、クローゼットの中から洗濯済みの下着を取り出しさっと身につけさせた。
その時についでにチョイスしたキレイめのワンピースと薄手のカーディガンを手に持ち、名月を立たせて着せていく。
あぁ、ヤバい…抱きたい……
身体中に刻まれた俺の印と、たった今の情事の残り香を漂わせる名月は劣情を唆り、身体の中心が熱くなる。
今朝まで繋がっていた時の感覚が蘇り、早くも先程の決心が崩れてしまいそうだが、鉄の精神でグッと堪える。
ワンピースの背中のファスナーを上げながら、気持ちを落ち着かせるように悩まし気な深い息を吐くと、ワンピースに合わせた白いカーディガンを着せて、鬱血痕だらけの肌を隠す。
それにしても……スーツ姿も凛々しくて似合っているが、私服の破壊力は想像以上だった。
可愛い。可愛いに尽きる。
堪らず膝の上にのせ項にキスをすると、名月の身体がピクリと跳ね上がる。
いちいち反応が可愛すぎて辛い。
燻る想いに無理やり蓋をして、名月の髪を弄るとふわりと名月の匂いと俺の匂いが混じった香りが漂い、また情欲を掻き立てズクリと下半身が疼いた。
これはダメだ…
際限なく湧き上がる情欲に逆らう事はできそうになく、このまま屋内にふたりきりだと、押し倒してめちゃくちゃに抱き潰してしまいかねない。
そうそうに方針を決める。
うん、この後、外出しよう。
俺の家に来るに当たって必要なものも買い揃えないと行けないし。
そう思って何とか気持ちを納得させると、俺は名月の髪を、項や首筋が見えないようにハーフアップにセットする。
今の俺にこのキスマークは目に毒だ。
「わぁ……凄く可愛い。」
出来上がった髪型を見て、名月が感嘆の息を漏らした。
異母姉妹に散々やらされて磨いた腕だが、こんな所で役に立つとは思いもよらなかった。
名月が喜んでいる姿を見ると俺もなんだか嬉しくなった。
笑顔の名月を目を細めて眺めていると、なんだか擽ったい気分になってくる。
そんな俺の気持ちを知らない名月は俺の膝の上に座ったまま、嬉々としながら崩れたメイクを直し始めた。
仕事上での名月はメイクは濃いめでハッキリとしているのだが、普段の名月はどうやらナチュラルメイクなようだ。
ナチュラルメイクもとても可愛いが、これは他の男には見せたくないな……
そんな事を思いながら鏡に映った名月をみていると、メイクが終わる頃になるに従って、何故だかみるみる間に顔が暗く沈んでいった。
不思議に思って見ていると、辛うじて聞き取れるか聞き取れないか位の小さな声で、名月は何かを呟いている。
なんか嫌とかなんとか聞こえたぞ……
不穏な空気に俺は弾かれたように名月の顔を覗き込んだ。
「えっ?名月?どうしたの?」
すると名月はくるりと振り返り、思いっきり飛びついてきた。その衝撃で俺は床に仰向けにひっくり返り頭をぶつけてしまった。
痛みと衝撃と驚きに、一瞬何が起こったのかわからず、ぽかんとしていると、名月が俺を上から覗き込み、一息に一気に捲し立てた。
「……他の人にはこんな事しちゃ嫌。もうずっと弦は私しか触っちゃダメ。」
覗き込む名月の瞳には明らかに不安と動揺と、僅かだが嫉妬の色が見えた。
他の人?え?私しか触っちゃダメ?
一体どういう事だ?
なんの事かわからず、頭が混乱する。
俺、押し倒す以外になんかした?
着替えをさせて、髪を整え……あ、これか。
もしかしたら……名月は何か大きな勘違いをしているのかもしれないという事にふと気が付いた。
恐らくだが……
名月は、俺の過去の女に嫉妬したのだ。
理解した途端に、とてつもない歓喜の波が押し寄せ、顔がかっと熱くなった。
「え…えぇ……名月、何それ……可愛すぎるんだけど。もしかして、ヤキモチを焼いてくれたの?」
俺が理解した事を口に出すと、名月は瞬間で顔が真っ赤になった。
どうやら俺の考えは正解だったようだ。
にこにこして名月の頭を撫でると、ぷしゅーと音がしそうな程耳まで真っ赤になった。
名月が俺に対して嫉妬の気持ちを向けてくれていることに、俺は心の中で快哉を叫んだ。
嬉しすぎて名月を抱きしめ、食い気味に名月に気持ちを確認する。
「ねぇ、名月。それってさ、俺の事独占したいってことだよね?」
俺が気持ちを確認すると、名月の目が明後日の方向へ向いた。
あぁ、目が泳いでますよ。名月さん…
もう嬉しすぎるし可愛すぎる。
どうしよう…これ以上名月を好きになったら、俺はもう本当に名月がいない人生なんて有り得なくなってしまう。
名月はそれが分かっているのかな?
真っ赤になって両手で顔を覆う名月の手を外して啄むように顔中にキスをする。名月の顔が熱い。
「うぅぅ……恥ずかし…ごめん、忘れて……」
いやいや、忘れるとか……無理でしょ。
羞恥にぷるぷると震える名月が愛おしい。
「なんで?嬉しいよ。今までこんなに嬉しいことなかったから、これは忘れてあげない。」
名月に嫉妬心と独占欲を顕にされて俺の心が満たされていく。
俺だけじゃなかった。
ちゃんと名月も俺のこと想ってくれている。
それがわかって、心の底から嬉しいのだ。
今まで嫉妬されるのも独占されるのも、めんどくさいし御免だと思っていたのに、名月相手だと真逆になる。
嫉妬して欲しいし、独占されたい。
人を愛するとこんなにも気持ちが変わるのかと、自分でも吃驚している。
だから、そんな名月の気持ちに俺は100%応えたい…いや応える。
「名月、俺の全部は名月の物だよ。だから安心して俺の事独占して?」
身体を起こし名月を見詰めると、瞳に先程までの色は消え、少し涙で滲んでいた。愛おしい気持ちでぎゅっと抱きしめると、名月は大人しく俺に抱かれる。
「それから……俺にも名月を独占させてね。愛してるよ。」
名月は俺の腕の中でこっくりと大きく頷き、背中に腕を回して俺を抱きしめ応えた。
「弦……うん。私も愛してる。大好き。」
俺はその言葉に胸がいっぱいになった。
腕の中にいる名月が紛れもなく自分の物なのだと痛烈に実感し、視界が涙でじわじわと滲んできた。
名月と視線が絡むと、名月の瞳にも涙が滲んでいた。
ふたりでふっと笑う。
優しい時間だった。
「さぁ、もう出ようか。さっさと買い物済ませて、俺たちの家に帰ろう?」
俺たちの家と言ってみると、これからは俺と名月の家になるんだという気持ちになり、なんだか擽ったい気分だ。
でもそれが凄く名月に刺さったみたいで、俺の言葉に頷いて破顔した。
そして、俺の頬にちゅっとキスをして、満面の笑顔でこう言った。
「うん、早く帰ろう。私たちの家に。」
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