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十章
急展開
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「chiiは真面目だね。まあ、勘づいてはいたけど。」
「え?そうですか?」
私が真面目なんて…他のスタッフの方がよっぽど真面目で仕事に対しても真剣だけどなあ。
だから彰の後任候補だって瑠偉くんに越されたし。
「いや…私が意欲的になったのは最近のことで、本当に今まで何も考えずに過ごしてました。」
真面目とはまだまだ言えない気がするなあ。
「それは神屋くんのことがあったから?」
ズバリ指摘されて驚いた…ことを顔に出してしまったらしい。
「やっぱりそうなんだね。」
少し落としたトーンで呟いたかと思ったら、
「でも神屋くんと普通に話しているということは、吹っ切れたと受け取っていいのかな?
それともヨリが戻った?」
どうしてそんなことを聞くんだろう?
でも彰とヨリが戻ったように見えるという部分には、キッパリ否定をしておきたかなきゃ。
「え、いえ!戻ってないです!
ただ今まで何も真剣に考えてこなかったことに気づいたので、これを機に何かをやり遂げてみたいなって…。」
「そうなんだね。じゃあしばらく恋愛はしないつもり?」
真っ直ぐ見つめて言われると、目のやり場に困る。
「え…そんなことは…。」
この展開はなんだろう?
戸惑いながらも深見さんをチラッと見る。
相変わらず真っ直ぐ私を見つめたままで、
「こんなに急いで伝えるつもりはなかったんだけど…。」
一瞬目を閉じて、パッと開いた瞬間
「僕と付き合わないか?」
「え…?」
咄嗟に言われたことを理解できなくて、キョトンとしてしまった。
えーーーっと…?
付き合う?
深見さんが…私と…?
「ダメかな?」
パニックに陥いる私とは裏腹に、冷静な顔で真っ直ぐ見つめてくる深見さん。
「あの…どうして私なんでしょう?
深見さんなら、周りにいくらでも素敵な方がいらっしゃるでしょう?」
私なんて…と言ったところで
「私なんてって言うの、やめた方がいいよ?
少なくとも僕の目には素敵な女性として映ってるんだから。」
そんなセリフを躊躇いなく言えるって…。
一気に顔が熱を帯びてくる。
「ダメならハッキリ言って。ただ、僕はchiiのこと支えられる自信あるよ。」
急展開すぎて頭が追いつかない。
夢でも見てるんじゃないだろうか?
深見さんを好きだって自覚したのもついさっきのことだよ?
そんな直後にこんな展開が待ってるなんて思わないじゃない!?
「chiiにとって僕は単なる本社の人かな?
こうして頼ってくれてるということは、もう少し身近な存在になれてる?」
「はい…あの…すごく尊敬しています。
初めてお店に来てくれた時から、ずっと凄いなって…。」
深見さんがふわっと笑って「ありがとう」と呟く。
「じゃあちょっとくらいは期待できるかな?」
すっかりパスタを食べ終えていて、店内も混雑し始めていたのでお店を出ることにした。
「あ、いいよ。今日は奢りね。」
真面目な部活の話を聞くのも上司の仕事だよ。と言ってサッと支払いを済ませる。
「すみません…ご馳走様です…。」
「電車の時間、大丈夫?」
「多分…この時間は利用したことがなくて…。」
二人で駅に向かって歩き出す。
「そうか、話を長引かせてしまって悪かったね。」
そんな!と慌てて否定する。
「驚きましたが、嬉しかったです。」
「嬉しかった?」
深見さんの視線を感じる。
これは…もう逃げられない…というか、逃げたくない!
意を決して深見さんを見上げる。
「あの…深見さんのこと、すごく尊敬しています。」
今度は深見さんが少し驚いた顔で私を見る。
「その尊敬の気持ちは、上司として…という部分を超えて。」
「それはつまり…?」
一瞬目を逸らして、もう一度深見さんを見る。
「あの…私も深見さんのこと好きです。」
深見さんが驚いた顔からだんだん笑顔になっていく。
「ありがとう!よかった…。」
初めて見たあどけない顔にまた驚いてしまう。
「深見さんも緊張してたんですか?」
「そりゃそうだよ。出会ってまだそんなに日が経ってないし、chiiは失恋したばかりだし。
でもなかなか会えないから、言えるチャンスもなかなかないだろう?」
もう一度「ありがとう」と呟いてくれた。
「え?そうですか?」
私が真面目なんて…他のスタッフの方がよっぽど真面目で仕事に対しても真剣だけどなあ。
だから彰の後任候補だって瑠偉くんに越されたし。
「いや…私が意欲的になったのは最近のことで、本当に今まで何も考えずに過ごしてました。」
真面目とはまだまだ言えない気がするなあ。
「それは神屋くんのことがあったから?」
ズバリ指摘されて驚いた…ことを顔に出してしまったらしい。
「やっぱりそうなんだね。」
少し落としたトーンで呟いたかと思ったら、
「でも神屋くんと普通に話しているということは、吹っ切れたと受け取っていいのかな?
それともヨリが戻った?」
どうしてそんなことを聞くんだろう?
でも彰とヨリが戻ったように見えるという部分には、キッパリ否定をしておきたかなきゃ。
「え、いえ!戻ってないです!
ただ今まで何も真剣に考えてこなかったことに気づいたので、これを機に何かをやり遂げてみたいなって…。」
「そうなんだね。じゃあしばらく恋愛はしないつもり?」
真っ直ぐ見つめて言われると、目のやり場に困る。
「え…そんなことは…。」
この展開はなんだろう?
戸惑いながらも深見さんをチラッと見る。
相変わらず真っ直ぐ私を見つめたままで、
「こんなに急いで伝えるつもりはなかったんだけど…。」
一瞬目を閉じて、パッと開いた瞬間
「僕と付き合わないか?」
「え…?」
咄嗟に言われたことを理解できなくて、キョトンとしてしまった。
えーーーっと…?
付き合う?
深見さんが…私と…?
「ダメかな?」
パニックに陥いる私とは裏腹に、冷静な顔で真っ直ぐ見つめてくる深見さん。
「あの…どうして私なんでしょう?
深見さんなら、周りにいくらでも素敵な方がいらっしゃるでしょう?」
私なんて…と言ったところで
「私なんてって言うの、やめた方がいいよ?
少なくとも僕の目には素敵な女性として映ってるんだから。」
そんなセリフを躊躇いなく言えるって…。
一気に顔が熱を帯びてくる。
「ダメならハッキリ言って。ただ、僕はchiiのこと支えられる自信あるよ。」
急展開すぎて頭が追いつかない。
夢でも見てるんじゃないだろうか?
深見さんを好きだって自覚したのもついさっきのことだよ?
そんな直後にこんな展開が待ってるなんて思わないじゃない!?
「chiiにとって僕は単なる本社の人かな?
こうして頼ってくれてるということは、もう少し身近な存在になれてる?」
「はい…あの…すごく尊敬しています。
初めてお店に来てくれた時から、ずっと凄いなって…。」
深見さんがふわっと笑って「ありがとう」と呟く。
「じゃあちょっとくらいは期待できるかな?」
すっかりパスタを食べ終えていて、店内も混雑し始めていたのでお店を出ることにした。
「あ、いいよ。今日は奢りね。」
真面目な部活の話を聞くのも上司の仕事だよ。と言ってサッと支払いを済ませる。
「すみません…ご馳走様です…。」
「電車の時間、大丈夫?」
「多分…この時間は利用したことがなくて…。」
二人で駅に向かって歩き出す。
「そうか、話を長引かせてしまって悪かったね。」
そんな!と慌てて否定する。
「驚きましたが、嬉しかったです。」
「嬉しかった?」
深見さんの視線を感じる。
これは…もう逃げられない…というか、逃げたくない!
意を決して深見さんを見上げる。
「あの…深見さんのこと、すごく尊敬しています。」
今度は深見さんが少し驚いた顔で私を見る。
「その尊敬の気持ちは、上司として…という部分を超えて。」
「それはつまり…?」
一瞬目を逸らして、もう一度深見さんを見る。
「あの…私も深見さんのこと好きです。」
深見さんが驚いた顔からだんだん笑顔になっていく。
「ありがとう!よかった…。」
初めて見たあどけない顔にまた驚いてしまう。
「深見さんも緊張してたんですか?」
「そりゃそうだよ。出会ってまだそんなに日が経ってないし、chiiは失恋したばかりだし。
でもなかなか会えないから、言えるチャンスもなかなかないだろう?」
もう一度「ありがとう」と呟いてくれた。
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