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九章

ご褒美

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「神様、おはようございます。」


「うむ、おはよう。」


今日は初のライブ配信を頑張ったご褒美に、ランチを奢ってくれることになってるんだ。


思わず鼻歌が出る。


「全く…単純じゃの。」


なんて神様は呆れ顔だけど、気にしない!


このところ休みの日も別行動が続いていたから、神様と出かけるのも久しぶりなんだもん。


どこに行くって、もちろんあのカフェ!


「今日は店長も休みだから、もしかしたらまた会えるかも?」


「ほう、そうか。是非会いたいの。」


もし会えたら自分褒めリストのこと聞けるかな?


でもそうなったら神様が私が書いた内容をバラしそうで怖い…。


会いたいような…会いたくないような…。


混雑時間を避けるために少し早めに家を出た。


今日の神様はオレンジのイージーパンツにクリーム色のオープンカラーシャツを合わせている。


耳隠し用のバケットハットも忘れない。


相変わらず街中で注目を集めている…というか私と神様って、知らない人にはどんな関係に見えてるんだろう?


瑠偉くんとも付き合ってると間違われるくらいだから、神様とも付き合ってるように見られるのかな?


なんて考えているうちにカフェに着いた。


「いらっしゃいませ。」


今日はどうやら旦那さんは来てないみたいだ。


招き猫の工房を教えてくれた女性スタッフさんが出迎えてくれた。


本当によく遭遇したのは運がよかったってことかな?


今日は奥の壁際の席に案内されて、神様と向かい合わせて座る。


神様がローストビーフのセット、私は冷製パスタのセットにした。


「神様はお肉も食べるんですね?」


「ふむ、ワシは猫ではないから何でも食べるぞ。」


まあどちらかと言えばシーフードの方が好きじゃが。ということらしい。


「それにしても…あやつ、久しぶりに見かけたがすっかり大人になったのう。」


「世話人さんのお隣に住んでるって言ってましたよね?」


スタッフさんはもちろん神様ことは知らない。


そもそも今の姿は私の好みに合わせて作られた姿だもんね。


運ばれてきたお料理を食べながら、本社の思い出を話していると(神様は見ていたから知ってるんだけど)


「あら、相原さん?」


振り返ると店長夫婦が立っていた。


「店長!お疲れ様です!」


「仕事じゃないんだから。」と笑いながら


「相原さんこそ、昨日はお疲れ様。今日はお連れ様がいるのね?」


「あ、はい!実家方の知り合いです!たまたま遊びに来てたので…。」


瑠偉くんに話した理由で揃えておかないと!


神様も空気を読んで合わせてくれる。


「郁人じゃ。よろしく。」


変わった話し方ってつっこまれないかヒヤッとしたけど、特に何も言われなかった。


「戸田です。こちらは旦那でここのオーナー。」


「よろしく。ご友人をたくさん紹介してくれてありがとう。」


ちょう近くまで来たから、ランチに寄ったんだそう。


せっかくだから一緒に食べようということになって、4人掛けの席に移動した。
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