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九章
やっぱり観てた!
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無事にライブ配信を終え、帰宅した。
湯浅さんが途中の駅まで同じで、しかも偶然隣の席だった!
おかげで道にも迷わずに済んだし、お別れまで楽しく過ごせた。
二人とも初めての経験でハイになってたから、もしかしたらちょっと声が大きくなってしまっていたかも…。
「神様、ただいま!」
「おお、お疲れじゃったな。」
いつも通り私が着替えた直後に神様も帰ってきた。
今日は帰宅時間が遅くなって申し訳なかったな…。
なんて思っていたけど世話人さんの家で居座るだけ居座って、その後は近所をブラブラしていたら適当に相手してくれる人がいるらしい。
「招き猫工房の人も入れてくれるしの。」
神社周辺に住む人たちの間では猫の存在が知られていて、近所全体で可愛がってくれているようだ。
何はともあれ、居場所があると知って安心した。
「今日は初めてのことだらけでドキドキしっぱなしでしたが、一緒にいた人がみんないい人ばかりで安心できたし楽しく過ごせました!」
興奮気味に今日のことを報告する私の話を、神様もニコニコと頷きながら聞いてくれる。
「コメント数もすごく多かったんですよ!」
配信が終わってからどんなコメントがきてたのか見せてくれたんだけど、すごい褒めてもらえてて恥ずかしかったけど嬉しかった。
こんな新人のしどろもどろな出演でも、楽しんでもらえて安心した。
ベテランに囲まれていたおかげだけど、私も頑張ったよね!
「そういえばおぬし、一回目の出演が終わって捌けるとき一瞬蹴躓いておったの?」
「…なんで知ってるんですか?」
そう、スマホの後ろに回ってからだから配信画面には映ってなかったけど…脱力した瞬間ちょっと転けそうになったんだ。
「………神様、やっぱり見に来てましたね!?」
「え?いや、一瞬じゃ。一瞬。
授業参観に行くようなもんじゃ。」
慌てた口調で言い訳をするけど、ようするに飛んで来てたんじゃない!
全く油断ならない神様だ!
「一体どこからどこまで見てたんですか!?」
「えー、どこじゃったかなあ?
あだ名を決めるあたりからスマホに向かって手を振ってるあたりかの。」
いやそれ、殆ど全部じゃないですか!!!
神様にとっての一瞬って何時間なの!?
「というか、あだ名を決めるところって…話の内容を知ってるということは室内にいたということですか!?」
「そうじゃ?」
何を当たり前みたいな顔で…!
「大丈夫じゃ!ワシの姿は誰にも見えておらん!
現におぬしも気づかんかったではないか。」
そういう問題じゃない!
「じゃあ今話したこと全部知ってたってこと?」
「まあ…そういうことになるの…。」
罰の悪そうな顔で視線を逸らす神様に、言い返そうとしたタイミングでLINEの通知音が鳴った。
仕方なくスマホを取ると、深見さんからだった。
『今日はお疲れ様。
無事帰宅できたかな?
初めてとは思えない堂々とした姿に感動したよ。
さすが人気販売員だね。
僕も負けないように頑張らないと。
じゃあ、明日は休みだと聞いてる。
ゆっくり休んでね。』
深見さんが私に負けないように!?
深見さんがフォローしてくれたからミスなくできたのに!
慌てて返信メッセージを打っていたら、店長や瑠偉くんからも「見たよ!」とLINEが届いた。
「いい仲間に囲まれて幸せじゃの。」
「はい…!」
思わず神様の行動を許してしまった。
湯浅さんが途中の駅まで同じで、しかも偶然隣の席だった!
おかげで道にも迷わずに済んだし、お別れまで楽しく過ごせた。
二人とも初めての経験でハイになってたから、もしかしたらちょっと声が大きくなってしまっていたかも…。
「神様、ただいま!」
「おお、お疲れじゃったな。」
いつも通り私が着替えた直後に神様も帰ってきた。
今日は帰宅時間が遅くなって申し訳なかったな…。
なんて思っていたけど世話人さんの家で居座るだけ居座って、その後は近所をブラブラしていたら適当に相手してくれる人がいるらしい。
「招き猫工房の人も入れてくれるしの。」
神社周辺に住む人たちの間では猫の存在が知られていて、近所全体で可愛がってくれているようだ。
何はともあれ、居場所があると知って安心した。
「今日は初めてのことだらけでドキドキしっぱなしでしたが、一緒にいた人がみんないい人ばかりで安心できたし楽しく過ごせました!」
興奮気味に今日のことを報告する私の話を、神様もニコニコと頷きながら聞いてくれる。
「コメント数もすごく多かったんですよ!」
配信が終わってからどんなコメントがきてたのか見せてくれたんだけど、すごい褒めてもらえてて恥ずかしかったけど嬉しかった。
こんな新人のしどろもどろな出演でも、楽しんでもらえて安心した。
ベテランに囲まれていたおかげだけど、私も頑張ったよね!
「そういえばおぬし、一回目の出演が終わって捌けるとき一瞬蹴躓いておったの?」
「…なんで知ってるんですか?」
そう、スマホの後ろに回ってからだから配信画面には映ってなかったけど…脱力した瞬間ちょっと転けそうになったんだ。
「………神様、やっぱり見に来てましたね!?」
「え?いや、一瞬じゃ。一瞬。
授業参観に行くようなもんじゃ。」
慌てた口調で言い訳をするけど、ようするに飛んで来てたんじゃない!
全く油断ならない神様だ!
「一体どこからどこまで見てたんですか!?」
「えー、どこじゃったかなあ?
あだ名を決めるあたりからスマホに向かって手を振ってるあたりかの。」
いやそれ、殆ど全部じゃないですか!!!
神様にとっての一瞬って何時間なの!?
「というか、あだ名を決めるところって…話の内容を知ってるということは室内にいたということですか!?」
「そうじゃ?」
何を当たり前みたいな顔で…!
「大丈夫じゃ!ワシの姿は誰にも見えておらん!
現におぬしも気づかんかったではないか。」
そういう問題じゃない!
「じゃあ今話したこと全部知ってたってこと?」
「まあ…そういうことになるの…。」
罰の悪そうな顔で視線を逸らす神様に、言い返そうとしたタイミングでLINEの通知音が鳴った。
仕方なくスマホを取ると、深見さんからだった。
『今日はお疲れ様。
無事帰宅できたかな?
初めてとは思えない堂々とした姿に感動したよ。
さすが人気販売員だね。
僕も負けないように頑張らないと。
じゃあ、明日は休みだと聞いてる。
ゆっくり休んでね。』
深見さんが私に負けないように!?
深見さんがフォローしてくれたからミスなくできたのに!
慌てて返信メッセージを打っていたら、店長や瑠偉くんからも「見たよ!」とLINEが届いた。
「いい仲間に囲まれて幸せじゃの。」
「はい…!」
思わず神様の行動を許してしまった。
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