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八章

二章連続で章〆担当します

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相原出演のライブ配信はアーカイブで見た。


仕事は休みだったけど、用事で出かけていてリアルタイムで見れなかったんだ。


全く…人使いの粗い姉を持つと大変だよ。


夜、ようやく落ち着いてスマホを開くことができた。


少し緊張しながら再生する。


意外にも(と言うと怒られそうだが)普段通りのテンションで、緊張しているようには見えない。


本社のメンバーともすぐに打ち解けたんだろう。


ギクシャクもしていないし、むしろ長く一緒にいるメンバーのような雰囲気さえ感じる。


「自然な笑顔だな…。」


少しホッとして画面を眺めていたけど、どうしても気になる。


「chii」ってなんだよ!?


店舗スタッフだけあだ名を付けられている?


でも湯浅さんは普通にshihoだし…。


(あ、湯浅さんはサブ会で何度か会ってるんだ。と言っても挨拶程度しかしてないけど。)


多分なにか理由付けて深見が提案したんだろうけど…。


何故誰も止めなかったんだ!?


イライラしながらも見続けていると、


「あ、また…。」


隣に立つ深見が時々、さりげなく相原に触れる。


「他の二人にはしないのに…!」


でも…自然すぎて相原も気づいてないし、他の出演者も何も言わない。


コメント欄でも誰も気にしていない。


「やっぱり上手いな…。」


思わず舌打ちをしてしまう。


モヤモヤしている内にライブが終わりの時間を迎えた。


もちろん(?)相原の隣に深見が立っている。


『それでは今週の新作紹介を終わります!』


『みなさん店舗やサイト、チェックしてくださいね!』


『shihoとchiiのお店にも遊びに行ってください!』


『来週も観てくださいね!バイバーイ!』


スマホを閉じてテーブルに伏せて置く。


はあ…と一つため息を吐いて天井を仰ぐ。


「深見は本気なのか?」


何故話したこともない相原に目を付けたのか…。


写真を見て一目惚れ!?


そんなキャラか!?


再びスマホを手にしてLINEを開く。


『ライブ配信お疲れ様。

家には着いたか?

今アーカイブ観たよ。

上手く喋れていたし、コメントの評判も良かった。

これでまたchiiのファンが増えるかもしれないな?

長距離移動に初めての配信で疲れただろ?

明日はゆっくり休んで。』


送信してから程なくして返信がきた。


『お疲れ様です。

神屋さん観てくれてありがとうございます!

とても緊張しましたが、本社の人たちも湯浅さんも優しくて楽しかったです。

とういうかchiiって恥ずかしいのでやめてください!

今、在来線に乗り換えたところです。

明日お休みありがとうございます。』


chiiって呼ぶことになった経緯を知りたいところだが、あまりつっこむのもカッコ悪い。


返信したい気持ちを押し込めてスマホを閉じた。


週末の勤務でさりげなく聞けばいいだろう。


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