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八章

納得はできないけど

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まさかのモブ扱いをされて納得はできていないけど、あんまり主張して神様ご機嫌を損ねても…ね?


帰られても困るので、ここは一つ神様に主役の座を譲って(おくことにして)今日は終わろう。


と思ってたのに甘かった。


「つまり今日も宿題はできておらんということじゃな?」


「え、こんな日にまでやらなきゃいけないんですか!?」


今日くらい見逃してくださいよ!と主張すると、


「おぬし、明日は休みか?」


「あ、はい。そうですね。」


うむ、と頷いて


「残り25個、明日一気に終わらせるぞ。」


「ええ!!!25個も一気に!?」


1日5個でも頭抱えているのに!?


「おぬし、まだまだ書くことはあるんじゃぞ!?何をいつまでも悠長に構えておるんじゃ!」


そろそろ神様の堪忍袋も限界らしい。


明日休みがスパルタな一日になることが決定した…朝が来なければいいのに!



なんて願いはもちろん叶わず、清々しい(正確に言うと蒸し暑い)朝を迎えた。


いつも通り朝ごはんを食べて軽く掃除をし、神様の授業が始まる。


「自分で短所と思っておることを逆に言い換えて長所とするんじゃ。」


また難しい話が始まった。


寝起きの頭でいきなりそんな難しいこと言われても…理解が追いついてない顔をしていたら見破られた。


「例え話をするから、ちゃんと聞くんじゃ。いいか?」


例えば「飽きっぽい人」は言い換えれば「好奇心旺盛」。


「おしゃべりな人」は「社交的」「明るい」。


「そんな風に言い換えることができるの?」


「えー、それってなんかズルくないですか?」


自分の悪いところを言い訳してるみたい。


「そんなことはないぞ。自分では短所思っていることでも、他人からは魅力的に映っていることもある。」


受けとらえる人によってイメージは変わるから、「自分でダメと思ってる=他人からもダメ思われる」とは決まらない。


ということらしい。


うん、そう言われるとなんかわかるかも。


それに…と続く。


「自分で短所と思っている部分にこそ、個性や魅力が潜んでいるんじゃ。」


「えー、そうなんですか!?」


短所に個性や魅力がある!?そんなわけ…と言いかけた瞬間、神様が先に話し始めた。


「例えばおぬしはよく店長や瑠偉とやらと比べてよく落ち込むな?」


「はい…。」


「それを長所に変えるとどうじゃ?」


人と比べて落ち込むことを長所に変える???


「………人のいいところを見つけられる、とかですか?」


「おお、いいの。もっと出て来んか?」


もっと…?


「向上心がある?」


「うむうむ、いいの。他には?」


まだあるかな!?


うーーーん…と頭を捻って、


「目標にできる人に囲まれて働けていること!」


「いいの。今言ったこと全て書くんじゃ。」


すごい…一つ短所から3つも長所が出てきた!


あんなに頭を抱えていた今までが嘘みたい!


「こんな方法あるなら、もっと早く教えてくださいよー!」


「いやいや、まずは普通に長所と思っておることから書き出した方がいいんじゃ。」


人間は短所にはいくらでも気付くけど、長所にはなかなか気づけない…というより目を背けて「そんなことない」って否定までしてしまう。


だから初めは素直に長所を認めるところから書いていったほうがいいんだとか。


なるほどねー。


なんか神様に出会ってから、ちょっと頭が良くなった気がする!


とりあえずさっきの「好奇心旺盛」と「社交的」もらっておこう…と、しれっと書き足した。


これで一気に5個書けた!
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