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八章
やっと登場じゃ
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店長の予測通り、休憩に出たまま刈谷さんは戻ってこなかった。
私と入れ替わりで休憩に入った瑠偉くんが食堂に行ったけど、既に刈谷さんの姿はなかったという。
きっと私が食堂を飛び出したあと、刈谷さんもすぐに出たんだろう。
私が声を荒げたことで、周りの人たちに見られていたもんね…。
まあ今日は全員出勤だから、早退されても大丈夫なんだけど。
「なんか、刈谷さんの勝手な行動にも驚かなくなってきたかも。」
私の退勤時間がきて「上がります」と声をかけた時に、瑠偉くんがボソっと言った。
「うん…私も今日のことで、もう何があっても驚かないような気がしてきたよ。」
一応店長が刈谷さんに電話してみたけど、出なかったのでLINEを送っておいた。
しばらくして「早退します」と返事があったらしい。
こんな状況があと2ヶ月続くのか…と思うとちょっとウンザリもするんだけど、ヘルプに入ってくれる人も少しずつ決まってきているみたいだし。
「本社の人たちも協力してくれるし、思い悩む必要もないかもって思えてきました。」
帰宅して神様に報告した。
「ほう、濃厚な一日だったんじゃな。」
ニコニコと頷いて、
「言いたいこともハッキリ言えるようになったし、成長したの。」
「怒鳴ったの、子供っぽいと思って反省してたんですけど…成長なんですかね?」
私自身も食堂に行きづらくなってしまった。
「うむ、冷静に“意見する”というスタンスが取れればなお良いがな。」
と前置きをして
「しかしずっとモヤモヤしながらも我慢しておったじゃろ?
言わなければ伝わらん。今日言ったことで、刈谷とやらはようやくおぬしの気持ちをハッキリ知ることができたんじゃ。」
真っ直ぐ私を見ながら話し続ける。
「おぬしが変われたなら、それで良いんじゃ。
現に刈谷とやらを変えたいとは思わんようになったじゃろ?」
「はい…確かにそのあとまた勝手に早退したんですけど、今までほどモヤモヤしなかったです。」
それを受けて刈谷さんが変わるかは別問題だけど、私自身スッキリしてもう刈谷さんに動じなくなった。
「言わずに我慢する方が大人の対応だと思ってました。」
「我慢するんではなくて“意見する”“伝える”“話し合う”。
ただその後の結果は期待しない。」
期待しない?そのために伝えるんじゃないの?と首を傾げると
「相手をコントロールするために伝えるんではない。
自分の心を整えるために伝えるんじゃ。
伝えるまでおぬしは刈谷とやらの言動に振り回されておったが、伝えた後はどうじゃ?」
「気持ちが落ち着いて、動じなくなりました。」
そのためじゃ。それだけじゃ。とニコニコと言う。
「それでおぬしが変われば、必然的に周りも変わる。
自分を変えずに相手を変えようとするより、自分が変わる方が早いし楽じゃろ。」
そのために伝える。でも結果(相手の変化)は期待しない。
なるほどー!
納得かも。
「というか神様、今日はいつも以上に饒舌ですね?」
「何話ぶりの登場じゃ?全く主役の出番がないとはけしからん作者じゃの!」
…………え?
「神様、主役は私ですよ?」
「は?何を言っておる?ワシがタイトルになっておるではないか?
おぬしはモブじゃ。」
も…モブ!?
酷ーい!!!
私と入れ替わりで休憩に入った瑠偉くんが食堂に行ったけど、既に刈谷さんの姿はなかったという。
きっと私が食堂を飛び出したあと、刈谷さんもすぐに出たんだろう。
私が声を荒げたことで、周りの人たちに見られていたもんね…。
まあ今日は全員出勤だから、早退されても大丈夫なんだけど。
「なんか、刈谷さんの勝手な行動にも驚かなくなってきたかも。」
私の退勤時間がきて「上がります」と声をかけた時に、瑠偉くんがボソっと言った。
「うん…私も今日のことで、もう何があっても驚かないような気がしてきたよ。」
一応店長が刈谷さんに電話してみたけど、出なかったのでLINEを送っておいた。
しばらくして「早退します」と返事があったらしい。
こんな状況があと2ヶ月続くのか…と思うとちょっとウンザリもするんだけど、ヘルプに入ってくれる人も少しずつ決まってきているみたいだし。
「本社の人たちも協力してくれるし、思い悩む必要もないかもって思えてきました。」
帰宅して神様に報告した。
「ほう、濃厚な一日だったんじゃな。」
ニコニコと頷いて、
「言いたいこともハッキリ言えるようになったし、成長したの。」
「怒鳴ったの、子供っぽいと思って反省してたんですけど…成長なんですかね?」
私自身も食堂に行きづらくなってしまった。
「うむ、冷静に“意見する”というスタンスが取れればなお良いがな。」
と前置きをして
「しかしずっとモヤモヤしながらも我慢しておったじゃろ?
言わなければ伝わらん。今日言ったことで、刈谷とやらはようやくおぬしの気持ちをハッキリ知ることができたんじゃ。」
真っ直ぐ私を見ながら話し続ける。
「おぬしが変われたなら、それで良いんじゃ。
現に刈谷とやらを変えたいとは思わんようになったじゃろ?」
「はい…確かにそのあとまた勝手に早退したんですけど、今までほどモヤモヤしなかったです。」
それを受けて刈谷さんが変わるかは別問題だけど、私自身スッキリしてもう刈谷さんに動じなくなった。
「言わずに我慢する方が大人の対応だと思ってました。」
「我慢するんではなくて“意見する”“伝える”“話し合う”。
ただその後の結果は期待しない。」
期待しない?そのために伝えるんじゃないの?と首を傾げると
「相手をコントロールするために伝えるんではない。
自分の心を整えるために伝えるんじゃ。
伝えるまでおぬしは刈谷とやらの言動に振り回されておったが、伝えた後はどうじゃ?」
「気持ちが落ち着いて、動じなくなりました。」
そのためじゃ。それだけじゃ。とニコニコと言う。
「それでおぬしが変われば、必然的に周りも変わる。
自分を変えずに相手を変えようとするより、自分が変わる方が早いし楽じゃろ。」
そのために伝える。でも結果(相手の変化)は期待しない。
なるほどー!
納得かも。
「というか神様、今日はいつも以上に饒舌ですね?」
「何話ぶりの登場じゃ?全く主役の出番がないとはけしからん作者じゃの!」
…………え?
「神様、主役は私ですよ?」
「は?何を言っておる?ワシがタイトルになっておるではないか?
おぬしはモブじゃ。」
も…モブ!?
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