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八章
話しかけられたと思ったら…
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「瑠偉くん、おはよう!」
たった2日会ってないだけで話したいことがいっぱい溜まっている!
「おはよー!」
片手で手を振りながら入ってくる。
「刈谷さんはまだ?」
今日は瑠偉くんと刈谷さんが二人で中番になっているけど…
「まだ来てないし、休むとも遅刻するとも連絡ないよ。」
昨日はオープン前に休むって連絡きたけど。と言うと
「やっぱり休んだんだ?神屋さんの予想通りだね…。」
「店長も思ってたらしくて全く驚いてなかったよ。
というか、連絡してきただけ上出来って。」
確かにー。と瑠偉くんも納得していた。
とりあえず二人で掃除を始める。
「ヘルプってどんな人が来たの?」
「深見さんってわかる?あのライブ配信に出てた…。」
瑠偉くんもアーカイブを見ていたから覚えていたらしい。
「ああ、あの背の高い男の人?」
「そうそう、もともと店舗スタッフだったらしくてね。凄かったんだよ!
私が休憩入ってる間にもの凄い入店が増えてさ!」
店長や彰まで珍しくヘトヘトになるくらい忙しかったことを話すと、瑠偉くんが昨日の売り上げを確認しに走った。
「え!凄い!セール並みじゃん!」
「本当、ピークタイムが長くて大変だったよ。」
それが深見さん一人の影響なんだから、本当に凄い…魔法使い!?って疑ってしまう。
「そんな凄い人なのか…一緒に入ってみたかったなー!」
「またヘルプに入る機会あるって言ってたよ。
すごく気さくな人だったから、瑠偉くんもすぐ仲良くなれると思う!」
ますます楽しみだなーなんて言っていたら、あっという間にオープンの時間になった。
結局刈谷さんは来ないか…と思いながら入り口に立ってお出迎えをしてたら
「あれ、刈谷さんじゃ…」
遠目に従業員入り口の方向から歩いてくる姿が見えた。
「遅刻だったんだね。」
と小声で話す。
どんどん近づいてくる刈谷さんを見守りながら、なぜか緊張が走る…。
でも刈谷さんはそんなこっちの気持ちにもお構いなしで、無言で私たちの横を通り過ぎてバックルームに入っていった。
「………無言?」
「遅刻したのにね?」
二人で顔を見合わせて驚いた。
でももう期待しない方がいいんだよ、と二人で納得して終わった。
オープン直後から昨日の噂を聞いたらしいお客様から
「新しいスタッフさんが入ったって聞いたんですけど…」
と数人に聞かれたけど、一日限定で入ってくれた方で今日はいないと伝えるとガッカリして帰られた。
もう噂が広まっているの!?さすがだなあ…。
そんなことはあっても比較的入店は落ち着いていたので、こっそり瑠偉くんに話しかけた。
「あのね…前に教えたカフェにいた男性、覚えてる?」
「うん、あのちょっと渋い雰囲気の?」
実は店長の旦那さんだったことを伝えると
「ええ!?あの方が!?」
さすがの瑠偉くんも驚いて思わず声を上げる。
慌てて口を塞いで、
「へえー!世間って狭いね!」
「すっごい仲良くて、店長のプライベートな顔も見れたし。
遭遇できてラッキーだったよ。」
そこまで話した直後に店長と彰が一緒に出勤してきて、慌てて瑠偉くんと離れた。
「今日は刈谷さん来たのね。」
と店長がコソッと話しかけてきた。
「あ、でも連絡なしで遅刻しました。着いたのはオープン時間です。」
「そう…。まあ、とりあえず相原さんは休憩に入って。」
彰にも挨拶して食堂に向かった。
それからしばらくして瑠偉くんも休憩に入るかと思いきや…
(え、刈谷さん?遅刻したのに先に休憩に入ったんだ…。)
でも「おはよう」も言わないくらいだ。
私と一緒には食べないだろうと思っていたのに、真っ直ぐこちらに向かってくる。
え…???
まさかと思ったけど、やっぱり私の向かいの席に座った。
「さっき打海くんに話してた、店長の旦那さんってなに?」
はあ!?
「どうしてそんなこと聞くの?」
「どうして聞いちゃダメなの?打海くんには話すのに、私には話せないって変じゃない?」
頭がパニック状態で言葉が咄嗟に出てこない。
ど…どうしたらいいの!?
たった2日会ってないだけで話したいことがいっぱい溜まっている!
「おはよー!」
片手で手を振りながら入ってくる。
「刈谷さんはまだ?」
今日は瑠偉くんと刈谷さんが二人で中番になっているけど…
「まだ来てないし、休むとも遅刻するとも連絡ないよ。」
昨日はオープン前に休むって連絡きたけど。と言うと
「やっぱり休んだんだ?神屋さんの予想通りだね…。」
「店長も思ってたらしくて全く驚いてなかったよ。
というか、連絡してきただけ上出来って。」
確かにー。と瑠偉くんも納得していた。
とりあえず二人で掃除を始める。
「ヘルプってどんな人が来たの?」
「深見さんってわかる?あのライブ配信に出てた…。」
瑠偉くんもアーカイブを見ていたから覚えていたらしい。
「ああ、あの背の高い男の人?」
「そうそう、もともと店舗スタッフだったらしくてね。凄かったんだよ!
私が休憩入ってる間にもの凄い入店が増えてさ!」
店長や彰まで珍しくヘトヘトになるくらい忙しかったことを話すと、瑠偉くんが昨日の売り上げを確認しに走った。
「え!凄い!セール並みじゃん!」
「本当、ピークタイムが長くて大変だったよ。」
それが深見さん一人の影響なんだから、本当に凄い…魔法使い!?って疑ってしまう。
「そんな凄い人なのか…一緒に入ってみたかったなー!」
「またヘルプに入る機会あるって言ってたよ。
すごく気さくな人だったから、瑠偉くんもすぐ仲良くなれると思う!」
ますます楽しみだなーなんて言っていたら、あっという間にオープンの時間になった。
結局刈谷さんは来ないか…と思いながら入り口に立ってお出迎えをしてたら
「あれ、刈谷さんじゃ…」
遠目に従業員入り口の方向から歩いてくる姿が見えた。
「遅刻だったんだね。」
と小声で話す。
どんどん近づいてくる刈谷さんを見守りながら、なぜか緊張が走る…。
でも刈谷さんはそんなこっちの気持ちにもお構いなしで、無言で私たちの横を通り過ぎてバックルームに入っていった。
「………無言?」
「遅刻したのにね?」
二人で顔を見合わせて驚いた。
でももう期待しない方がいいんだよ、と二人で納得して終わった。
オープン直後から昨日の噂を聞いたらしいお客様から
「新しいスタッフさんが入ったって聞いたんですけど…」
と数人に聞かれたけど、一日限定で入ってくれた方で今日はいないと伝えるとガッカリして帰られた。
もう噂が広まっているの!?さすがだなあ…。
そんなことはあっても比較的入店は落ち着いていたので、こっそり瑠偉くんに話しかけた。
「あのね…前に教えたカフェにいた男性、覚えてる?」
「うん、あのちょっと渋い雰囲気の?」
実は店長の旦那さんだったことを伝えると
「ええ!?あの方が!?」
さすがの瑠偉くんも驚いて思わず声を上げる。
慌てて口を塞いで、
「へえー!世間って狭いね!」
「すっごい仲良くて、店長のプライベートな顔も見れたし。
遭遇できてラッキーだったよ。」
そこまで話した直後に店長と彰が一緒に出勤してきて、慌てて瑠偉くんと離れた。
「今日は刈谷さん来たのね。」
と店長がコソッと話しかけてきた。
「あ、でも連絡なしで遅刻しました。着いたのはオープン時間です。」
「そう…。まあ、とりあえず相原さんは休憩に入って。」
彰にも挨拶して食堂に向かった。
それからしばらくして瑠偉くんも休憩に入るかと思いきや…
(え、刈谷さん?遅刻したのに先に休憩に入ったんだ…。)
でも「おはよう」も言わないくらいだ。
私と一緒には食べないだろうと思っていたのに、真っ直ぐこちらに向かってくる。
え…???
まさかと思ったけど、やっぱり私の向かいの席に座った。
「さっき打海くんに話してた、店長の旦那さんってなに?」
はあ!?
「どうしてそんなこと聞くの?」
「どうして聞いちゃダメなの?打海くんには話すのに、私には話せないって変じゃない?」
頭がパニック状態で言葉が咄嗟に出てこない。
ど…どうしたらいいの!?
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