猫神様のお気に召すまま

結香こっこ

文字の大きさ
上 下
80 / 128
七章:意識

似た者夫婦

しおりを挟む
友達が教えてくれたんですけど…という前置きをしてから


「店長は“自分を褒めるリスト”って書いたことありますか?」


「自分を褒めるリスト?初めて聞いたわ。」


どういうことを書くのか聞かれたので、自分のいいところを100個書き出すんです。と簡単に答えた。


「へえ!なんか面白そう!」


面白そう!?そんな反応が返ってくるとは思わなかった…。


やっぱり自分に自信がある人は、抵抗なく自分を100個褒められるのか!?


「今度やってみるわ。あなたもやってみてよ。」


「え?僕も?半分くらいは筋肉のことで埋まりそうだなあ…。」


「筋肉?」


どうやら旦那さんもジム通いが趣味で、やっぱり身体作りをストイックにやっているらしい。


いわゆる細マッチョというタイプだったんだ…!


「トレーニングとか筋肉とか健康とか栄養とか…そんな話が殆どよ。」


店長が呆れたように言う。


「筋肉は裏切らない。手をかけてやればやるほど応えてくれる。

知識は大事だぞ。」


「まあ、その知識が私にも役立っているからいいんだけどね。」


旦那さんもとことん突き詰めるタイプなんですね。と言うと優しく微笑んで、


「それも美穂の言うファッションと同じですよ。

他人からはストイックに見えても、本人は好きだから楽しいとしか思っていない。」


これも神様が言ってた似た者同士が引き合うっていうことなんだろうかな?


ハマるものは違えど、ハマり方が似ている。


「まあ、リビングの鏡でポーズとるのはやめてほしいけど。」


ジトーっとした目で旦那さんを見る。


「身体チェックは大事なことだ。無理だね。」と動じない旦那さん。


店長のこんなプライベートな顔を見れるなんて貴重!


はじめは気まずかったけど、遭遇できて良かったかもしれない。


「それで相原さんはどんなことを書いたの?」


「え!?」


そんなストイック夫婦に私のリストなんて見せられるはずない!


誤魔化さなきゃ!


「いや、最近聞いたばかりなのでまだ…何も…。」


そうなんだ…とやっぱり深くツッコんでこない店長が有り難い。


墓穴を掘らないうちに帰ろう。


「ご馳走様でした。」


お礼を言ってカフェを出た。


「はあ…。」


思わずため息が出る。


神社に寄ろうか悩んだけど、買い出しをして帰ることにした。


結局宿題も出来なかったしね。


家の近くのスーパーに寄って一応チューバの新作があるか見てみる。


「…あるじゃん…!」


ええ…これは買わないと気まずいパターン!


少し悩んで6本入りの方を買ってあげることにした。


(まだ前に買ったプレミアの方も残ってるし!)


買い出しを済ませて真っ直ぐ家に帰る。


まだ16時か…。


神様が何時に帰ってくるかわからないし、宿題やっておこう。


そう思ってノートをカバンから取り出してページを開くけど…。


「好きを突き詰めるか…。」


店長夫婦くらい突き詰めてハマった趣味なんてないなあ。


服はもちろん好きだけど、店長ほどではないし…。


今「趣味は?」って聞かれても、ハッキリ答えられるものはないかも。


瑠偉くんくらい詳しかったら「神社仏閣巡り!」って答えられるけど、私は神様に聞かないとわからないことだらけだし。


「おぬしは店長の話を聞いておったのか?」


え…?


振り返ると神様がベッドにあぐらをかいて座っていた。


「神様!早かったですね!」


「何やらおぬしの落ち込んだ空気を感じたからの。」


また何かあったのかと思って早めに帰ってきてくれたらしい。


神様…優しいのか厳しいのかわかりません!


(でもチューバ買ってあげててよかった!)
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

マキノのカフェ開業奮闘記 ~Café Le Repos~

Repos
ライト文芸
カフェ開業を夢見たマキノが、田舎の古民家を改装して開業する物語。 おいしいご飯がたくさん出てきます。 いろんな人に出会って、気づきがあったり、迷ったり、泣いたり。 助けられたり、恋をしたり。 愛とやさしさののあふれるお話です。 なろうにも投降中

古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。 読んでくださりありがとうございました。 「古屋さんバイト辞めるって」  おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。  学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。  バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……  こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか? 表紙の画像はフリー素材サイトの https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

阿呆になりて直日の御霊で受けよ

降守鳳都
歴史・時代
ちょっと変わった視点からの壬申の乱の物語です。 様々な要素を好き放題に詰め込んでいます。 奇想天外な展開もあり、コミカルな要素もあり、 じっくりと語り掛けたり、教養の部分も押さえています。 より多くの人に私たちの無意識に根差している 天皇-すめらみこと-の誕生までの物語を 知って頂きたいと思って筆を取りました。

処理中です...