猫神様のお気に召すまま

結香こっこ

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七章:意識

似た者夫婦

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友達が教えてくれたんですけど…という前置きをしてから


「店長は“自分を褒めるリスト”って書いたことありますか?」


「自分を褒めるリスト?初めて聞いたわ。」


どういうことを書くのか聞かれたので、自分のいいところを100個書き出すんです。と簡単に答えた。


「へえ!なんか面白そう!」


面白そう!?そんな反応が返ってくるとは思わなかった…。


やっぱり自分に自信がある人は、抵抗なく自分を100個褒められるのか!?


「今度やってみるわ。あなたもやってみてよ。」


「え?僕も?半分くらいは筋肉のことで埋まりそうだなあ…。」


「筋肉?」


どうやら旦那さんもジム通いが趣味で、やっぱり身体作りをストイックにやっているらしい。


いわゆる細マッチョというタイプだったんだ…!


「トレーニングとか筋肉とか健康とか栄養とか…そんな話が殆どよ。」


店長が呆れたように言う。


「筋肉は裏切らない。手をかけてやればやるほど応えてくれる。

知識は大事だぞ。」


「まあ、その知識が私にも役立っているからいいんだけどね。」


旦那さんもとことん突き詰めるタイプなんですね。と言うと優しく微笑んで、


「それも美穂の言うファッションと同じですよ。

他人からはストイックに見えても、本人は好きだから楽しいとしか思っていない。」


これも神様が言ってた似た者同士が引き合うっていうことなんだろうかな?


ハマるものは違えど、ハマり方が似ている。


「まあ、リビングの鏡でポーズとるのはやめてほしいけど。」


ジトーっとした目で旦那さんを見る。


「身体チェックは大事なことだ。無理だね。」と動じない旦那さん。


店長のこんなプライベートな顔を見れるなんて貴重!


はじめは気まずかったけど、遭遇できて良かったかもしれない。


「それで相原さんはどんなことを書いたの?」


「え!?」


そんなストイック夫婦に私のリストなんて見せられるはずない!


誤魔化さなきゃ!


「いや、最近聞いたばかりなのでまだ…何も…。」


そうなんだ…とやっぱり深くツッコんでこない店長が有り難い。


墓穴を掘らないうちに帰ろう。


「ご馳走様でした。」


お礼を言ってカフェを出た。


「はあ…。」


思わずため息が出る。


神社に寄ろうか悩んだけど、買い出しをして帰ることにした。


結局宿題も出来なかったしね。


家の近くのスーパーに寄って一応チューバの新作があるか見てみる。


「…あるじゃん…!」


ええ…これは買わないと気まずいパターン!


少し悩んで6本入りの方を買ってあげることにした。


(まだ前に買ったプレミアの方も残ってるし!)


買い出しを済ませて真っ直ぐ家に帰る。


まだ16時か…。


神様が何時に帰ってくるかわからないし、宿題やっておこう。


そう思ってノートをカバンから取り出してページを開くけど…。


「好きを突き詰めるか…。」


店長夫婦くらい突き詰めてハマった趣味なんてないなあ。


服はもちろん好きだけど、店長ほどではないし…。


今「趣味は?」って聞かれても、ハッキリ答えられるものはないかも。


瑠偉くんくらい詳しかったら「神社仏閣巡り!」って答えられるけど、私は神様に聞かないとわからないことだらけだし。


「おぬしは店長の話を聞いておったのか?」


え…?


振り返ると神様がベッドにあぐらをかいて座っていた。


「神様!早かったですね!」


「何やらおぬしの落ち込んだ空気を感じたからの。」


また何かあったのかと思って早めに帰ってきてくれたらしい。


神様…優しいのか厳しいのかわかりません!


(でもチューバ買ってあげててよかった!)
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