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七章:意識

自信をつける方法

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一見ストイックに聞こえるけど、店長にとってはそれが本音なんだ。


食べたい欲より太りたくない(体型キープする)ことの方が価値が上だから、暴飲暴食することを防げるんだなあ。


(まあ暴飲と言ってもアルコールは飲まない人だけど。)


もともとは私も7号だったんだけど…店長ほどのこだわりはなかった。


「私も7号戻りたいです…。」


SNS映え目的でカフェ巡りしていた時に太ってそのままだ。


エミは体型キープのためにジム通いを始めたら、トレーニングにもハマってどっちの趣味も満喫している。


私は痩せたいけど、店長やエミほどのこだわりやストイックさはないんだなあ…。


「どうしたの?シュンとして?」


「いや…実は神屋さんと別れてから、自分が何も考えずに生きていたことに気付いたんです。」


「はあ?!」と夫婦が同じタイミングで驚いた。


「随分と壮大な悩みね?」


「だって入社したばかりの後輩に彼氏をあっさり取られるし(即別れたけど)、半年しか違わないとはいえ後輩の打海くんに出世を抜かれるし…。」


自信喪失します…。と肩を落とした。


「まあ神屋くんの場合は彼自信に問題があったから仕方ないと思うけどね?」


打海くんの飲み込み早さは天性のものでしょうけどってトドメ刺さないでください!


更に肩を落とす私に、店長が「まあまあ」慰めるジェスチャーをする。


「例えばどうなれば自信が持てるようになると思うの?」


どうなれば…?


「店長みたいにスタイルキープできてオシャレで仕事できて幸せな結婚ができたら?」


「あら、それはありがとう。」


でも本当にそうならないといけないの?と聞かれて頭にハテナが浮かんだ。


「相原さんには相原さんの良さがあって、それは私や神屋くんや打海くんは持ってないわ。」


ないものねだりじゃなくて、自分ともっと向き合ったら?と。


うーん、結局神様の宿題をやるしかないのか。


(いや!サボろうとしていたわけではないんだけど!)


「自分と向き合うってオシャレをする上でも大事なことだしね。」


自分と向き合うことがオシャレに繋がる?


キョトンとする私に店長が話を続ける。


「例えば外見だけで言っても、体型や肌色、髪型なんかを活かせるスタイルは?

それを突き詰めて、納得できないところは改善してってとことん向き合わないと

“自分に合ったオシャレ”

なんてできないわよね?」


って、私は思ってるんだけどね。と付け加えた。


「だからお客様に薦める時も、その方に合ったシルエットは?色は?ということを考慮してチョイスしているわ。」


さすが…でも確かにスタッフコーデでアドバイスしてもらった通りに着ると、スタイル良く見えて感動したもんな…。


「どうしてそんな接客ができるんですか?」


「まずは自分と向き合ったからじゃない?自分のこともわかってない人に、人のことがわかるとは思えないわ。」


サラッと厳しいことを言うなあ…どんどん自分が何も考えていなかったことが確定されていく。


「その…自分と向き合うということをしたことがいないので、どういう風に向き合えばいいのかがわからないです。」


「うーーーん、そうね…。とりあえず好きなことを突き詰めてみるとか?

私の場合ファッションを突き詰めたいから、体型キープからヘアメイクまでこだわれるようになったじゃない?」


体型キープは体質を知らないとできないし、ヘアアレンジは髪質を知ることになるわよね?


メイクをするなら美肌をキープしなきゃいけないし、そのためには肌質を知ってスキンケアを選ぶ必要があるでしょ?


必然的に自分と向き合うことになるのよ。


と、またまたアッサリ厳しい意見を話す。


ス…ストイック!!!


これ、彰や瑠偉くんもやってるのかな!?
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