上 下
72 / 128
七章:意識

お披露目

しおりを挟む
帰宅してから神社に寄ったことを伝えると、やっぱり神様は一日世話人さんの家で過ごしていたらしい。


「じゃがおぬしの気配を感じたから、一瞬だけ神社へも行ったぞ。

おぬしがベンチに座っておったから、存在をアピールはしたんじゃがな。」


風を感じなかったか?聞かれた。


「そういえばふわっと吹きました!あれ、神様の存在アピールなんですか!?」


神社で心地よい風が吹く時は神様が通ったという事象らしい。


「えー、じゃあ神社で会ってたんじゃないですか!」


「猫が動きたがらんかったから、変身できんかったんじゃ。」


だからせめて風を吹かせて存在アピールをしたということらしい。


神様とデートできなかったのは残念だけど、これから神社に行ったときは風を意識しよう。


それから受け取った招き猫をお披露目した。


「おお、なかなか可愛いではないか!」


と神様も喜んでくれたので、やっぱり買って良かったな。


常に見えるところに置きたいと思ってテレビの横に飾ることにした。


その時LINEの着信音が鳴った。


ん?店長から?


すぐにトーク画面を開くと、シフト変更の話だった。


どうやら刈谷さんが無断欠勤したから、急遽休みだった店長が出勤したらしい。


それで明日の出勤を彰と交代して店長が休みに変わったと。


明日も刈谷さんが欠勤する可能性もあるけど、もともと4人で入る日だから大丈夫だろうということだった。



「詳しくは明日神屋くんから説明してもらって。」


ということはまた何かやらかしたのかな?


とりあえず私が早番であることには変わりはないみたいだ。


次の日、レジを開けていたら中番の刈谷さんが出勤してきた。


来るじゃん!


昨日の店長の話だと、来ない可能性が高いと思ってたんだけど…意外だ。


「おはようございます。」


覚悟はしてたけど、案の定目も合わせず無視された。


もう気にしない!


いつもならこのまま二人で午前中を過ごすけど、今日は11時に瑠偉くんが出勤してくれるらしいのであと1時間の我慢だ。


これも刈谷さんが欠勤した時のためらしい。


欠勤しなかったけど、相変わらず(というより酷くなってる)無愛想だ。


多分接客もしないだろうし、瑠偉くんが少しでも早く来てくれるのはありがたい。


オープンしてもやっぱり刈谷さんはレジカウンター辺りで無愛想に立っているだけだった。


平日だから入店少ないし、一人で大丈夫だけどせめてレジやってほしいなあ…。


なんて思っている間に瑠偉くんが出勤してきた。


「おはようー!早く来てくれて助かったよ!」


「おはよう!一応出勤してるんだね。」


出勤はしてるけど、挨拶はしないし無愛想で接客もしないし。


居ないも同然だったことを伝えた。


「また神屋さんから教えてくれると思うんだけど…本社の人が刈谷さんと話して、退職が決まったらしいんだ。」


「退職!?そうなんだ?」


でも正社員だからすぐに辞められないということで、退職までの間はちゃんと出勤すると約束したらしい。


「いや!出勤しても働いてくれなかったら意味ないじゃん。」


「そうなんだけどね…とりあえず2ヶ月後に退職になるだろうということだったよ。

今日神屋さんが出勤だから、一緒に辞表を書くんじゃないかな?」


2ヶ月後…彰より先にいなくなるということか。


というより、2ヶ月間もちゃんと出勤するとは思えないんだけど…!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

瞬間、青く燃ゆ

葛城騰成
ライト文芸
 ストーカーに刺殺され、最愛の彼女である相場夏南(あいばかなん)を失った春野律(はるのりつ)は、彼女の死を境に、他人の感情が顔の周りに色となって見える病、色視症(しきししょう)を患ってしまう。  時が経ち、夏南の一周忌を二ヶ月後に控えた4月がやって来た。高校三年生に進級した春野の元に、一年生である市川麻友(いちかわまゆ)が訪ねてきた。色視症により、他人の顔が見えないことを悩んでいた春野は、市川の顔が見えることに衝撃を受ける。    どうして? どうして彼女だけ見えるんだ?  狼狽する春野に畳み掛けるように、市川がストーカーの被害に遭っていることを告げる。 春野は、夏南を守れなかったという罪の意識と、市川の顔が見える理由を知りたいという思いから、彼女と関わることを決意する。  やがて、ストーカーの顔色が黒へと至った時、全ての真実が顔を覗かせる。 第5回ライト文芸大賞 青春賞 受賞作

処理中です...