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五章:強化合宿

人のことより自分のこと

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いつもの晩ご飯兼質問タイム。


スタッフコーデが3つ送ったうち2つ採用されたと報告したら神様も


「おお!それは良かったな!祝福じゃ!」


と喜んで、「はい」とチューバを1本手渡してくれた。


いや、私はこれは食べれません!


「そもそもこれ買ったの私じゃないですか!」


じとーっと見つめると「あ、そうじゃった」ととぼけて見せた。



「でも自分で考えたコーデは不採用だったんです…。採用されたのは店長と彰がアドバイスしてくれたコーデで、もしアドバイスがなかったら採用されずに終わってました。」


自分の実力で出せた結果ではないところで、素直に喜べなかった。


「いいではないか。これで採用されるコツを掴めたんじゃろ?

次からそのコツを活かせば良いではないか。」


そもそも…と話し続ける。


「人のアドバイスを受け入れるのも大事じゃぞ。

今回採用されたのもアドバイスを受け入れたからじゃろ?それは良いことじゃ。」


人のアドバイスを聞かず、自分の考えに固執する人間もおるぞ。と言われてつい刈谷さんの顔を思い浮かべてしまった。


刈谷さんも素直に店長や彰の話を受け入れていれば、こんな大事にならなくて済んだのになあ…。


「ワシがおぬしのところに来たのも、おぬしが世話人のアドバイスをすぐに実行したからじゃ。」


「そうだったんですか!?」


参拝の仕方を聞いても「次にやろう」と思ったり「面倒…」と思ったりして、すぐ実行する人は珍しいらしい。


そうなんだ…意外!


「アドバイスを聞ける者は人の助けを受けやすいし、成長も早いぞ。

それはおぬしの長所じゃ。」



神様にそんな褒めてもらえるなんて…俄然やる気が出てきた!



「ありがとうございます!次こそは自分で採用されるコーデを作れるように頑張ります!」



「その意気じゃ!」


と笑って頷いてくれた。



「そういえば今日、神社に瑠偉くんが来ませんでしたか?」



「おお!おぬしと同じくらいの年頃の、髪が緩いカールのやつかの?」



やっぱり行ったんだ!さすがだなあ…。



「とても礼儀のいい好青年じゃったの。あの若さで参拝マナーを心得ておるとは感心じゃ。」



「京都や奈良まで行ったこともあるくらい神社が好きみたいです。」


そうかそうか、それは嬉しいの。と頷いて


「それなら余計に出てやれんで残念じゃったな。」


「でも願いを聞くだけは聞いてくれたんですよね?」


そうじゃが…と口を濁す。


「瑠偉くんの願いってなんだったんですか?」


「それは秘密じゃ。

おぬしも自分の願いを人にペラペラ喋られたら嫌じゃろう。

それなら安易に人の願いを聞くでない。」


う…その通りです…。


「人のことより自分はどうなんじゃ?
答えは出たのか?」


「え…っと…ちょっと考える時間がなくて…。

刈谷さんの事件もありましたし…。」


そうだ…忘れてた。


本当に結婚したいのかどうかも、まだあまりわかっていない。


ただ長く付き合ってみたいだけなのか、結婚までしたいのか。


「長い付き合いや結婚ができた場合に何がしたいんじゃ?どうなりたいんじゃ?

答えは“叶ったらどうなりたいと思っているのか”を見るとよいぞ。」


叶ったら何がしたいか?どうなりたいか?


「店長が言う通り、結婚だけが幸せではない。

実際に付き合いが長く続いたら結婚しなければならないのか?否か?」


うーーん…また眉間に皺がよる。


「おぬし、明日は休みだったかの?」


「はい、そうです。」


ではノートを用意しておけ。と言われた。



ノート?
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