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四章:はじめの一歩

近況報告

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「神様、明日は仕事休みなんですが友達と遊びに行くんですよ。」


「ほう、そうか。ではワシはいつも通り猫の世話人のところに行っておくかの。」


ちなみに野間神社の近くのカフェに行くと言うと、神社にも来るのか聞かれた。


「いえ、まだカフェ以外の予定は決まっていないんです。

行かない方がいいですか?」


カフェの周りを散策したいとは思ってたんだけど…。


「いや…もし時間があるようなら、あの神社の近くに招き猫の工房があるんじゃ。

おぬし招き猫のことを調べておったじゃろ?興味があるなら寄ってはどうかと思うてな。」


お店も併設されていて、販売もしているらしい。


それは気になる!


「明日友達に提案してみます!」



それから店長と話した内容の話題になった。


「幸せな結婚をしている者が近くにおって良かったの。」と言って


「しかしまずは彼氏じゃの。いきなり結婚に焦点をあてると、おぬしは拗らせそうな気がするわ。」



「どういうことですか!?」


と口を膨らませると笑って誤魔化された。



次の日、神様を見送ったあと(と言っても消えていくのを見守るだけだが)私も部屋を出て駅に向かう。


「エミ!」


改札を出たすぐ前に友達がいた。


すらっとしたショートボブの子がいつもカフェ情報をくれる友達、エミだ。


「あ、池鶴!」


と手を小さく振る。


カフェ巡りが趣味なのに相変わらず細い。


平日、仕事帰りのヨガやジムも続いているのだろう。


合流して真っ直ぐカフェに向かう。


「あのカフェ、良かったでしょう?雰囲気もいいしご飯も美味しいし。」


やっぱり周りのカフェにもいくつか行ったらしく、



「でもあのカフェが1番お気に入り!

オーナーらしい人もカッコよくて好みだし。」



「そこ!?」


それもカフェの楽しみ方一つだと言い張る。



そんな話をしているうちにカフェ着いた。



残念ながら、今日は女性のスタッフしかいなかった。


今回は奥の壁際の席に案内されて向かい合わせに座る。


「カッコいい人がいなくて残念ね。」


と言うと


「池鶴こそ、カッコいい彼氏にフラれて残念ね?」


と返された。


「いやー、それが店長から本性聞かされて…未練も吹っ飛んだよ。」


そこから刈谷さんのこととか話して、まだ解決していないことを明かした。


「会社みたいに大きな環境じゃないから、余計に辛いね…。」


「いやー、私的にはもうどうでもいいというか…。

フラれたのを機に店長に人生相談とかしてて、それが結構楽しいんだよね。」



本当は神様のこともあるんだけど口止めされているので、もちろん秘密だ。


ひとしきり職場の話で盛り上がって、食後のコーヒーを飲みはじめた時に思い出した。


「そういえばこの近くに招き猫の工房があるらしいんだけど、行ってみない?」


「招き猫?池鶴、そういう民芸品みたいなの興味あったっけ?」


そうだ…今まで全く興味なかったんだ…。


神様のことを伏せてたらいいよね?



「実は前回来た時、この周りを散策してたら道に迷ってしまってね。

偶然、神社にたどり着いたのよ。」


そこの管理人さんが教えてくれたことにした。


「野間神社ですか?」


カフェのスタッフが話しかけてきた。


「そうです!ご存知なんですか?」



「はい、家がその神社の近くなので。

工房はここからだと、神社の手前の交差点を左に曲がるとすぐですよ。」


神社の近くに住んでるんだ!


猫神様のことも知ってるんだろうか?



聞きたいけど、エミの前だ。今日はやめておこう。


「ありがとうございます!行ってみます!」


カフェを出て工房に向かう。


あの雑貨屋さんの交差点を曲がって真っ直ぐ行くと、神社が見えてきた。


手前の交差点を左ね。


「あ、あそこじゃない?」


とエミが指差す。


木造の建物の入り口に大きな招き猫が置かれていた。
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