39 / 128
四章:はじめの一歩
大きい望み、小さい望み
しおりを挟む
開店準備をしながら昨日のことを思い返していた。
結局神様はチューバ(プレミア)を2本食べたことではなく……。
一応猫に戻ってから食べていたけど…人の姿に戻った時の満足気な顔を見る限り、多分猫と一緒に味わえる仕組みになっているのだろう。
いやだからそのことではなくて!カフェで「そのうち大きな望みにも気付けるじゃろう」と話していたことだ。
帰宅してからふとその言葉が気になって聞いてみた。
「大きな望みはあった方がいいんですか?小さい望みより大事なんですか?」
モデルの話でもかなり悩んだのに、これよりも大きい望みが出てきたらどれだけ悩まなきゃいけないの!?
「そうじゃの。大きな望みの間に小さい望みがいくつかあると、楽しく願望を叶えていけると思うぞ。」
「大きな願いの間に小さい望み?」
「ふむ、大きい望みは叶うまでに時間がかかるな?
その望みが叶うまでに小さい望みをいくつか叶えていくと、大きい望みが叶うまでに挫折しない可能性が上がるのじゃ。」
ここからまた難しい話が始まって、楽しかったお出かけの思い出に浸れなくなってしまったのだ。
「あ、神屋さん。おはようございます。」
「おはよう。昨日スタッフコーデの指定品番が発信されたから、打海くんが出勤してから一緒に朝礼しよう。」
今日は急ぎで伝える内容がないということで、オープンしたらそのまま店頭に居ていいらしい。
「かしこまりました。」
入り口のネットを外してミラーを磨き始める。
そこでまた昨日の続きに脳内がトリップした。
「大きい望みを叶えるまでに小さい望みを叶えていくことで”成功体験“を積んでいけるじゃろ?
そうしているうちに“本当の望み”に気付ける目を持てるようになり、更に“自分は望みを叶える能力がある”と自信がついていくんじゃ。」
「………………はい………。」
まだわかっておらぬの。と言って右手の人差し指を立てる。
「例えばカーナビというものがあるじゃろ?
目的地を決めて設定すると、そこまでのルートを表示して案内してくれるアレじゃ。
例え道を間違っても軌道修正して、最終的には目的地にたどり着くの?」
大きい望みまでは距離があるから途中、途中に立ち寄るポイントを決めておく。
服屋さんとか休憩する時のカフェとか。
でもその中でも道に迷うこともあって、でも迷ったからこそ出会えるものがあったりして…結局道に迷うことすら収穫になる。
そして巡り巡って1番始めに設定した目的地にたどり着ける。
「ということが人生のイメージじゃ。
もし設定した場所まで何もなかったら?もちろん設定はしておるからたどり着くことはできるんじゃ。
しかしそこに行くまでに飽きてしもうたり、嫌気がさしたりしてしまう可能性もあると思わぬか?」
「あー、それは確かに。」
私だったらナビを使っていても「この道で本当に合ってるのか?」って不安になりそう。
「しかしじゃ。大きい望みがないとそれはそれで危険なんじゃ。」
「危険?」
最終地点がなく途中の小さな目的ばかりだと、結局ただふらふらしているだけになってしまう。
望みを叶えているのに”どこにもたどり着けない“事態がおこってしまう。
「じゃから小さい望みも大きい望みも両方大事なんじゃ。」
私はまだ、やっと小さい望みを一つ見つけたところだ。
大きい望み…まだまだ見つかりそうにないな。
開店時間を知らせる音楽が鳴る。
慌てて掃除道具を片付けて入り口に立った。
結局神様はチューバ(プレミア)を2本食べたことではなく……。
一応猫に戻ってから食べていたけど…人の姿に戻った時の満足気な顔を見る限り、多分猫と一緒に味わえる仕組みになっているのだろう。
いやだからそのことではなくて!カフェで「そのうち大きな望みにも気付けるじゃろう」と話していたことだ。
帰宅してからふとその言葉が気になって聞いてみた。
「大きな望みはあった方がいいんですか?小さい望みより大事なんですか?」
モデルの話でもかなり悩んだのに、これよりも大きい望みが出てきたらどれだけ悩まなきゃいけないの!?
「そうじゃの。大きな望みの間に小さい望みがいくつかあると、楽しく願望を叶えていけると思うぞ。」
「大きな願いの間に小さい望み?」
「ふむ、大きい望みは叶うまでに時間がかかるな?
その望みが叶うまでに小さい望みをいくつか叶えていくと、大きい望みが叶うまでに挫折しない可能性が上がるのじゃ。」
ここからまた難しい話が始まって、楽しかったお出かけの思い出に浸れなくなってしまったのだ。
「あ、神屋さん。おはようございます。」
「おはよう。昨日スタッフコーデの指定品番が発信されたから、打海くんが出勤してから一緒に朝礼しよう。」
今日は急ぎで伝える内容がないということで、オープンしたらそのまま店頭に居ていいらしい。
「かしこまりました。」
入り口のネットを外してミラーを磨き始める。
そこでまた昨日の続きに脳内がトリップした。
「大きい望みを叶えるまでに小さい望みを叶えていくことで”成功体験“を積んでいけるじゃろ?
そうしているうちに“本当の望み”に気付ける目を持てるようになり、更に“自分は望みを叶える能力がある”と自信がついていくんじゃ。」
「………………はい………。」
まだわかっておらぬの。と言って右手の人差し指を立てる。
「例えばカーナビというものがあるじゃろ?
目的地を決めて設定すると、そこまでのルートを表示して案内してくれるアレじゃ。
例え道を間違っても軌道修正して、最終的には目的地にたどり着くの?」
大きい望みまでは距離があるから途中、途中に立ち寄るポイントを決めておく。
服屋さんとか休憩する時のカフェとか。
でもその中でも道に迷うこともあって、でも迷ったからこそ出会えるものがあったりして…結局道に迷うことすら収穫になる。
そして巡り巡って1番始めに設定した目的地にたどり着ける。
「ということが人生のイメージじゃ。
もし設定した場所まで何もなかったら?もちろん設定はしておるからたどり着くことはできるんじゃ。
しかしそこに行くまでに飽きてしもうたり、嫌気がさしたりしてしまう可能性もあると思わぬか?」
「あー、それは確かに。」
私だったらナビを使っていても「この道で本当に合ってるのか?」って不安になりそう。
「しかしじゃ。大きい望みがないとそれはそれで危険なんじゃ。」
「危険?」
最終地点がなく途中の小さな目的ばかりだと、結局ただふらふらしているだけになってしまう。
望みを叶えているのに”どこにもたどり着けない“事態がおこってしまう。
「じゃから小さい望みも大きい望みも両方大事なんじゃ。」
私はまだ、やっと小さい望みを一つ見つけたところだ。
大きい望み…まだまだ見つかりそうにないな。
開店時間を知らせる音楽が鳴る。
慌てて掃除道具を片付けて入り口に立った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あやかし雑草カフェ社員寮 ~社長、離婚してくださいっ!~
菱沼あゆ
キャラ文芸
令和のはじめ。
めでたいはずの10連休を目前に仕事をクビになった、のどか。
同期と呑んだくれていたのだが、目を覚ますと、そこは見知らぬ会社のロビーで。
酔った弾みで、イケメンだが、ちょっと苦手な取引先の社長、成瀬貴弘とうっかり婚姻届を出してしまっていた。
休み明けまでは正式に受理されないと聞いたのどかは、10連休中になんとか婚姻届を撤回してもらおうと頑張る。
職だけでなく、住む場所も失っていたのどかに、貴弘は住まいを提供してくれるが、そこは草ぼうぼうの庭がある一軒家で。
おまけにイケメンのあやかしまで住んでいた。
庭にあふれる雑草を使い、雑草カフェをやろうと思うのどかだったが――。
夜食屋ふくろう
森園ことり
ライト文芸
森のはずれで喫茶店『梟(ふくろう)』を営む双子の紅と祭。祖父のお店を受け継いだものの、立地が悪くて潰れかけている。そこで二人は、深夜にお客の家に赴いて夜食を作る『夜食屋ふくろう』をはじめることにした。眠れずに夜食を注文したお客たちの身の上話に耳を傾けながら、おいしい夜食を作る双子たち。また、紅は一年前に姿を消した幼なじみの昴流の身を案じていた……。
(※この作品はエブリスタにも投稿しています)
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
初愛シュークリーム
吉沢 月見
ライト文芸
WEBデザイナーの利紗子とパティシエールの郁実は女同士で付き合っている。二人は田舎に移住し、郁実はシュークリーム店をオープンさせる。付き合っていることを周囲に話したりはしないが、互いを大事に想っていることには変わりない。同棲を開始し、ますます相手を好きになったり、自分を不甲斐ないと感じたり。それでもお互いが大事な二人の物語。
第6回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる