猫神様のお気に召すまま

結香こっこ

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三章:二人のカウンセラー

お土産

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朝、目覚めと共に猫も人になり一緒に伸びをした。


「おはようございます」


「うむ、おはよう」


今日は神様がカーテンを開けてくれたので、私はそのままキッチンに立つ。


今日もいい天気だ。



朝ごはんをテーブルに運んで手を合わせる。


外を見渡していた神様も部屋に戻って隣に座った。



「そういえば昨日おぬしに土産を持ってきておったんじゃ。」


「素っ頓狂な質問をされたせいで忘れておったわ」と言って手渡してくれた。


すっとんきょう…いや、本当に我ながらお恥ずかしい…。


「ありがとうございます…」


と言って受け取ったのはおみくじだった。



「おみくじ?」


「野間神社のおみくじを引いてきてやったぞ。

おみくじは神からのメッセージと言われておる。
神自ら選んできてやったのじゃ。正真正銘、神からのメッセージじゃぞ!

有り難く受け取り給え!」


と、鼻高々に言われた…。


「ははぁ…」と大袈裟におみくじを掲げて開いてみる。


「どうじゃ?」



「…末吉…」


え、そんな中途半端な!?



「神様、こういう時って大吉を持ってきませんか!?」



「何を言うか“これ!”と思うたものを引いてきてやったのに!

末吉だって吉じゃろう?おぬしは我が儘だのう!」



昨日は素直で真面目って言ってくれたのに!



「そもそもおみくじはな?大吉とか大凶とかよりも“どういうことを書かれているか”が大事なんじゃ。」


「内容をちゃんと読まんか!」と怒られた。


はいはい内容ね…


「えー、恋愛…恋愛…。」


「おぬし、仕事の前に読む項目が恋愛か?」



………………………。



「えへへ…そうですよね…。」



ついいつものクセで…というか神様につっこまれるまで、恋愛を1番にチェックしていることすら気付いてなかった…。


販売職だから「商売」でいいかな?


「願望」も見ておこう。



「先の詩の部分も読むんじゃぞ。」



詩?そんなところ読んだことすらなかった…なんか難しそうで理解できる気がしなかったから。



えーっと…


「初めは冬の枯木の葉おちて

花もなく淋しく

此末如何このすえいかがなろうかと気遣うも

其内そのうちに春となって

花さく如く末よき運なり

何事も慎み退屈せず

時を待てば必ずよし」


おお!これは難しくない!


「つまり“どんどん良くなる”ということですね!?」


おみくじの詩なんて難しい古文みいたいなものだと思ってたけど、ちゃんと読んでみるとわかりやすい!



「“何事も慎んで”おれば…な。」


私のテンションに苦笑いをしながらつっこまれる。


でも本当、末吉って悪くないね!

今までちゃんと読まなかったことを後悔してきた。本当はいいこと書いてくれていたかもしれないのに!



「願い事…初めは思わしくないが後は必ずよし!

おおー!必ずよしだそうですよ神様!」



「そこまで喜んでもらえるとは…引いてきた甲斐があったわ。」

と苦笑いのまま言われてしまった。



「商売…あせっては損する

えー損するー?まあ焦らなければ大丈夫ってことだよね!」


うんうん、これは仕事前にいいもの読んだぞ!


「神様、ありがとうございます!今日の仕事も頑張れます!」


「はっはっは!子供みたいじゃの!

まあ、頑張ってこい。」


「じゃあワシは先に行くぞ」と、消えて行った。



今日は彰と刈谷さん、二人とも出勤の上に瑠偉くんが休みでちょっと心細かったけど、おみくじを見たら元気出た!


よし!頑張ってこよう!
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