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三章:二人のカウンセラー
話し合い
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刈谷さんとはギスギスしたままだけど、たまたま入店が立て続いてあっという間に休憩時間になった。
それまでに瑠偉くんによる初の朝礼と(緊張のためか棒読みになってて笑ってしまった)、刈谷さんの休憩もあったからわりと穏やかな気持ちを保てたな…。
瑠偉くんと刈谷さんに「休憩入ります」と言って従業員食堂に移動した。
真ん中あたりの席に座ってホッとため息をつく。
昨日、彰と刈谷さんが話しあったって…なんだろう?
注意程度かな?
それにしても今だに刈谷さんが私に対して冷たい態度を続ける意味がわからない…。
ゆっくりお弁当を食べながら(考えても仕方ないか)と思って、神様の宿題を考えることにした。
(共通点かー…)
深掘り…深掘り…んーーーー難しい!
神様はわかってるんだろか?ヒントくれないかなー!
結局、休憩中に「これ!」と言った答えが出ないままお店に戻ると、バックルームのデスクで瑠偉くんが何かの書類と睨めっこしていた。
「瑠偉くん…眉間にシワが寄ってるよ…?」
ハッとして「ヤバいヤバい!」人差し指で眉間をグリグリほぐす瑠偉くんに「そんな難しい内容なの?」と聞くと
「本社に送る先週の商品反応の報告書と館のホームページに載せてもらう申請書、それに来週のイベント内容の把握!
申請書はできたけど、報告書がねー!」
髪をグチャッとしながら「もう頭パンクしそう!」っと不貞腐れる。
なんか聞いただけで頭痛くなりそうだったから「が…頑張ってね!」と言ってそそくさと店頭に出た。
もしかしたら私は次期サブに抜擢されなくてよかったかもしれない…それも願いが叶ったということだろうか?
引き続き刈谷さんとは必要以上に接触せずに接客に集中した。
ちょうどお客様をお見送りした瞬間、背後から「お疲れ様です」と声がかかった。
もちろん振り返る前に誰かわかる。
彰だ。
いざ“その時”を迎えるとやっぱり少しは緊張する。
顔が引きずらないように意識しながら振り返った。
「神屋さん、お疲れ様です。」
「今、大丈夫?裏で少し話をしたいんだけど。」
そう言う彰の後ろの方から刈谷さんが一瞬こちらを睨んだように見えたのは気のせいだろうか。
もちろん接客が終わったところだ。断る理由もないので「大丈夫です」と言って二人でバックルームに入った。
書類と睨めっこしていた瑠偉くんにも一度店頭に出てもらって、彰と二人になる。
「座って。」
と、言われて向かい合わせに座った。
「刈谷さんのことだけど、まずは嫌な思いをさせる事態になって申し訳ない。
こんなことになったのは俺にも責任がある。」
と言って頭を下げられた。
そんなことされたら許すしか選択肢がなくなるんだけど…。
「いえ…店長が止めてくれましたし、私もムキになって大人気なかったと反省しています。」
そう言うと困ったように笑って
「殴られるくらいの覚悟をして来たんだけどな。」
と呟いた。
「そんな凶暴じゃないです…。」
じとーっと見つめ返しながら言うと「ごめん、ごめん。わかってるよ。」と言って話を続けた。
「とりあえず今のところクレームはない。多分、もう来ないんじゃないかな…と個人的には思っている。」
そうなればいいな…。
その後は改めて店内での私語を注意され、これは確かにその通りなので素直に受け止めた。
「それで昨日、刈谷さんと話し合ったんだけど…あまり反省の色が感じられなかった。
君にも冷たく当たっているそうだね?」
「はい…。」
「この状況が続くようなら人員変えの処置を取らざるを得なくなる。
極力早く状況が好転するように勤めるが、何かあったら遠慮なく相談してほしい。
もちろん、俺じゃなくて店長でもいい。」
「ありがとうございます」と言って、これで話は終わったかと思って立ち上がろうとしたら
「待って。ごめん、もう少しいいか?」
と言われたので座り直した。
「刈谷さんとは一旦別れることにした。」
それまでに瑠偉くんによる初の朝礼と(緊張のためか棒読みになってて笑ってしまった)、刈谷さんの休憩もあったからわりと穏やかな気持ちを保てたな…。
瑠偉くんと刈谷さんに「休憩入ります」と言って従業員食堂に移動した。
真ん中あたりの席に座ってホッとため息をつく。
昨日、彰と刈谷さんが話しあったって…なんだろう?
注意程度かな?
それにしても今だに刈谷さんが私に対して冷たい態度を続ける意味がわからない…。
ゆっくりお弁当を食べながら(考えても仕方ないか)と思って、神様の宿題を考えることにした。
(共通点かー…)
深掘り…深掘り…んーーーー難しい!
神様はわかってるんだろか?ヒントくれないかなー!
結局、休憩中に「これ!」と言った答えが出ないままお店に戻ると、バックルームのデスクで瑠偉くんが何かの書類と睨めっこしていた。
「瑠偉くん…眉間にシワが寄ってるよ…?」
ハッとして「ヤバいヤバい!」人差し指で眉間をグリグリほぐす瑠偉くんに「そんな難しい内容なの?」と聞くと
「本社に送る先週の商品反応の報告書と館のホームページに載せてもらう申請書、それに来週のイベント内容の把握!
申請書はできたけど、報告書がねー!」
髪をグチャッとしながら「もう頭パンクしそう!」っと不貞腐れる。
なんか聞いただけで頭痛くなりそうだったから「が…頑張ってね!」と言ってそそくさと店頭に出た。
もしかしたら私は次期サブに抜擢されなくてよかったかもしれない…それも願いが叶ったということだろうか?
引き続き刈谷さんとは必要以上に接触せずに接客に集中した。
ちょうどお客様をお見送りした瞬間、背後から「お疲れ様です」と声がかかった。
もちろん振り返る前に誰かわかる。
彰だ。
いざ“その時”を迎えるとやっぱり少しは緊張する。
顔が引きずらないように意識しながら振り返った。
「神屋さん、お疲れ様です。」
「今、大丈夫?裏で少し話をしたいんだけど。」
そう言う彰の後ろの方から刈谷さんが一瞬こちらを睨んだように見えたのは気のせいだろうか。
もちろん接客が終わったところだ。断る理由もないので「大丈夫です」と言って二人でバックルームに入った。
書類と睨めっこしていた瑠偉くんにも一度店頭に出てもらって、彰と二人になる。
「座って。」
と、言われて向かい合わせに座った。
「刈谷さんのことだけど、まずは嫌な思いをさせる事態になって申し訳ない。
こんなことになったのは俺にも責任がある。」
と言って頭を下げられた。
そんなことされたら許すしか選択肢がなくなるんだけど…。
「いえ…店長が止めてくれましたし、私もムキになって大人気なかったと反省しています。」
そう言うと困ったように笑って
「殴られるくらいの覚悟をして来たんだけどな。」
と呟いた。
「そんな凶暴じゃないです…。」
じとーっと見つめ返しながら言うと「ごめん、ごめん。わかってるよ。」と言って話を続けた。
「とりあえず今のところクレームはない。多分、もう来ないんじゃないかな…と個人的には思っている。」
そうなればいいな…。
その後は改めて店内での私語を注意され、これは確かにその通りなので素直に受け止めた。
「それで昨日、刈谷さんと話し合ったんだけど…あまり反省の色が感じられなかった。
君にも冷たく当たっているそうだね?」
「はい…。」
「この状況が続くようなら人員変えの処置を取らざるを得なくなる。
極力早く状況が好転するように勤めるが、何かあったら遠慮なく相談してほしい。
もちろん、俺じゃなくて店長でもいい。」
「ありがとうございます」と言って、これで話は終わったかと思って立ち上がろうとしたら
「待って。ごめん、もう少しいいか?」
と言われたので座り直した。
「刈谷さんとは一旦別れることにした。」
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