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一章:ツイてない
爆発寸前!
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「異動されるんですね。」
そっちか。
「昨日聞きました。」
「打海さんが引き継ぐんですよね。
神屋さんの顧客様も、打海さんが任されるんですって。
一気に担当のお客様が増えて羨ましいと思いません?
私も彰…じゃなくて!神屋さんのお客様引き継ぎたかったな。」
背筋がゾワッとした。
今、わざと彰って言った?
思わず手を止めて刈谷さんを見る。
「あ、公私混同は神屋さん嫌いますよね?気をつけます。」
少し肩をすくめて見せる。
どう返事していいか思い浮かばず黙って業務を再開した。
そんな私の手を止めるかのように「あのぉ…」と、刈谷さんが顔を覗き込んでくる。
「念のため伝えておきたいんですけど…。
相原さんから奪いたくて告白したんじゃないですからね?フラれたら諦められると思って告白したんです。
彼女がいて、しかも職場内に。OKしてもらえるなんて思わないじゃないですか。
だから付き合ってくれることになって、私もすごくビックリしたんですよ!」
お腹の底からグラグラっと怒りが沸き起こってきた。
それでも彼女はお構いなしに喋り続ける。
「仲良さそうに見えてたのに、実はあまりうまくいってなかったんですね?意外でした。」
「そんなこと…!」
沸き起こってきた怒りが爆発しそうになった瞬間、背後から「はい、オシャベリはそこまで!」と声がした。
振り返ると早めに休憩を終えて戻ってきた店長が立っていた。
急遽で本社に連絡をしないといけなくなったらしい。
どこから聞かれていたんだろう…。
「店頭で世間話はしない!しかも彼氏を取った取られたなんて話…お客様に聞かれたらどうするの!?」
「申し訳ありません…!」
込み上げてくる怒りを抑えるのに必死で、店頭の状況を見る余裕がなかった…。
店長が戻ってきたことにも気付けなかったのだ。もしかしたらお客様もレジ近くを通っていたかもしれない。
もし聞かれていたら、クレームになってもおかしくない。
私が反省している横で、刈谷さんは口を尖らせて反省の色も見せずにそっぽを向いていた。
「刈谷さん、何か不満でも?」
さすがの店長も呆れている。
「いえ、別に。申し訳ありませんでした。以後気をつけます。」
反省していないのは態度を見ればわかる。謝罪しながら顔はそっぽを向いたままだ。
「相原さんは業務を続けて。刈谷さんはバックルームに。」
「かしこまりました。」
どんな話をするのか気になるけど、全員でバックルームに入るわけにもいかない。
ここは店長に任せるのが賢明だろう。
バックルームに入っていく二人の背中を見届けてから、品出しの続きを始めた。
そっちか。
「昨日聞きました。」
「打海さんが引き継ぐんですよね。
神屋さんの顧客様も、打海さんが任されるんですって。
一気に担当のお客様が増えて羨ましいと思いません?
私も彰…じゃなくて!神屋さんのお客様引き継ぎたかったな。」
背筋がゾワッとした。
今、わざと彰って言った?
思わず手を止めて刈谷さんを見る。
「あ、公私混同は神屋さん嫌いますよね?気をつけます。」
少し肩をすくめて見せる。
どう返事していいか思い浮かばず黙って業務を再開した。
そんな私の手を止めるかのように「あのぉ…」と、刈谷さんが顔を覗き込んでくる。
「念のため伝えておきたいんですけど…。
相原さんから奪いたくて告白したんじゃないですからね?フラれたら諦められると思って告白したんです。
彼女がいて、しかも職場内に。OKしてもらえるなんて思わないじゃないですか。
だから付き合ってくれることになって、私もすごくビックリしたんですよ!」
お腹の底からグラグラっと怒りが沸き起こってきた。
それでも彼女はお構いなしに喋り続ける。
「仲良さそうに見えてたのに、実はあまりうまくいってなかったんですね?意外でした。」
「そんなこと…!」
沸き起こってきた怒りが爆発しそうになった瞬間、背後から「はい、オシャベリはそこまで!」と声がした。
振り返ると早めに休憩を終えて戻ってきた店長が立っていた。
急遽で本社に連絡をしないといけなくなったらしい。
どこから聞かれていたんだろう…。
「店頭で世間話はしない!しかも彼氏を取った取られたなんて話…お客様に聞かれたらどうするの!?」
「申し訳ありません…!」
込み上げてくる怒りを抑えるのに必死で、店頭の状況を見る余裕がなかった…。
店長が戻ってきたことにも気付けなかったのだ。もしかしたらお客様もレジ近くを通っていたかもしれない。
もし聞かれていたら、クレームになってもおかしくない。
私が反省している横で、刈谷さんは口を尖らせて反省の色も見せずにそっぽを向いていた。
「刈谷さん、何か不満でも?」
さすがの店長も呆れている。
「いえ、別に。申し訳ありませんでした。以後気をつけます。」
反省していないのは態度を見ればわかる。謝罪しながら顔はそっぽを向いたままだ。
「相原さんは業務を続けて。刈谷さんはバックルームに。」
「かしこまりました。」
どんな話をするのか気になるけど、全員でバックルームに入るわけにもいかない。
ここは店長に任せるのが賢明だろう。
バックルームに入っていく二人の背中を見届けてから、品出しの続きを始めた。
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