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第十四章
入院④
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全ての連絡が終わって病室に戻ろうと思っていたところで、みーくんママからメッセージが届いた。
『こんにちは。由奈ちゃんが病院に運ばれたって聞いて』
『そうなの。情報が早くてびっくり』
『瑞希が学校帰りにたまたま朱里ちゃんに会ったらしいの。話を聞いて帰ってきて由奈ちゃんのお母さんに詳しく聞いてって言われたの』
『心配をかけたのね。急性虫垂炎で治療するのに一週間ほど入院になったの』
『まあ大変。瑞希がお見舞いに行きたいと言っているんだけど、迷惑になるかしら』
『明日以降なら大丈夫よ。由奈も喜ぶと思うわ』
『瑞希に伝えるわ。忙しい時に連絡をしてごめんね』
『ううん、ありがとう。由奈には内緒にしておくわ』
まさか自分が眠っている間に、由奈の母と瑞希の母がメッセージをやり取りしているとは知らない由奈は、後日驚くこととなる。
病室で目覚めた由奈は、見知らぬ天井が目に入り驚いた。ベッドに寝かされ点滴をしているが、自分の記憶は公園のベンチに座ったところまでだ。
「ここはどこ……」
「あっ由奈、目が覚めた?」
「う、うん」
「ここは病院よ。由奈のお腹の痛みは、急性虫垂炎だったの」
あれほど痛かった腹部の痛みはすっかり引いているが、母から一週間の入院になった事実を聞かされ呆然とした。
「テストが……」
「テストよりも身体が大切でしょう。命に係わる病気ではなくて良かったわ」
「う、うん……」
「サボったわけではないんだし、由奈が普段から頑張っていることはみんなわかっているわよ」
「うん……」
小学生の頃なら一週間くらいの欠席は気にはならなかったが、中学生になり一週間がとても長く重く感じる。勉強に遅れてしまうのではないかと気が気じゃない。
テストが受けられなかったら成績はどうなるのかも不安だ。
まさか自分が入院することになるなんて思いもしなかった……。
『こんにちは。由奈ちゃんが病院に運ばれたって聞いて』
『そうなの。情報が早くてびっくり』
『瑞希が学校帰りにたまたま朱里ちゃんに会ったらしいの。話を聞いて帰ってきて由奈ちゃんのお母さんに詳しく聞いてって言われたの』
『心配をかけたのね。急性虫垂炎で治療するのに一週間ほど入院になったの』
『まあ大変。瑞希がお見舞いに行きたいと言っているんだけど、迷惑になるかしら』
『明日以降なら大丈夫よ。由奈も喜ぶと思うわ』
『瑞希に伝えるわ。忙しい時に連絡をしてごめんね』
『ううん、ありがとう。由奈には内緒にしておくわ』
まさか自分が眠っている間に、由奈の母と瑞希の母がメッセージをやり取りしているとは知らない由奈は、後日驚くこととなる。
病室で目覚めた由奈は、見知らぬ天井が目に入り驚いた。ベッドに寝かされ点滴をしているが、自分の記憶は公園のベンチに座ったところまでだ。
「ここはどこ……」
「あっ由奈、目が覚めた?」
「う、うん」
「ここは病院よ。由奈のお腹の痛みは、急性虫垂炎だったの」
あれほど痛かった腹部の痛みはすっかり引いているが、母から一週間の入院になった事実を聞かされ呆然とした。
「テストが……」
「テストよりも身体が大切でしょう。命に係わる病気ではなくて良かったわ」
「う、うん……」
「サボったわけではないんだし、由奈が普段から頑張っていることはみんなわかっているわよ」
「うん……」
小学生の頃なら一週間くらいの欠席は気にはならなかったが、中学生になり一週間がとても長く重く感じる。勉強に遅れてしまうのではないかと気が気じゃない。
テストが受けられなかったら成績はどうなるのかも不安だ。
まさか自分が入院することになるなんて思いもしなかった……。
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