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第十四章

入院①

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 体育祭が終わり次は期末テストがやって来る。中学生になってから充実した生活を送っているからか、毎日が早くて気づいたら二学期もあと少しだ。

 朝晩は冷え込み、冬の到来を告げる。

 テスト一週間前に入り部活動が停止になり、由奈と朱里は図書館に通う日々。

 いつも通り図書館に向かっている時だった。

「イタタッ……」
「ゆーちゃんどうしたの?」
「なんか、朝からお腹が痛くて……」
「大丈夫?送って行くから今日は帰ろう」
「う、うん。ごめんね。ありがとう」

 朝起きた時から、時々感じていた痛みがだんだん強くなってきた。すぐに治るとやり過ごしていたけれど、ひどくなる一方だ。お腹をさすってみるも痛みは引かない。歩くときも痛みで体が前かがみになってしまう。

「私が荷物持つから貸して」
「えっ……。でも重いから」
「遠慮しないの」

 由奈の荷物を朱里が持つ。荷物がなくなり身軽になるも、痛みが更に強くなっている。しかも、寒いはずなのに額には汗がにじむ。由奈の自宅までは、普通に歩けば十分くらいなのだが、このペースだといつ着けるかわからない。

「この先にある公園まで頑張って歩ける?ゆーちゃんのお母さんに連絡したいけどスマホの番号わかる?」
「わからない……」

 学校にスマホを持って行くことは禁止されている。こんな時こそスマホが必要だと思うのだが、ないものはどうしようもない。スマホの中にはたくさんの情報が入っているが、なければ連絡先すらわからない……。今まで気づかなかったが、誰の電話番号も覚えていない。

 よく考えたら、メッセージでは繋がってはいるが、番号自体知らないのだ。

 連絡する方法を考えながらも、ゆっくりではあるが公園まで一歩ずつ歩みを進める。

 寒空の公園のベンチには誰も座っていなかった。前かがみのままなんとか由奈は座り込む。朱里には、この状態の由奈をここに置いて家へ呼びに帰る選択肢はない。どうしようか悩む……。

 公園には、小さな子供が親に付き添われ遊んでいる。もう迷っている暇もない。

「あの、すみません」

 一組の親子に近づき朱里が声を掛けた。朱里の必死な形相に、声を掛けられた母親は驚いているのがわかる。

「私?どうしたの?」

 突然声をかけられたのだ。驚くのも無理はないが、地元の中学校の制服を着ているので警戒はされていない。

「友達がお腹が痛いって言ってるんです」

 朱里がベンチに座る由奈を指さし訴える。
 
「大変!」

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